【桔梗学園オカルト研究部には気をつけろ】
三角さんかく
君は誰だい?
部室の前で、メモを拾った。
「4月8日入学式というイベントに参加する。同じ日付に同年代の子供が、同じ教育機関に入るのは何故なのか。『地球人』というのは集団行動が好きなようだ。ただ、頭脳レベルの近い者たちを集めて均一の教育を施すシステムには、少し感動している。我が国では考えられない」
そんな風に書かれている。
初めは「宇宙人」が僕の通う高校……
「やあ、長谷川くん」
オカルト研究部の部室には、部長の
「長谷川くん、砂糖は要る?」
「結構です」
僕は甘いコーヒーが飲めない。
水上うさぎは性別は女性だが、バイセクシャルを公言していて、男子からも女子からも人気がある生徒だ。しかし男癖?女癖?……その両方ともが悪くて、いつも恋愛でトラブルを抱えている。何度か刺された事もあるらしくて、腹にある傷を僕に見せながら、勲章みたいなもんさ!と笑いかけてきた時には恐怖すら感じた。
山田里佳子も負けず劣らずのぶっ飛んだキャラクターで、有名企業の令嬢という立場なのに、夜な夜な違法カジノに足を運んでは、高レートのギャンブルに手を出す
「ところで……」
水上うさぎは僕の手元を指さして、微笑んだ。
「その紙きれは何だい?」
「ああ……さっき部室の前で拾ったんですよ。面白い事が書いてあったんですけど、唯のイタズラですね」
「見せてくれるかい?」
僕は水上うさぎに、さっき拾ったメモを渡した。水上うさぎは、窓の方へ移動しながら、ふむふむと呟いてメモに目を通す。オカルト研究部の部室の窓からは、葉桜が見えた。もう春も終わる。
「へえ、面白いじゃないか。ひょっとすると、宇宙人が書いた日記かレポートみたいな物の切れ端かも知れないね」
「日本語で書かれてるんですよ?そんな訳ないじゃないですか」
「宇宙人が日本語でメモを取らないっていう理由は?」
「もしも宇宙人なら母国語で書くと思います。日本語で書いてしまうと、誰かにバレたりする
「想像力の欠如だね」
水上うさぎは、僕の目を見て少しきつめの口調で言った。
「例えば、その宇宙人の国に文字という物がなかったとしたら?」
「……」
僕は水上うさぎから手渡されたブラックコーヒーを口にして、次に発する言葉を探した。確かに水上うさぎの言っている事には一理ある……。
「君は先月、入学式に参加したよね?新入生なんだし。そこで変わった事が起きたり、何か違和感を覚えたりしなかったかい?」
「いえ……何も感じませんでした」
「そうかい」
水上うさぎは
「メモを拾ったのは、さっきだね?」
「はい」
「この部室は校舎から離れていて、部員以外の学生が通る事は滅多にない」
「そうですね」
「ところで……」
部長は半ば確信した様な目で、呟く。
「君は誰だい?」
その一言に、僕は凍り付いた。
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