(306)癖

「無くて七癖」という言葉があるが、つまりは「自分には癖なんて無い」と思っていても、「7つくらいは癖があるものだ」という意味のことわざのようなものだという事は誰もが知るところだろう。


 僕も自覚しているだけでいくつか「癖があるよな」と思う訳だが、意外と自分では気付けないのが「口癖」なのだとも思う訳で。


 今日は父の日という事もあり、先日実家に送った健康器具が届いた様で、父親からお礼の電話があった。


 善意のつもりなのだろうが、父親と話す時は、毎回説教されるという流れになるのが昔から嫌いだった。


 18歳で家を出て、貧しいくせに30年以上も一人暮らしを続けられたのも、父親のうるさい説教から逃れる為だったような気もする訳で。


 色々問題もあって、10年以上音信不通みたいになった時期もあり、今の様にそれなりに会話出来る様になったのも、ここ10年くらいの事だ。


 父親曰く、僕の口癖は「分かった」だそうだ。


 本当に分かってるのかどうか分からん!


 なのに「分かった」というのが父親をモヤモヤさせるらしい。


 そうか。


 自分では分からないが、そう思われてるんだな。


 逆に、父親の「説教癖」についても何度か指摘した事があるのだが、それを当人は理解する気が無い様で、きっと死ぬまで治らないんだろうなとも思ってしまう訳で。


 そんな「無くて七癖」が誰にでもあるのだろうな。


 素直に改善するのが良いのだろうが、僕は僕であって、父親の所有物では無いしな。


 僕が子供の頃ならともかく、もう五十路の男が父親に人生を左右されるなんてのはまっぴら御免だ。


 親ガチャに恵まれた人生に憧れた事はあるが、無いものねだりしても意味無いし。


 ともあれ、せっかく父親と話したのだから、指摘のあった自分の口癖くらいは意識してみるとするかな。


 何だかそんなモヤモヤした日曜日を過ごす、今日の僕なのであります。


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