第56話 下位冒険者は新たな仲間を獲得する その参
自分が受け持った
「………えーと………ルカ?」
「ひ〜ん、ご主人様ぁ〜! 助けてくだいよぉ〜」
そう救援を求めるティルルカだったが、俺としてもどう対応すべきかと戸惑いを覚える。
何故なら………
「俺にはそいつらが、身を削ってお前に貢いでるように見えるんだが………」
三体の
文字通り身を削ってるってわけだ。
「お前、いつの間にか
「そんな便利な魔法使えるようになってたら、ご主人様を
ぶっちゃけ過ぎだろ。まぁ今に始まった話じゃないが。
「んじゃ、この状況、どう説明するんだ?」
「あたしも良く分からないんですが………そう言えば、この子達と接触する直前に、猫のものに似た鳴き声が聞こえたような………」
そう言ってティルルカがチラリと視線を向けた先には、
「………あいつの仕業か?」
「おそらくは。それに仕業というよりは『お礼』ではないですか? 幻獣は頭が良いですし………」
「なるほど………なら………」
俺は、毛繕いを始めた
「もしかして、あれってお前がやってくれたのか?」
親指で背後のティルルカ達を指しながら、俺はそう問い掛ける。すると
「そうか………ならアイツ等を追い払えるか?」
「ナァー」
「あっ?!
そのティルルカの呟きの通り、
残ったのは、貢物?として捧げられた樹皮の山だった。
「………なにか申し訳ない気分になってきますね」
「そうか? 楽して素材が手に入るなら、それに越したことはねぇだろう」
「冒険者の矜持って言うかなんと言うか………」
「戦ってぶちのめして奪い取るってだけが冒険者のやり方ってわけじゃねーだろう」
「そう言われるとヤクザみたい……いえ、はっきりとヤクザですね。確かに平和的に貰えたんだから良しとしましょう」
「そー言うこった」
「ご主人様のそういう所も素敵です! みんなからゴブリン並みに顔と心がが歪んでるって言われてもめげずに平和的な行動をうごぐげっ!」
「誰がゴブリン並だ! しかも顔だけじゃく心もって、益々表現が酷くなってるじゃねぇか!」
「はぁ………これです………この拳骨があたしとご主人様の愛の絆………はぁはぁひはぁ……」
恍惚とした表情で、はぁはぁ言ってる
「お前さん、一緒に来るか? いや、一緒に来ると、もれなく
俺の台詞に、チラリと
そして暫しの逡巡を経て、結局は付いて来ることに決めたようで、俺の側へと近寄ってくる。そんな
本来ならここで格好良く
「………ルカ、お前
未だはぁはぁ言ってるティルルカに、俺はそう尋ねた。
「え? 何ですか?」
「だからお前は
そこで俺がチラリと
「それは………無理ですね」
俺の仕草で意図を覚ったのだろう、少し難しい表情を浮かべてそう答えるティルルカ。
「だよなー。どうするかな………」
「幻獣には契約せずに従う子もいるって言いますし、一般的に
「外見は
「尚更大丈夫だと思いますよ。
「なら良いか。お前、俺達と一緒に街に入るなら、その姿のままでいて欲しいんだが良いか?」
黙々と干し肉を食べ続けていた
「ナァ〜」
「良いみたいですね」
「だな。あとは連れて行くなら名前あった方が良いよな?」
「ですね」
「………ショルツでどう?」
「ナァ〜」
「良いみたいですね」
「だな。これから宜しくな、ショルツ」
「ナァー」
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