乙姫様を救え! ジョウくんとだらしないおじさんの夏休みの大冒険!!

桃もちみいか(天音葵葉)

第1話 ジョウくん、おじさん家に預けられる

 夏休みだ。


 始まったよ、夏休みが。


 長い長い休みは最高の気分だ。

 のんびり過ごせるし朝は遅くまで寝てられるんだよ。


 ふふふ。学校に行かなくても良いんだ。

 そんな事をぼんやり思っていると、ボクはお母さんに宿題がたくさん入ったトートバッグを持たされた。

 でっかい水筒と、運動会の時によく活躍する三段のお弁当箱も一緒にお母さんが渡してきた。


「ジョウくん、お弁当はおじさんと食べてね」


 さらにリュックにはおじさんの為のビールが六本とおじさんの大好物のおつまみのスルメいかのお徳用パックも入っている。


 重いよまったく。

 へとへとだ。


 夏の太陽の陽射しは強烈だ。

 力強すぎてクラリっとして来ちゃう。

 しばらく外にいるだけで肌がジリジリじわじわ焼ける。

 

 歩く足がアスファルトからの照り返しをもろに受けてる。


 シングルマザーのお母さん。


 夏休み、お母さんが働きに行ってる間はボクは近所の咲太郎さきたろうおじさん家に預けられる。


 毎年恒例です。


 おじさんは面白いから好き。

 虫採りに連れて行ってくれたりする。


 ――ただ。

 おじさんはだらしない。


 気合いが入らない時のおじさんは小学生のボクから見てもかなりのだらしなさだ。


「おはよー! おじさん! 来たよ」


 いつ見てもボロアパートだな。

 亀岡荘の二階の部屋。

 おじさんが住んでるアパートはドアもオンボロだ。

 困ったな。

 所々はがれた木のドアをいくらドンドン叩いてもおじさんからの返事がない。

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