君が好き〜あなたのために心歪病を解決します〜
さかな
第1話蟹蟹蟹蟹蟹尽くしクリームピザ
デリバリーハピネス。日本国内で瞬く間に普及した宅配サービスのアプリ。僕の高校の先輩
表向きは食べ物や飲み物を依頼された場所に配達する仕事だ。しかし、全体のうち約1割は依頼者の悩みを解決することが仕事だ。内容は様々だと言われている。恋愛相談から探しものあらゆる悩みを解決する。それが僕が秋内叶さんから言われたアルバイトの全容であり、僕はその1割に入る問題解決の方だ。なんでも、「君は見てきた中で1番の適任だ」そうだ。
***
注文が入りました。通知音とともにスマホにメッセージが表示される。
蟹蟹蟹蟹蟹尽くしクリームピザね……どんだけ蟹なんだよ。実際はそんなに入ってないだろ。なんて悪態をついて自転車を走らせる。
指定された店に入るといらっしゃいませと元気に言う店員に話しかける。
「デリバリーハピネスです。番号の確認お願いします。」
番号を確認すると店員が笑顔で応える。
「はい、こちら蟹蟹蟹蟹蟹尽くしクリームピザにまります。お願いします」
「お疲れさまです」
店を出てスマホに記された家に向かう。ナビのとおりに行くとマンションについた。
デカいマンションだな。オートロックのため番号を押して呼び出しする。こんな家に住んでいる人はどんな悩みを持っているのだろうか。
「デリバリーハピネスです。注文の商品をお届けに参りました」
「こっちまで来てもらえますか」
「わかりました」
エレベーターを使って7回まで上がる。705号室のインターホンを押す。すると中から「はーい」という女性の声が聞こえてきた。がちゃと扉が開く音とともに家主が姿を表した。
「
「えっと知り合いだったかしら」
「あ、ああいえ僕雪下高校の2年なんです」
「私の後輩なのね」
小鳥遊
「これ、商品です」
「ありがとう、おつかれさまそれじゃ」
「あ、はい」
扉が閉まろうとしたその瞬間思い出した。本来の目的は依頼者の悩みを解決することだ。焦って伸ばした手を伸ばしてしまった。その手は強く挟まれてしまった。
「いったぁぁあああ」
「ご、ごめんなさい」
反射的に謝る小鳥遊先輩に「大丈夫です」と手を振りながら応えて一息おく。
ニヤリと口角を上げて、扉を掴んで先輩の目を見る。
「ところで小鳥遊先輩悩んでることありますよね」
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