(91)ダジャレ

 僕がオジサンだからかどうか、会話の中に「ダジャレ」が含まれると、


「あ、今ちょっと旨い事言えたな」


 と思ってしまう事がある。


 若い時は中年オヤジ達のダジャレを馬鹿にしていたクセに、いざ自分が中年オヤジになってみれば、このダジャレがむしろ「オシャレ」にさえ感じてしまうのだから不思議だ。


 先日たまたま見かけたゲーム系ユーチューブ動画で、プレイステーションの「パラッパラッパー」のプレイ動画を見たせいかも知れない。


 どうやら僕は、ダジャレがラップと同類だと認識するに至っている様だ。


 ゴルフ好きな人が高齢になってゲートボールを楽しむ様に、ラップ好きが中年になってダジャレを楽しむといった具合なのかも知れない。


 そんな僕なのだが、何故か取引先の初老の担当者のダジャレには馴染めないから不思議だ。


 今日の彼の一発目のダジャレはこんな感じだ。


 これは僕が注文していた商品が希望納期に間に合わない事を指摘した際に、彼がメーカーに連絡しようとした時の事。


「いやぁ、なかなか電話にって感じですねぇ~」


 イラッ・・・


 次いで、納期の遅延が僕に及ぼす悪影響について説明した後に出たのが、


「そんなバナナ!」


 イライラッ・・・


 で、何とかメーカーと連絡がついて、納期をギリギリ間に合わせてもらうという話がついた後には、


「今朝、通勤中に犬のウンチを踏んづけてしまったせいか、うんが良かったですねぇ!」


 イライライラッ!


 震える拳を握りしめながら、僕は丁寧に


「では、間違いなく納品をお願いしますね」


 と御礼を言って事無きを得たのだが・・・


 そういえば、時々出て来る彼の口癖、「なるへそ」というのも僕をイラつかせる。


 何なんだよまったく!


 いや、イカンイカン。


 今日は夜から愛知県まで荷物を積んで車を走らせる予定があるんだ。


 安全の為にもイライラは良くないな。


 それにしても、ダジャレ好きな僕をここまでイラつかせる彼は、一体何がダメなんだろうな。


 多分、不真面目に見えるのが良くないんだろうな。


 何だかいつもヘラヘラしてるもんな。


 3月に人事異動があるらしいが、早く営業担当変わってくんないかな。


 新作のプロットをコツコツ書きつつ、仕事も頑張る今日の僕なのでした。

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