デジタルオンチーマンシリーズ 『ばすたぶるけのわん』
やましん(テンパー)
『ばすたぶるけのわん』
西暦2558年、すでに、時間を移動することが、曲がりなりにも可能であった。
しかし、それには、極めて大きな制限が伴っていた。
人間を過去に送るためには、特殊な入れ物に入れて、入れ物ごと、送致する。
中の人や生き物は、そこから外に出ることはできない。
もし、外に出たら、下手をすると、宇宙は崩壊するかもしれないと推測されていた。
また、もし、そうではなくとも、過去にある人々を、むやみに混乱させないために、街中には送致できない。
未来は、ちょっと話がべつであるが。
さらに、平行宇宙ならば、問題にならないと、勝手に考えられてもいた。
乗り物は、見た目も、巨大な岩みたいな感じにしてある。
中からは、非常に、小さな窓を通して、外側を観察することが出来るようになっている。
この、岩も窓も、特殊な作りであり、骨格は、見えないダークマターで作られているのだった。
🚪
さて、ある、うっとおしい晩のことであった。
やましんは、おうちの、小さなお風呂に浸かっていた。
亡くなった父は、晩年、そのお風呂にはまって、出られなくなっていたことがある。
母が、引っ張り出そうと必死になっていた。
たまたま、やましんが、良いタイミングで帰ってきたから良かったが。
やましんも、それは、遠い話という訳ではない。
やましんの父や母は、パソコンや、スマホには、縁がない時代の人である。
それでも、かなり後まで生きていた母は、パソコンをやろうとしたことは、あったのだが、結局は、やれなかった。
やましんも、そうしたものが現れたのは、40歳も越えるころだった。
もちろん、同年代であっても、すぐに使いこなせる人もあったが、やましんには、どうも、本質的に合わないという、ま、ウマがあわないみたいなところがあったのである。
まだ、60歳台ではあったが、メンタルとフィジカル双方に深傷を負ったため、社会からは早く撤退していた。
奥方さまは、まだまだ、現役で働いていたのであったが。
で、その晩である。
『いい湯だなあ。天国天国。』
と、あまり本気ではなく呟いていたとき、まったく、突然に、不意を突かれたのである。
いやいや、それが、時の首相であっても、不意を突かれたに違いない。
なんと、風呂場のど真ん中に、その謎の物体が、突如として、沸き上がったのである。
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