6話

「すずめちゃんは直接行かない。チームの面子があっからな。その代わりこれは沖那君との手切れ金と、ウナ先輩への詫び金だ。どちらかを取って持って帰れ」

 すずめちゃんがもごもごとした、いつもの喋りに戻り、それをオタケが伝達する。

「えっ、来てくれないの? なんで? 俺またシメられるよ」

「そのための詫び金だろうが。良いからそれ持って帰んな。ウナ先輩側である以上、もうあたしらとは敵対してんだよ沖那君は」

 ドスの効いた声でオタケが言うと、周りのレディース達も腰を上げて威嚇の体勢に入る。沖那君は焦って小さな菓子箱を掴むと、走って出ていった。その姿も青春映画のワンシーンのようで、みなぽうっとなって見送った。


「すずめどこよ?」

 部屋に戻った沖那君に、ウナ先輩はヤニを吹き付けながらそう言った。

「すずめちゃんは来られないって。でも詫び金と手切れ金ってことで、これを渡された」

「あんだこれ、舐めてんのか?」

 沖那くんの腰を抱き寄せて隣に座らせると、菓子箱を取り上げた。片手で乱暴に蓋を開けると、中にはくしゃくしゃの万札がぎっちりと収まっていた。

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