山田太郎という人

第1話

『山田 太郎』

日本にいたことがある人ならだれでもその名前を一度は見たことがあるはず

役所で申し込み用紙に記入をする時に名前記入欄の上の書き方の例というところに『山田 太郎』と書いてあるのを目にすることがあると思う

山田太郎は日本で一番有名な名前と言っても過言ではない


実際に『山田 太郎』という人はいた

私が小学生の時だ

何度か同じクラスになったことがあるから『山田 太郎』のことは社会人になった今でもまだよく覚えている

『山田 太郎』はいつも並みの成績を取り、並みの運動能力で並みの性格をしていてまさに平均的という人だった

特に誰も気にも留めないような存在だった

それからしばらくして私は社会人になった

『山田 太郎』とは中学の受験で離れたので、それから一度たりとも会ったことはない

次第に『山田 太郎』がいたということを忘れかけていたころ、私はふとテレビをつけた

彼の名前がでていた

強盗致傷罪の容疑者となっていた

山田 太郎

君はあれからどうしたのだろうか


                 終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

山田太郎という人 @reina0526

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ