(99)夢と寝相

 よく、漫画やアニメで寝相の悪いキャラクターが出てくる。


 その寝相の悪さは襲い来る悪漢を無意識に投げ飛ばす程だったりして、そういうシーンを見る度に、


「実際にはあり得ないけど、面白い表現だな」


 程度の感想を抱いていた。


 が、先日僕が自宅のソファに座ってユーチューブ動画を見ていた時に、いつしかウトウトと眠ってしまった事があったのだが、その眠りの中で、僕は夢を見ていた。


 夢の全容は覚えていないのだが、夢の中で僕が彼女とデートをしていると、2人のガラの悪い男達に絡まれてしまうというものだった。


 2人の男達はガタイも良く、柔道か何かを嗜んでいる様に見えた。


 隣で悲鳴を上げる彼女の方を見ると、男の1人が彼女の腕を掴もうとしている。


 それを見て逆上した僕は、その男の腕と胸ぐらを掴んで彼女から引き剥がそうとしたのだが、その男は何かを叫びながら僕に襲い掛かってきた。


 ぼくは体勢を崩して後ろに倒れそうになるのを利用して、男の腹に右足を当て、巴投げの要領で男を遠くに投げ飛ばす事に…


 というところで僕は目を覚ました。


 寝ぼけ眼で室内を見ると、こたつテーブルの天板が外れて床に落ちているのが見え、テーブルの上に置いていた物が床に散乱している景色が広がっていた。


「何事!?」


 とは思ったが、冷静に状況を観察するに、やはり僕がテーブルの天板を蹴っ飛ばしたという事なのだろう。


 何という事だろう。


 そして、眠りながらに何というアクロバティックな体勢を取っていたのだろう。


 もしこれが彼女と一緒に眠っている時だったとしたらと考えると、少しゾッとした。


 しかし、今だから確信できた事もある。


 あの漫画やアニメにしか無いと思っていたあの寝相の悪いキャラクターは、実在し得るという事を。


 ほんと、世の中には不思議がいっぱいですね。

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