A子とBくんの小説レビュー
高見南純平
『私は世界を救えない~追放者だらけの最凶勇者パーティを率いる新人少女~』
A子
「今回、紹介するのは、『私は世界を救えない~追放者だらけの最凶勇者パーティを率いる新人少女~』 だ!」
https://kakuyomu.jp/works/1177354055503800437
Bくん
「追放、物ですか。少し前から流行ってますよね」
A子
「そうweb小説で流行っているジャンルだね。パーティーから追放されて、そこから成り上がる、という展開が多いね」
Bくん
「この作品は違うんですか?」
A子
「いや、根本はそうなんだけど、この作品は主人公が追放されるわけじゃない」
Bくん
「え、まさか追放する側?」
A子
「いや、そうじゃない。主人公はエステルという女性なんだが、勇者を管理する協会のような組織に入っているんだ。
そして彼女は、何らかの理由で追放された勇者たちをまとめる係に任命されるんだ」
Bくん
「へー、じゃあ彼女は勇者ではないんですね」
A子
「そうなんだ。そして、彼女が担当するのがゼータというパーティーなんだけど、この連中がとんでもなく癖が強い」
Bくん
「どんな理由で追放された人たちなんですか?」
A子
「いいところに気がついたね。
まず、このジャンルの定番の追放理由はなんだと思う?」
Bくん
「えーと、単純に弱いからとか、援護系で活躍が伝わりづらいからとか、ですかね」
A子
「そう。そういった人たちが新たな力を身に着けたり、真っ当な評価をされていくのが面白ポイントなんだけど、この作品のキャラクターたちは少し違う」
Bくん
「というと?」
A子
「まず、一人も実力不足で追放されたものはいないんだ。
一人は仲間だった奴らを全員殺したり、一人は恋愛のいざこざでパーティー内をめちゃくちゃにしたり、と問題行動で追放されてる者が多い」
Bくん
「えーー、めっちゃヤバい集団じゃないですか」
A子
「そうなんだよ。中にはまともな人もいるんだけど、トータルでいうとヤバい集団なんだ。
そして、そんな集団をまとめるのが主人公のエステルっていうわけ」
Bくん
「いやー、思った以上に大変な仕事ですね。てか、そのエステルって人、めちゃくちゃ怖いんじゃないですか?
そんな人たちをまとめるってことは、さらにヤバいってことですよね」
A子
「いーや、それが逆なんだ。エステルはとにかく可愛いし、とにかく優しい。
追放された連中に寄り添って、徐々に仲を深めていくんだ。
この作品の魅力の1つが、エステルと問題児たちの絡みなんだ。
仲間のキャラが濃いと主人公の影が薄くなりがちだけど、そんな人たちをまとめていることが「エステル、やべー」となっていくのが、この作品の面白いところなんだ」
Bくん
「なるほど。人格者、というところが主人公の魅力になっていくんですね。
確かに、実力はなくとも仲間に何故か信頼されているキャラって、気になっちゃいますよね」
A子
「そうなんだよ。
そして肝心のストーリーや文章なんだけど、全体的に会話文が中心でテンポよく読みやすいんだけど、お話自体はシリアスな展開が多い。
追放された勇者たちのバックボーンも、切なく同情してしまうものが多い」
Bくん
「シリアスなのに読みやすい、めちゃくちゃ理想的じゃないですか」
A子
「そうなんだよ。だから、イッキ見してしまうし、しっかりと読後の満足感を得られるんだ」
Bくん
「ちょっと気になってきました」
A子
「でしょ? ぜひ読んだら、誰が推しなのか語り合おう!
私の推しはね、仲間の一人に一瞬で殺されるモヒカン頭の噛ませ犬でね……」
Bくん
「は、はぁ。(まーた、変なキャラ推しにしてるよ、この人」
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