記憶消去装置

摂津守

記憶消去装置

 老人は研究所のドアをノックした。ドアが開き、博士が出迎えた。


 「ようこそいらっしゃいました。さ、どうぞ中へ」


 老人は中へと入った。研究所の診察室の椅子に座った。


 「どうされました?」


 「博士、私にはとても苦しいトラウマがあって夜も眠れません。記憶消去装置を使って私を助けてください」


 「記憶消去装置はトラウマ消去装置ではないですが、いいでしょう。記憶を消せばトラウマも消えるかもしれませんし、やってみましょう。料金はこちらでよろしいですか?」


 それは法律で定められた上限の金額だった。つまり高額だった。しかし老人は即答した。


 「結構です。私は会社を営んでおります。たとえ百倍の金額でも大丈夫です」


 「そうですか、わかりました。では、カードを」


 老人はカードを渡した。すぐに料金は引き落とされた。


 「では、こちらの装置へお入りください」


 老人は言われるとおりにした。すると、途端に眠気が襲ってきた。


 「そのまま眠ってください。寝ている間に記憶は消去されます」


 老人は眠った。すると装置が動き出した。装置は老人を外へ運び出し、研究所のドアの前へ運び、老人を立たせた。


 装置が研究所の中へと消えると、老人の意識が戻った。


 老人は研究所のドアをノックした。ドアが開き、博士が出迎えた。


 「ようこそいらっしゃいました。さ、どうぞ中へ」


 老人は中へと入った。研究所の診察室の椅子に座った。


 「どうされました?」


 「博士、私にはとても苦しいトラウマがあって夜も眠れません。記憶消去装置を使って私を助けてください」


 「記憶消去装置はトラウマ消去装置ではないですが、いいでしょう。記憶を消せばトラウマも消えるかもしれませんし、やってみましょう。料金はこちらでよろしいですか?」


 それは法律で定められた上限の金額だった。

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記憶消去装置 摂津守 @settsunokami

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