第197話
集っていた暗黒の森のモンスターを、それこそ塵芥のように扱いながら、道を割って歩いてきた
「あ、お茶もらえる?」
と、椅子に座りながら言ってきたんだけど……。
えーと、お茶なんて飲んでる場合なのかな?
「大丈夫だよ。この程度の攻撃なら本体が巨大魔石に引っ付いてる限りは絶対に割れやしないし」
「あ、やっぱりそうなんだ」
いや、このモンスターの数に攻撃されて、魔力バリアが割れないっておかしくない?
本体の強さは異次元級か!
「ふふ、どれだけ本体が強くなってるか知りたい?」
私が
顔には出してないつもりだったけど、やはり同じ私だからか、考えてることはお見通しみたいだ。
実にいい笑顔でからかってくる。
「というか、それをしにここまで来たんだけどね」
「それをしに?」
「彼らは、
同じくテーブルについていた白と黒の二人の前にも紅茶を差し出す。
白い方は、紅茶の香りを楽しんだ後に美味しいですねと呟き、黒い方は一気に飲もうとして熱かったのか、あちあち言いながら飲んでいる。
なんか随分と個性を出してくるね。
「本体が新たに作った分身体ね」
「よろしくお願いします、姉様方」
「ひっひっひ、ヨロシク〜」
【多重思考】は1レベル上がるごとに、自動で思考できる数が増えるから、本体が分身体の数を増やせるだろうことは知ってたけど、ここで切ってきたかー。
「いや、それはいいけど……。変な性格付けしてるのは何なの?」
「同じような私が沢山になるから、没個性にならないように本人が考えたキャラ付けをしてるらしいよ」
「あぁ、うん、そう……」
なんと言ったらいいかわからないよ!
そもそも、私も結構他の子と被るなぁとか思ってたから、ちょっと羨ましいし!
「で、白と黒を連れて、この状況をどうにかしてくれるわけ?」
「白?」
「ブラックジョーカー? いいねぇ。キャハハハ!」
「というか、
「?」
防衛担当を真ん中に立たせ、その脇に白と黒を立たせる。
すると……。
「お、おぉ……なにこれ……。そうか、その手があったか……!」
これはまさか……。
「ポーションの品質合わせと一緒の方法を取っている……?」
「そう。二体の分身体が同じステータスをしている場合に、それに並ぶように立てば、別に死ぬこともなく【バランス】が取られて、残りの一体のステータスがアップデートできる。
私も白と黒の間に立つと、
▶【バランス】が発動しました。
分裂行動体のステータスを調整します。
確かに【バランス】さんが発動した。
ということは……。
「ステータス」
名前 ヤマモト
種族 シュブ=ニグラス
性別 ♀
年齢 0歳
LV 329
HP 45880/45880
MP 27390/27390
SP 0
物攻 4588(×1.675)
魔攻 4588(×1.675)
物防 4689(×1.675)(+101)
魔防 4701(×1.675)(+113)
体力 4588(×1.675)
敏捷 4588(×1.675)
直感 4588(×1.675)
精神 2739
運命 2739
ユニークスキル 【バランス】【吸収】
種族スキル 【地母邪神】
コモンスキル 【鍛冶】LvMAX/ 【錬金術】LvMAX/ 【調合】LvMAX/【鑑定】LvMAX/ 【収納】LvMAX/【火魔術】LvMAX/【水魔術】LvMAX/【風魔術】LvMAX/【土魔術】LvMAX/ 【光魔術】LvMAX/ 【闇魔術】LvMAX/ 【料理】LvMAX/ 【ヤマモト流】LvMAX/ 【採掘】LvMAX/ 【採取】LvMAX/ 【細工】LvMAX/ 【革細工】LvMAX/ 【木工細工】LvMAX/ 【彫金】LvMAX/ 【彫刻】LvMAX/ 【釣り】LvMAX/ 【追跡】LvMAX/ 【逃亡】LvMAX/ 【魔鋼精製】LvMAX/ 【魔神器創造】LvMAX/ 【隠形】LvMAX/ 【隠蔽】LvMAX/ 【魔力操作】LvMAX/ 【魔甲】LvMAX/ 【状態異常耐性】LvMAX/ 【思考加速】LvMAX/【並列思考】LvMAX/【観察眼】LvMAX/【先読み】LvMAX/ 【中級鍛冶】LvMAX/【中級錬金術】LvMAX/【中級調合】LvMAX/【火魔法】LvMAX/【水魔法】LvMAX/【風魔法】LvMAX/【土魔法】LvMAX/【光魔法】LvMAX/【闇魔法】LvMAX/【空間魔術】LvMAX/【動作加速】LvMAX/【状態異常無効】LvMAX/【魔鎧】LvMAX/【魔力感知】LvMAX/【偽装】LvMAX/【全体化】LvMAX/【追駆】LvMAX/【遁走】LvMAX/【畏怖】LvMAX/【霊感】LvMAX/【野生の勘】LvMAX/【虫の知らせ】LvMAX/【心霊術】LvMAX/【言語理解】LvMAX/【象形文字理解】LvMAX/【古代語理解】LvMAX/【竜語理解】LvMAX/【精霊語理解】LvMAX/【隠伏】LvMAX/【心眼】LvMAX/【多重思考】LvMAX/【未来予知】LvMAX/【天啓】LvMAX/【操蟲術】LvMAX/【一般マナー】LvMAX/【上級マナー】LvMAX/【神話学】LvMAX/【数学】LvMAX/【ダンス】LvMAX/【地図】LvMAX/【魔道具作成】LvMAX/【魔法陣】LvMAX/【歴史学】LvMAX/【経済学】LvMAX/【魔物学】LvMAX/【炎魔法】Lv7/【氷魔法】Lv7/【星魔法】Lv7/【雷魔法】Lv7/【聖魔法】Lv7/【混沌魔法】Lv7/【空間魔法】Lv7/【古代魔法】Lv7/【上級鍜治】Lv7/【上級錬金】Lv7/【上級調合】Lv7/【遮絶】Lv7/【魔力無効】Lv7/【時間加速】Lv7/【森羅万象】Lv7/【気合】LvMAX/【闘気】LvMAX/【覇気】Lv7/【夢幻泡影】Lv7/【魔纏】Lv7/【頑丈】LvMAX/【頑強】LvMAX/【頑健】Lv7/【夜叉】LvMAX/【修羅】LvMAX/【毘天】Lv7/【魔技】LvMAX/【魔道】LvMAX/【魔導】Lv7/【魔陣】LvMAX/【魔塵】LvMAX/【魔盡】Lv7/【悪路走破】LvMAX/【神脚】LvMAX/【縮地】Lv7/【中級細工】LvMAX/【上級細工】Lv7/【中級彫刻】LvMAX/【上級彫刻】Lv7/【素材採取】LvMAX/【蒐集家】Lv7/【調理】LvMAX/【
「あははは……」
こんなの笑うしかないじゃん!
一部のステータスが一気に六倍以上にまで跳ね上がってるんだもん!
今なら普通に魔王ぐらいなら倒せるんじゃないの!
意味ないから倒さないけど!
「じゃあ、みんなー。ここらに一列に並ぼうかー?」
何かあるのだろうか?
「
「それは一番最初に実験のためにやらされたよ。今回やるのは、それとはまた別」
古代都市内部調査担当に言われて、私、防衛担当、白、黒、古代都市内部調査担当とそれぞれが隙間なく並ぶ。
これで何か意味があるのだろうか?
記念撮影でもするとか?
「え? なんか意味あるの? これ?」
「私たち分身体って、本体抜かせば、今8人いるんだよね」
私たち以外には、
そう考えると、過半数以上の分身体がこの場所に居合わせてるわけで……。
あっ。
「もしかして、今ので分身体全体で【バランス】が取られた可能性があったりする?」
「学園担当とかに聞いてみないと分からないけどね。本体は一応やっとけって」
なるほど。
出来たらラッキー程度かもしれないけど……。
なんとなく、他の分身体も全てステータスがアップデートされてしまったような気がする。
というか、私が言うのもなんだけど、A級冒険者の十二倍くらい強いバケモノがその辺をうろつくことになるんだけど大丈夫かな?
「で、続けて本体からの指示。証拠は抑えたんで反撃してこいって。これは、防衛担当と白と黒の仕事ね」
「防衛担当なのに出撃するとはこれ如何に」
「白って……」
「へへへ、ジョーカーちゃんは了解だぜー」
「詳しくは【神託】で告げるってさ」
【神託】ってそういうスキルなの?
確かに私たち邪『神』だけどさぁ!
「で、残る私と
掃除。
この魔力バリアの外で激しく暴れてるコイツらを掃除……?
…………。
できない?
いや、あのステータス見た後で、それはないか。
「承知しました。メイドとして掃除は得意ですので、お任せ下さい」
「私はパンダとしてゴロゴロしたいからさっさと終わらせようかなー」
「二人共、白と黒にあてられてキャラ付けに勤しんでない? 大丈夫?」
防衛担当にちょっと呆れられてしまった。
まぁ、防衛担当も後になればわかるよ。
キャラDukeの大変さはね。
一朝一夕にはいかないから、早めにやっておいた方がいいんだよ……。
「「大丈夫」」
「ならいいんだけど、あと、この暗黒の森のモンスターたちなんだけど、二人と山羊くんたちだけで本当にやるの? 心配だなぁ」
防衛担当は心配性だ。
私は古代都市内部調査担当と一緒に顔を見合わせて、思わず笑っちゃったよ。
「このステータスで負ける方が難しいでしょ」
「そういうこと」
「でも……」
「まぁ、見てて」
それでも、どこか心配そうな顔をみせる防衛担当を安心させるために、私はその辺にあった拳大ほどの大きさの石を拾い上げる。
んー。
このままだと、石の耐久力が不安かな?
なんか、投げたらそのまま塵になって消えそうな気がする。
なんかいいスキルは……あ、【
【魔纒】は、【
【魔甲】は体の一部分を魔力で覆うことができて、【物理無効】な不定形な存在をそのまま掴めたりするスキルで、【魔鎧】は全身を魔力で包むことでダメージをMPで肩代わりできるというスキルだった。
そして、この【魔纒】は、MPを消費することで物質に魔力を纏わせることができるスキルのようだ。
【魔纒】を使って魔力のコーティングがなされた物質は、消費された魔力量に応じて頑丈さや攻撃力が上がるということらしい。
例えば、古代都市の図書館にある本。
いくら、保存環境が良いとはいえ、普通は何千年と経った本は手に触れるだけで崩れて、読むのも難しかったはずだ。
けど、古代都市の図書館の本は、今も普通に読める状態で現存している。
これがちょっと疑問だったんだけど、【魔纒】を覚えた今ならわかる。
多分、古代都市の図書館の本は、全てが【魔纒】で覆われているのだろう。
【魔纒】で魔力コーティングをした物質はいつまでも魔力のバリアに覆われて頑丈なままで居続けるという、そういう特性があるのだ。
なので、私は拾った小石を頑丈にするために、【魔纒】を使用する。
ぎちっ!
圧縮された魔力が小石の強度をあり得ないくらいにまで高めた感触が返ってくる。
これなら、投げた瞬間に塵になることもないだろう。
「せぇのっ」
そして、それをモンスターの塊ともいうべき集団に向かって投げつける。
ぼっ!
音を置き去りにして飛んだ石ころは、モンスターの集団に巨大な穴を開けて貫通したかと思ったら、暗黒の森の森林群を次々と破壊しながらホップしつつ飛翔し――、
ゴゴンッ!
暗黒の森と外縁部を隔てる高い岩山の一角を爆散して岩山の頂上付近を粉々にし、その場で粉塵の雲を作り上げていた。
「「…………」」
距離にして、数百キロという直線上が、抉り取られるようになくなってしまった光景に、私は呆然とするしかない。
「こんなつもりじゃなかった」
「なんて?」
思わず本音がダダ漏れてしまったけど、それも仕方ないだろう。
というか、なにあの威力?
この力、もしかして日常生活もまともにできない奴じゃないの?
いや、この状態で普通に日常生活送ってる本体が凄いよ!
どんだけ、普段力抜けてるのさ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます