(315)郵便

 今日は午後からコンサル業務で赤坂に出掛けた僕は、到着が少し早すぎたので、ビルの脇の木陰で時間を潰していた。


 そこから見える景色は高層ビルと行き交う人の姿で埋められそうだったが、一つだけ目を引くものがあった。


 それが「郵便ポスト」だ。


 赤くて四角いタイプのもので、投入口が2つ。


 その姿は、ずんぐりむっくりのロボットの様にも見えて、何となく愛らしい。


 で、ポストのボディには「郵便」という文字が書かれているのだが、この「便」という文字にはどんな意味が込められているんだろうか。


 何の前情報も無く「便」という文字を見た時に、あなたは何と読むだろうか?


「びん」「べん」「たより」あたりが多数派ではないかと思うのだが、これに違和感を感じてしまうのは僕だけなのだろうか。


「びん」「たより」は似た様な意味だからまだ分かる。


 が、「べん」は何故ここにいるんだ?


 お手紙や小包の隣に「うんこ」がまぎれている様なものじゃないか?


 いったい「便」という漢字の意味を考えた人はどんな人なんだろうか?


 便所といえば排泄空間であって、不浄の場所とされている。


 では「郵便」とは何なんだ?


「郵」というのは「手紙や荷物を中継する宿や駅」「官営の物流」の事だという。


 つまり「郵便が届いたよ」というのは「公の物流によって届いた『便』」という事か。


 やはり「便とは何ぞや」に行き着いてしまう。


 では、別の角度から攻めてみよう。


 例えば「便利」という言葉。


 日常的によく使う言葉だが、ここで言う「便」には「利」が伴っている様だし、果たしてここで言う「便」とは何なんだろうか。


「べん」と読むのに「うんこ」とは関係ないっぽいし、だからと言って「郵便」とかの「便」とも無関係に思える。


 結局いったい何なんだ?

 この「便」って奴の本当の正体は!


 …そんな事を思う、今日の僕なのであります。

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