ことばの悦楽

（8）人物名

　小説を書く時に、登場人物の名前を考えるのが悩みの種になる事は誰しもにある事だと思う。

　他の人が描く小説を読んでいると、僕では思いつかない人物名をセンス良く創造しているのを見て「すごいなぁ」といつも思っている。

　僕の場合は、日本人の名前を考える時は「容姿や人格」を表す様にしている。

　主人公の場合は特にそうで、ぽっちゃりした体形の主人公が居る小説では「帆地槍」という苗字、ファンタジー小説では、国の未来を憂いて黒船に密航した吉田松陰（よしだしょういん）の名前をもじって考えた。

　モブキャラの場合は、何となくどこにでも居そうな苗字を使う事が多いのだが、時々思うのは「みんなどうやってキャラの名前を考えているんだろう」という事だ。

　ファンタジー世界の登場人物は、外国人ぽい名前になる事が多い。

　しかし、マイケルとかジェームズとかだとモブキャラっぽく聞こえてしまう気がするし、エリザベスとかアレクサンドロスみたいな有名すぎる名前をそのまま使うのも恐れ多い。

　そういえば子供の頃、クラスメイトに「あだ名」を付けるのが巧い奴が居たっけな。

　子供の頃の僕は他人にあだ名を付けた事が無い。

　センスが無いせいか、そもそもあだ名を思いつかなかったのだ。

　なので、誰が付けたか分からないあだ名をそのまま呼ばせてもらう事で友達作りをしていたのだが、今思えば呼ばれた方は驚いたろうな。

　自分にあだ名を付けた者とは別人である僕が、突然馴れ馴れしくあだ名で呼ぶのだから。

　そういえば、昔のファンタジー漫画で登場人物や技の名前がバンド名や歌手の名前そのまま使ってたのがあったな。

　確か「バスタード」という漫画だったと思うが、出て来るキャラ名や技の名前がことごとくヘビメタバンドの名前だったっけ。

　妹が見ていた「レイアース」ってアニメでも、登場人物は自動車の名前だらけだった気がするな。「エメロード姫」とか「ギャラン」とか「ディアマンテ」とか･･･

　そうか、古い車の名前なんていいかも知れない。

　それなら若い人にはバレないだろうし、名前もカッコイイのがいっぱいあるし･･･

　そんな訳で、今日も名前を考える気さえ無い事が露呈している僕なのであった。