(72)インバウンド

 最近、東京の街では外国人の姿をよく見かける。


 おそらく観光客なのだろう。


 段々と渡航の規制も無くなってきている様だし、むしろ未だにマスク装着とかソーシャルディスタンス等と言っているのは世界的に見ても日本だけな訳で。


 まあ、そんなこんなで、飲食店も頑張って外国人を取り込もうとしている様で、今日たまたま入った飲食店でもメニューには英語が併記されていたりする訳だ。


 が、この英語の表記がちょっと面白い。


 ある日、僕は都内の新橋付近にある定食屋に入ったのだが、そろそろ秋の味覚を味わいたいなと「サンマ塩焼き定食」にしようかと思って、何気なく併記されている英語を見ると、「Fire Sanma salt」と書かれていた。


 今や自動翻訳でも「salt-grilled saury(塩焼きされたサンマ)」と正しい表記がされる筈なのだが「Fire Sanma salt(燃やせ、サンマ塩)」という手書きのメニューに、クスリと笑ってしまった訳だ。


 まあ、定食屋の店主は初老のオジサンだし、店も一人で取りまわしている上に、メニューにも「本日のメニュー」と書かれていたから、毎日手書きしているのかも知れない。


 なので毎日の大変さを思うと、それはそれで努力しているんだなぁと感心さえする訳だ。


 しかし、店を出て顧客の元へと向かう途中、暖簾のれんを外して半分シャッターを閉めている蕎麦屋らしき店の電光看板に貼られた紙を見ると「Today is over」と書かれていた。


 つまり「今日と言う日はもう終わりだ」という絶望宣言な訳で・・・


 おそらくは「本日の営業は終了しました」という意味で貼られた紙なのだろうとは思うが、ふと周囲を見渡してみると、街を歩くサラリーマンもどこか元気が無い様な気もして、もしかしたら本当に何か恐ろしい事が起きて、「今日という日が終わってしまうのかも」という気さえしてしまう。


 どこぞの予言者とやらも「11月23日に巨大地震が起きる」などと言っているらしいが・・・


 大丈夫だよね?


 と言いつつ、防災用品を備えている僕なのです。

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