(200)異世界

「異世界に旅立つ」


 と聞くと、ほとんどの人はラノベなんかでよく見る異世界ファンタジーを思い起こす事だろう。


 で、その異世界が、何故か中世ヨーロッパ的な世界だったりする事が多い訳で。


 つまるところ、きっとみんな「中世ヨーロッパ」で「現代知識で無双するのが好き」なんだろうという事を僕は思う訳だ。


 というか、「現代よりも劣った文化の世界」に行って「自分の現代知識で優越感を感じたい」といったところか。


 本来ならば、「成長や進化を目指して努力する」という方が人間の生き方としては美しいとは思うのだが、現代日本に住んでいると、そんな思いには至らないのも確かな訳で。


 僕もひとつ「異世界ファンタジー」の作品を作ったのだが、その作品の「異世界」とは、中世ヨーロッパとは似ても似つかない「未来的な世界」として描いた。


 つまり「現代知識を持っていても、その世界では役に立つかどうか分からない」という世界だ。


 しかし、その異世界は便利過ぎるくらいに何もかもが自動制御で、高性能過ぎるデバイスを装備して生活している代わりに「超監視社会」でもあり、「幸福を感じる幅が狭い世界」でもあった。


 つまりは、生きていても刺激が少なすぎて「つまらない世界」という訳だ。


 で、主人公は刺激を求めて他の惑星に行き、やがて地球を目指すという物語ではあるのだが。


 でも、他の色々な異世界ファンタジーを読んでいると、先述の通り「中世ヨーロッパ」みたいな世界が一般的で、その世界は不便な生活をしている代わりに刺激に満ちていて、苦労はあれど、人々は結構活き活きとしていたりする事が多い訳で。


 極端な話ではあるが、これってどちらの方が「幸せな世界」なんだろうか。


 現代日本はスマホ所有率が95%を超え、ほぼ全ての人が「いつでも情報を得られる社会」に生きている。


 しかし、それは「通信を監理される社会」に片足を突っ込んでいるとも言える訳で、更に「マイナ保険証」が来年に義務化されれば、そこからは「生活を監理される社会」に突入していく訳で。


 ある日、うちにアルバイトに来ていた女子高生に、


「スマホが無くなるのと、インターネットが無くなるのと、どちらが困る?」


 と訊いた事がある。


 その答えは「インターネット」だった。


 スマホが無いと困るのは確かだけど、インターネットが無くなると「生きていけない」のだそうな。


 でも、ファンタジー作品の中に出て来る異世界には「通信」が無かったりする事も多い訳で。


 となると「通信が無いと生きていけない若者」が「通信の無い異世界に憧れている」とも思える訳で。


 うーん・・・


 読者が「異世界」に何を求めているのか・・・


 色々考えなくてはならない事が多そうだな。


 皆さんは、「異世界」にどんな要素を求めますか?


 宜しければコメントで教えて頂ければ幸いです。

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