(169)庶民なりに

 人生ってのはうまくいかないものだ。


 いくつかのタスクがあったとして、その全てを完璧にこなすだけのスペックが自分には無い場合、大抵は「誰かに助けを求める」のではないかと思う。


 しかし、僕の場合は個人事業主であり、誰かに仕事を手伝ってもらう場合は「業務委託」する事になる。


 が、インボイス制度のおかげでその業務委託が簡単では無くなり、面倒な手続きをするくらいなら、「自分で仕事を片付けた方がいいのでは」と考えてしまった訳だ。


 そう、考えてしまったのだ。


 で、いざ自分で仕事を頑張ってみたものの、その仕事量は僕のキャパシティを超えていた事に気付く事になる訳で。


 こうなると「どの仕事を最優先にするか」という優先順位を決めなければならない。


 逆に言うと「どれかを捨てる必要がある」という事な訳で。


 でも、どれも捨てたくは無いのだ。


 全てが大切な仕事なのだ。


 なので、結局は「自分を捨てる」事で仕事をこなす事にした訳だ。


 こんな事は何度もあった。


 サラリーマン時代にも、よく上司から


「君は仕事のプライオリティを決めるのが下手だな」


 なんて事をよく言われたっけな。


 でも、顧客の気持ちを考えれば「自分の仕事をいい加減に片付けられた」なんて思わせたく無いんだよな。


 やっぱ「いい仕事をしてもらえた」って思われたい訳で。


 もし自分の時間を削る事で解決出来るのなら、そうした方が気持ちがいいと、僕は思ってしまった訳で。


 こういう献身的な仕事を政治家にもして欲しいものだと、BGM代わりに国会中継を流していた僕は思う訳で。


 そう言えば今の政治って、大震災等で怪我人が多い場合等で、病院のキャパシティを超えた時に行われる「トリアージ」に似ているな。


 つまりは「人の生命に優先順位をつける」という事を、政府が行っている様に見えるという事だ。


 きっと、本当に「命の優先順位」をつけられてるんだろうな。


 僕の様な庶民は、きっと順列下位なんだろうな。


 もしかしたら、ランク外かも知れないな。


 本来は「有権者こそ主権者」だと、日本国憲法にも書かれているんだけどな。


 日本政府には、憲法改正の前に「憲法を守れ」と言いたい気分だ。


 言いたい事は沢山あるけど、今の僕は仕事をしなくちゃならない。


 僕が仕事を頑張っても社会は良くならないかも知れないが、僕にはこれしか出来ないもんな。


 庶民は庶民なりに、頑張るとするか。

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