幼馴染と同棲する
「おぉ~ここが新居か~」
「今日から私達二人でここに住むのかぁ……」
「そうだぞ! 改めてよろしくな!」
「とりあえず、荷物纏めよっか」
今日から、通う大学の近くにあるアパートで私達二人の新しい暮らしが始まる。両親も快く了承してくれた。家事は当番制だけど、辛いときは二人でカバーしあう事。そうひなちゃんと約束した。あ、でも余裕がある時に、ひなちゃんに一通り料理を教えないとな。
同棲を始めて半年が経った。今は大学で、ひなちゃんから届いていたメッセージを確認している。「大学お疲れ様! バイト終わったからご飯作って待ってるぞ!」と来てたので「ありがとう、急いで帰るね。大好きだよ」と返信する。
私たちは一人っ子なので両親が学費も出してくれて仕送りもしてくれるが、流石にそれに頼ってばかりなのもあれなので二人で同じ飲食店でアルバイトをしている。店長さんはちょっと柄が悪そうだけどとても優しい女性で、事情もしっかり聞いてくださって、「お互いが集中できないかもしれないから」とできるだけシフトは別々にしてもらっている。でも、「なんかアンタら一緒に働かせた方がいい気がするわ」ってこの前シフトの都合で二人一緒に働いた日に言われたっけ、なんでだろう。
「ただいまひなちゃん」
「おかえりーこのちゃん! ご飯にするか? お風呂にするか? それとも」
「私がひなちゃん選んだら、ひなちゃんひいひい言わされる事になるけど大丈夫?」
「……まずはご飯にするか」
「作ってくれてありがとう。着替えたら一緒に食べよう」
三か月でひなちゃんの料理はかなり上手になった。教えたての頃は料理を焦がしたり、包丁で手を切っちゃわないかひやひやする場面もあったけど……
「はいひなちゃん、あーん」
「あーん」
こうやって食べさせあうのも昔から変わらない。同棲始めたては不安もあったけど、今は幸せでいっぱいだ。
「ねぇこのちゃん」
「なぁに? ひなちゃん」
「さっき掃除してたらこのちゃんのアルバム見つけたんだ! ご飯食べてお風呂あがったら一緒に見ない?」
「いいね、見よう見よう」
後片付けとお風呂を済ませ、ひなちゃんがアルバムを取り出す。この中には、私達の思い出がいっぱい詰まっている。
「このちゃんの赤ちゃんだったころの写真!何度か見たことあるけどやっぱり可愛い!」
「ひなちゃんのアルバムも確か持ってきてるでしょ? 今度見せてね」
「幼稚園の運動会の写真だ! 一生懸命頑張って走ってるこのちゃん可愛い!」
「私たちが出会ったのもここだよね。確か、運動会の練習の時に転んだ私を慰めてくれんだっけ」
小学校になると、私だけじゃなくひなちゃんも一緒に写ってる写真が増えていく。
「浴衣姿のちっちゃいこのちゃん! なにこれ可愛い!」
「七五三の時の写真だね。一緒に写ってるひなちゃんの浴衣も可愛いよ」
「このちゃんのお父さんお母さんにキャンプに連れて行ってもらった時の写真だ!」
「あのときは四人でカレー頑張って作ったっけ。あ、わたしとひなちゃんがカレー食べてる写真あった」
「あーんして食べさせあってる……私達いつからこんなことしてたんだろうな、ほんと」
「これは……高校の修学旅行でスキーした時の写真だ。あの時はひなちゃんに何度も助けられたなぁ」
「最後にはちゃんと滑られるようになってたじゃん!」
「うん、ひなちゃん教えるの上手だったもん」
二人で色んな思い出を一通り見て、アルバムを閉じる。
「今まで色々あったねぇ……」
「まだまだこれからだよ、だってまだ大学生でしょ? これからも思い出、いっぱい作ろう?」
「もちろん! いっぱい思い出作ろうな!」
アルバムをしまう時、このちゃんのアルバムを見つけた。今度また二人で見よう。
「それで、このちゃんは明日朝早いか……?」
「ん? どうしたの? 別に早くはないけど」
「あ、あのな……」
「……あぁ、それじゃあ、ひなちゃんをひいひい言わせるとしますか」
「お、お手柔らかにお願いします……」
楽しい同棲生活は、まだまだ始まったばっかりだ。
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