(300)アオハル

 いつだったか、テレビか何かのCMだかで、


「アオハルかよ…」


 みたいなセリフがあり、


「アオハルって何?」


 と、しばらく分からない時期があった。


 結局「青春」というのを訓読みしたものだと後に知るのだが、こういうのって他にもあるよな〜と思いもした訳で。


 有名なのは「くのいち」だと思うのだが、女忍者の事をこう呼ぶのは誰もが知る所だろう。


「女」という字を分解して「くノ一」とした隠語らしいが、忍者が秘密組織だった事を鑑みれば、こういう読み方はなかなかに興味深い。


 そういえば僕が高校生の時に「生物部」という文科系のクラブがあったが、その部室の扉には、「生物部」と書かれた札の下に「なまものぶ」などとイタズラ書きがされていたのを思い出した。


「くノ一」のように文字を分解する例は、ネットの中でもよく見かける。


「死」という文字をバラして「タヒ」なんて呼ぶ人が多くいるのは驚きだった。


「化学」の事を「イヒ学」なんていう人もいて、漢字を分解するタイプの表現をするのは、今では一般化しているのかも知れないな。


 そう言えば、中学校の先生が「化学かがく」の事を「ばけがく」と呼んでいたのを聞いた事がある。


 これもそうした「アオハル」的な表現手法と言えるのかも知れない。


 では、こうした言葉を物語の中でどのように使えるのだろうか。


 恋愛小説の中で、セリフにしたらシャレた感じがするとかがいいのかな。


 青春している若者を見ながら「アオハルかよ」と言うあの感じ。


 例えば、もの凄く中の良い友人同士が肩を並べて歩く感じとか、いわゆる「親友」って感じの表現だと、


「オヤトモかよ」


 みたいに言えばいいのだろうか。


 他にも、永遠の愛を誓うプロポーズなどのシーンでは、


「ナガトオかよ」


 とか言ったとしても、何のこっちゃとなりそうだが・・・


 というか、どうにもオシャレ感が足りない。


「アオハル」のようなオシャレ感が欲しい。


 愛し合う二人を見ながらポツリとつぶやく「○○かよ」ってやつが欲しい。


 愛し合う二人が見つめ合い、言葉は無いのにお互いの気持ちが伝わるような・・・


 そう、「以心伝心」みたいな感じをオシャレにできないだろうか。


 以心伝心のままだと「もってこころつたえこころ」と長くなりすぎるので、オシャレに4音で表現するとしたらどうだ。


「モコツコかよ」

「モコッコかよ」

「モロッコかよ」


 ・・・どうにもうまくいかないもんだな。


 やはり「アオハル」ってのを考えた人がすごいって事か。


 僕の様な凡人には、オシャレな新語を作るのはハードルが高そうだな。


 とはいえ、いつか何か見つけたいなとも思う、そんな今日の僕なのであります。

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