第2話 崩壊

 窓から眩しい光が差し込んでいる。

 今は6時だ。会議は9時からのため時間は多くある。


「少し歩こうかな」


 俺は宿を後にした。


 久しぶりに気持ち良く朝を迎えられた。

 王都はとても広い、城壁にそって歩いたとすると2日はかかる。


 そして昨日、王が祭りをすると言いだしたのだ。

 その祭りは明後日。それに向け、町は朝から忙しそうだ。


「ロイにぃ」

「ニナ!」


 俺に抱きついてきたのは、ニナ・シンセイト。俺の可愛い妹だ。


「ロイにぃの身体ゴツくなった!」

「ま、まぁ。鍛えてるからね」


 言われてみれば、1ヶ月前にニナと会ったときは、今よりも体重は10㎏程軽かった。


「でもロイにぃの胸は落ち着く~」

「そ、そうか」


 今日のニナはいつもよりも甘えてくるように感じた。


「ロイにぃが頑張って!」

「…イタッ!……ああ」


 最後にニナは俺の背中をパチンと叩いてそう言った。


 家族のためにも頑張るぞ!

 ニナから勇気を貰った俺は、もう少し王都を歩き宿に戻った。




 ∈≡≡≡≡≡≡∋




 宿に帰り、着替えをして待ち合わせの城に向かおうとした時。


「ロイくん一緒に行きましょう」

「そうですね、行きましょう」


 俺はサラさんが一緒に行こうと言ってくれたので、一緒に城に向かう。




 ∈≡≡≡≡≡≡∋



 城に着いた。

 待ち合わせの部屋のドアを開けると、皆席に着いていた。

 俺とサラさんは最後だったようだ。


「ロイザ以外、となり部屋にこい」


 そうアレンは言った。

 何故、俺以外なのだろうか。

 そう疑問を抱きながらも、書類を持ってきたので纏めることにした。


「なぜ、少年は駄目なんだ?」

「…チッ。とりあえず、こい!」


 舌打ちをし、怒鳴った。

 そのアレンからはとても魔力を感じる。


 そんなアレンに反論する人は居なかった。



 ∈≡≡≡≡≡≡∋



 隣の部屋から帰ってきた、サラ達は黒い魔力が溢れでいる。

 なんだか不味い予感がする。


「お前は役立たずの重りなんだよ、お前のバフなんて必要ねぇ」

「……え?」


 戻ってきて一言目が戦力外通告だった。

 困惑する俺は、なにも言えない。


「だよなぁ?」

「「「………はい。」」」


 3人とも頷いた。


 俺はもう必要ないのか?

 俺がこのパーティーのために、無理して付与魔法を極めたのも意味がなかったのか。


 15歳の俺には理解が追い付かなかった。


「サラさん!俺の事を必要だって言ってくれましたよね!」

「………」


 なにもサラさんは言わなかった。


「お前もう必要ない。出ていけ」


 アレンにそう言われ、俺は絶望した。

 何も発せられない。

 声が出せない。


 手が震える。

 なんだか気持ちが悪い。



 恐怖だ。



 ∈≡≡≡≡≡≡∋




 宿に戻って直ぐだった。

 王都全体に俺が勇者パーティーの荷物だと広まった。


 ゴンッ。ドアが叩かれた。


「勇者パーティーの荷物がでていけっ!」


 宿から俺は追い出された。

 外を歩くと、コソコソと陰口が聴こえる。

 そして、冷たい眼差しで俺を見てくる。


 絶望、恐怖。


 手の震えが酷くなっている。


 小さい子供達からは石やゴミを投げつけられ、涙すらでない俺は実家についた。


「ひ、ひどい。」


 最悪だ。

 家族に迷惑をかけるのは。


 家の壁に落書きや、泥がつけられていた。


『お荷物一家』などかかれており、人の愚かさ、惨めさに激怒した。





「人なんて信じない。家族に迷惑をかけるなんて最悪な奴らだ。そんな奴らと俺は同類であるのは恥でしかない。」


 家のドアを開け。

 父さんの部屋に向かった。


「帰ってきたか、大丈夫か?ロイザ。父さんたちは皆味方だ。」

「そうだよ、ロイにぃ!」


 父さんとニナはそう言ってくれた。

 だが俺はもう誰も信じられない、家族ですら。


「迷惑をかけてごめんなさい。もう関わりません。俺は1人で旅にでます。心配はしないでいいです。行ってきます。」


 そう家族に告げ、俺は家を出た。


「ロイにぃ!いつでも帰ってきていいからね……待ってるからね……」


 途中からニナは涙を流し、俺に言ってくれた。だからこそ、家族を巻き込んでしまった、妹を泣かせた自分と奴らとは変わる。


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次話は、少しだけ期間があきます。

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