クピモンの真実のこと・前編




 ゼロス・クレイシア

 かつて神霊結社デルンケムの統括幹部だった彼だが、日本では大城零助と名乗り喫茶店ニルを営んでいる。

 もともと趣味で始めたような店だがそれなりに人気が高い。寝取羅学園が近くにあるため、学校帰りに立ち寄ってくれる生徒も多く、常連もいくらかいる。

 代わり映えはしないが安定した日々。

 ただ、私生活に関しては大きな変化があった。


 一年前、デルンケムとロスト・フェアリーズの戦いは、悪辣なる首領セルレの死をもって決着した。

 それとは一切何らまったくもって関係ないが、ちょうどその時期に零助の家には家族が一人増えた。

 ヴィラベリート・クレイシア。

 15歳の義妹が住むようになったのだ。

 以前は少し喧嘩したが今では和解し、仲の良い兄妹として暮らしていた。


 このヴィラベリートは義兄の贔屓目なしでも非常に美しい。

 白磁を思わせる艶めかしい白い肌に長い金紗の髪。深い海を思わせる碧玉の瞳に惑わされる男もしばしば。15歳という幼さでこれなのだから、将来が楽しみであり心配でもある。

 

「義兄様…日本の中学って勉強難しいのじゃ……。ハルヴィエドに家庭教師を依頼するとか無理かのう」


 もっとも自宅では宿題に悪戦苦闘する中学三年の女の子だ。

 最近は一学年下の朝比奈萌と親しくしているらしい。

 そして二人して、事あるごとに零助の義弟的存在であるハルヴィエドを訪ねる。

 あいつなら歓迎はするだろうが、あまり迷惑をかけないようにしてやってほしいものだ。


「いや、ハルは一応今を時めく経営者様だから」

「むむ。し、しかし私が望めばきっと」

「うん、お前が望んだらきっと無理をするからやめておこうな?」

「……そうじゃな。うむ、もうちょっと頑張るのじゃ」


 実のところヴィラは容姿に反して中身は大分ぽんこつ気味である。

 勉強も運動もせいぜいが中の下。それでも怠けたりはしない義妹を零助は温かく見守っている。


「はいはい、ヴィラベリート様。分からないところは私が見ますから」

「おお、助かるぞエーコ」


 ちなみに零助と久谷英子は遠い親戚ということになっており、彼女も一緒に暮らしている。

 当初の想定とは違ったが、これはこれで家族の和やかな日々だった。




* * *




 そんなある日のことだ。

 偶の休みに零助はレティシアと二人で酒を飲むことになった。

 女性と出かける時は好みそうな店をいくつか前もって調べておき、その時の気分で対応できるようにしておく。

 レティシアの希望は落ち着いた場所だったため完全個室の創作和食の店に行った。

 喜んでくれたようでお互い酒も進み、もちろん遅くならないよう頃合いを見て自宅まで送った。そうしたら何故か不満そうな顔をされた。解せぬ。

 ともかく零助は帰路についたのだが、その途中で奇妙な違和感に襲われた。

 元々彼は神秘に対して鋭敏なセンスを持っている。

 だから異界に踏み入ってしまったと即座に気付いたのだ。


 暗い夜から“もや”のようなものが集まって、一つの形を作る。

 それは獣の姿をしているのに足が七本ある、不気味な異形となった。


“クピディタース”。


 影から産まれて人に害を及ぼす化物である。

 魔法少女達がそう呼ぶので、いつのまにやら浸透してしまった。

 クピディタースは侵略ではなく破壊活動にのみ専心する。

 しかも今回は数が多い。

 なにかに誘われるように、次々と化物が出てくる。

 そして奴らは零助を見つけた途端、その触手を伸ばし襲い掛かってきた。

 だが人に害する敵がいるなら、人を守る者もいる。


「待ちなさい」


 ロスト・フェアリーズとは色合いの違う妖精衣をまとう、ショートカットの見目麗しい少女。

 未来から訪れたとされる魔法少女が、異形に襲われる人々を救うために現れたのだ。


「空音の妖精の加護をここに。嵐を制して花と咲く、花嵐(からん)のアリス。さあ、クピディタース。私が相手になる……よ?」


 ただし花嵐のアリスが決めポーズで戦いに臨もうとしたその時、敵は既にいなかった。


「あの……なんか、すまん」


 零助は居た堪れなくなって思わず謝罪していた。

 だって魔法少女の登場シーンの間に敵は壊滅させたからね! 5秒とかそんなレベルで!


 なにせ彼の正体は、呪霊剣王と呼ばれた神霊結社デルンケム最強の男。

 卓越した剣技と純粋な身体能力の高さ、さらに魂の質にも優れている。

 肉どころか内に宿る精神すら焼き尽くす呪いの力。

 己が殺害した敵を怨霊に変え、屍人の兵として蘇らせ強制的に戦わせる術。

 ぶっちゃけ味方側にいちゃいけないタイプのお人である。

 

「助けに来てくれたんだよな? あーと、感謝する」

「あ、いえ。なんのお役にも立てず……さ、さすがゼロスおじさん」


 ぺこぺこと頭を下げ合っていたが、その言葉に零助はぴくりと眉を動かした。


「何故、その名を……と、そういや君は未来からの。ハルの娘だったか」

「ええ。父さんのお義兄さんであるゼロスおじさんのことも当然知っています」

「お義兄さんか。そう言われると照れるな」


 未来からなんて眉唾だと思っていたが、妙なところで信憑性が増した。

 日本侵略の陣頭に立っていたハルヴィエドのことを知っているものは少なくない。

 しかし既に組織から離れているゼロスの顔と名前、さらにはハルヴィエドとの関係性まで把握している現地人というのは限られている。

 花嵐のアリスは魔法少女たちのリーダーだとも聞いた。

 ゼロスは少し距離を調整しつつ、アリスに探りを入れることにした。


「レティに教えてもらったが、君達は各々別の未来からやってきたんだろ?」

「レティシア叔母さんに? ああ、父さんの秘書だからか。はい、そうです。私とジュリアは同じ未来からですが」


 ジュリアレーテ・エフィル・セイン。

 魔法少女の中で、ゼロスが一番注目している女性だ。

 というのも彼女の気配は明らかにアムソラル族のもの。そして名前・守護名・家名で構成された名前からして、その母親は簡単に想像がつく。

 彼女の母は間違いなくヴィラである。

 あくまでも可能性上の未来とはいえ、ヴィラとハルが夫婦になる未来がある。義兄としては怒るどころか嬉しいくらいだった。


「そうか。ところで、俺の話を聞いてもらえるか?」


 ただし、それでこの娘に対して警戒を解くかと言ったら別だ。

 正直なところ魔法少女たちの意図は今一つ理解できない。

 実際に戦ったことで分かった。クピディタースはハルが作る怪人や魔霊兵に近い、物質化した霊体だ。

 しかもゼロスどころか、ハルや妖精姫でも十分対応できるレベル。わざわざ対策をとるような強敵ではない。

 にも拘らず過去に逆行してまで彼女達はそれを倒そうとしている。しかもハルの娘を自称して。

 なんらかの企みがあるのではないか。そう考えてしまう程度には、彼女達の動きは不可解だった。

 だから、釘をさしておく必要がある。


「は、はい? どういう、ことでしょう?」

「いや、内緒なんだが。俺はシスコンなだけでなく、ブラコンでもあるらしいんだ」


 花嵐のアリスの周囲に、おぞましい黒い影が沸き上がる。

 ゼロスの操る、無念を抱えたまま死んだ怨霊たちだ。

 先程のクピディタースなんぞ比べ物にならない程の悪意が少女の周りで蠢いている。


「君達の動きは少し妙だ。俺はなにか裏がある、と踏んでいる。しかもそいつは、ハルに関わるなにかだ」

「っ……!?」

「未来がどうとかは置いておくとして。俺の可愛い弟によからぬことをしようというなら、手加減が難しくなる。悪いがこれでも元悪の組織の統括幹部だ。正義の味方と違って相手が誰でも躊躇いはないぞ」


 表面の爛れた醜い怨霊がアリスに手を伸ばす。

 お前も死ね、こちらに来い。ともに地獄に堕ちろ。

 命あるものを妬み憎む者たちが怨嗟の叫びをあげていた。


「洗いざらい話せ、花嵐のアリス。若い身空で怨霊の仲間入りはしたくないだろう?」


 こうしてゼロス・クレイシアは、冷静で理知的かつ穏やかな交渉によって、ハルヴィエドより先に事態の全容を知った。


 ・

 ・

 ・


「……と、ということですっ! わ、私はハル父さんも萌母さんもヴィラ母さんも大好きですし、別に罠に嵌めようなんて考えてません! もちろん萌母さんもヴィラ母さんも、父さんが大好きで、だからこそラディクスを放置できないといいますかっ!? ゆりゅしてください!?」

「あの、うん、ごめん。ちょっとやりすぎた」


 が、ぶっちゃけ心配はすべて杞憂だった。

 なので神霊結社デルンケム最強の男が全力で16歳の少女を脅しただけ、という後味の悪い結末になってしまいました。

 

「うう…若ゼロスおじさん怖いぃ……。いつもはのんびりコーヒー淹れてくれるのにぃ……」


 本当にごめんなさい。




 ◆




546:名無しの戦闘員

 アニキ、いつの間にアリスちゃんと……?


547:ハカセ

 アニキ「この前の夜、偶然クピモンに襲われたんだ。撃退したんだが、アリスちゃんが駆けつけてくれてな。それで穏やかな交渉を経て繋がりを持った、という感じかな?」

  ワイ「おお、さすがアニキや!」 


 統括幹部だった頃はわりと威圧的な交渉が多かったけど、アニキも丸くなったなぁ

 ワイのこと色々言うけど、そもそもアニキも仲間のために無茶するするお人やし

 こうして穏やかになったのは、喫茶店でお客さんと接するようになったからかも知れん


548:名無しの戦闘員

 やっぱアニキ強いんやな


549:名無しの戦闘員

 威圧的な交渉?


550:ハカセ

 敵対勢力に対して「氏ぬか消えるか選べ、俺の手間はどちらでも変わらない」とか?


551:名無しの戦闘員

 交渉じゃねぇぇぇぇぇぇ


552:名無しの戦闘員

 逃げるの見逃す労力=ぶっ潰す労力

 どんだけ圧倒的やねん……


553:名無しの戦闘員

 アニキィ!?


554:ハカセ

 ちなみに先代は「相手を不快にさせるのはマナー違反」って言葉に対して「じゃあお前が息してるだけで俺は不快だからマナー違反で氏ね」って普通に相手の頭蓋を握り潰すような交渉をするお人や


555:名無しの戦闘員

 もはや交渉の定義がおかしい


556:名無しの戦闘員

 そろそろ忘れかけてたけどコイツら悪の組織の幹部なんだった……


557:名無しの戦闘員

 先代にゃ悪いけどつくづく首領ちゃんがトップでよかったぜ


558:ハカセ

 しばらく待っているとアリスちゃんがやってきた

 

 アニキ「ああ、いらっしゃい」

 アリス「……ど、どうも」(ビクビクゥッ!


 なんかちょっと緊張してるっぽい?

 でもすぐに佇まいを直してワイの方を向く


  アリス「……こちらでは初めてだね、父さん」

 ジュリア「あ~、父様だ~。わ~い」


 なんと、ジュリアちゃんもおる

 変身前のアリスちゃんはショートカットの眼鏡っ娘やね

 何となく知的で静かなタイプの女の子や


  ワイ「アリスちゃんは、随分落ち着いているね」

 アリス「ふふ、そうだね。どちらかというと、冷静な方ではあるかな」


 なんてクールに言っちゃうアリスちゃん

 てかなんでジュリアちゃんはキャラ違いません?


 ジュリア「皆の前だから気合入れてたの~」

   ユエ「ジュリ姉はオレらの中で一番のんびりさんだぞ?」


 ユエちゃんからフォローが入る

 外見だと年齢一番高そうなので、ちょっとイメージ違ったわ


559:名無しの戦闘員

 フォロー……?


560:ハカセ

 ジュリア「わぁ、母様だ~。ちっちゃ~い」

   首領「む、むむむ。か、母様。つまり、その、おぬしは本当に?」

 ジュリア「うん。ハカセ父様と、母様の娘だよ~」

   首領「わ、わった!? わたたたし、とハカセねぉ!?」


 大混乱なる首領

 ニマニマするA子ちゃんとアニキ


561:名無しの戦闘員

 実はアニキに「てめえ、俺の義妹に手を出したのか」展開期待してた


562:名無しの戦闘員

 いや、ハルヴィエドラフトの時を見るにアニキは首ハカ推奨派だぞ


563:名無しの戦闘員

 しかも首領ちゃんを上に置くなら重婚もおっけー


564:ハカセ

 ルルン「私と、ハカセさんの……」

 アリス「うん、ルルン母さん。自分より幼い母さんを見るのは不思議だけど」

 ルルン「えへへ、私もです。少し、屈んでもらえますか?」


 言われるままにしゃがむアリスちゃんを、ルルンちゃんがぎゅーって抱きしめる

 

 アリス「母さん?」

 ルルン「会いに来てくれて、ありがとうございます」

 アリス「……うん」(小さく微笑み


 和やかぁな体面や

 しかし、次の言葉に衝撃が走る


 ジュリア「ルルン母様も小っちゃくて可愛い~」

   

 こっちの母娘は逆にジュリアちゃんの方が首領を抱きしめとる

 なんか「ぬ、ぬぉ、ぱ、パワーがダンチ……!?」とか言ってる

 脱出しようにも娘の方が膂力に優れている模様

 ただジュリアちゃんは聞き逃せんセリフを口にした


  A子「……ルルン、母様? それは、どういうことでしょう?」

ジュリア「え~? ルルン母様は、母様のお嫁さんで、だから妾の母様だよ~」


 ?????????????

 ワイの虹色の脳細胞が、理解を拒んどる

 でもアリスちゃんが明確にしてしまう


 アリス「私とジュリアは同じ未来から来た。父さんは、ルルン母さんと首領母さんの二人と結婚してるよ」


 やりやがった

 やりやがったぞ、未来のワイぃ…………


565:名無しの戦闘員

 はい、通報


566:名無しの戦闘員

 よりにもよって手を出しちゃマズい低年齢二人をまとめて頂きやがったw


567:名無しの戦闘員

 ルルンちゃんと首領ちゃんはハカセのお嫁さん

 ルルンちゃんと首領ちゃんもお嫁さん同士

 おめでとう、ハカセ!


568:名無しの戦闘員

 おめでとうございます!


569:名無しの戦闘員

 おめっとさんw


570:名無しの戦闘員

 父は悪の科学者、母はダブル幼女

 そして、全てのロリコン達に、おめでとう


571:ハカセ

 やかましいわ!?

 大体未来の話やから今のルルンちゃん達に手を出した訳やない


ジュリア「ちなみに二人とも16歳で、誕生日も一緒だよ~」

 アリス「私達は母さんが17歳、首領母さんが18歳の時の子供だね」


 ほれ見ろちゃんと成人していますぅぅぅぅぅ!?


572:名無しの戦闘員

 いや、俺達の感覚で行くとそれは十分……


573:名無しの戦闘員

 お前絶対にルルンちゃんの家族に嫌われてるぞw


574:名無しの戦闘員

 じゃあここいらで少しまとめておくか


<清流のフィオナ> 娘:らぶりー♡みそら(12歳)

 一夫一妻

 19年後の娘(ハカセ34歳・フィオナ24歳で誕生)

 別荘もってたりお金持ち夫婦


<浄炎のエレス> 娘:まじかる☆ユエ(12歳)

 一夫一妻

 18年後の娘(ハカセ33歳・エレス22歳で誕生)

 エレスちゃんが自重してない


<萌花のルルン> 娘:花嵐のアリス(16歳)

 首領ちゃんと一緒にハカセと結婚

 19年後の娘(ハカセ30歳・ルルン17歳で誕生)

 未来では神霊工学者に


<首領ちゃん> 娘:ジュリアレーテ・エフィル・セイン(16歳)

 ルルンちゃんと一緒に結婚

 19年後の娘(ハカセ30歳・首領18歳で誕生)

 アイドルになったり政治家になったり未来が安定してない


<猫耳くのいち>娘:謎の魔法少女猫ネッコ(15歳)

 一夫一妻?

 ??年後の娘

 よく話してる割にあまり詳しい情報は得られてない


575:名無しの戦闘員

 サンガツ


576:名無しの戦闘員

 年齢も誕生日も一緒……それって? 

いや、よそう

 俺の勝手な推測でみんなを混乱させたくなくなくないない


577:名無しの戦闘員

 お前も相当混乱しとるでw


578:ハカセ

 >576 なんか気になることでもあるんか?


 アリス「まあ、あくまで分岐された未来。そこに辿り着くには転換点をいくつもクリアする必要がある。普通に過ごしていれば、順当にフィオナさんと結ばれるんじゃないかな」

  ワイ「つまりワイと君はあくまでも双方向の観測者に過ぎないと?」 

 アリス「うん、そうなる。ふふ、父さんとこういう話をするのは楽しいね」


 わりと簡単に言っちゃうアリスちゃん


  首領「うぬ?」

 ルルン「え、えっと?」

  ユエ「うーん?」


 なんで未来のエレスちゃんの娘が分かってない側に入ってるんですかね


579:名無しの戦闘員

 ん? 

 ルルンちゃんとハカセがくっつかないとアリスちゃん産まれないのに軽すぎん?


580:ハカセ

 >579 ちょい違う


 ワイにとってユエちゃんやアリスちゃんは、あくまで可能性上の未来や

 もしもフィオナたんとじゃなく○○ちゃんと結婚したら、っていうな 

 逆に魔法少女ちゃん達の現在も既に確立されとって、彼女らとってもワイは「可能性上の過去の父親」に過ぎん


『私のパッパがマッマを選ばなかったら、こういう過去もあったんじゃないか?』


 そういう可能性がワイであり、ワイらはお互いに観測し合っている

 その認識をアリスちゃんが抱いているのなら、「分岐した過去」を選んで戻れると考えた方が自然やな

 にも拘らずハカルル時空ではなくこの時点に戻ったのは装置の制約か、意図的なものか

 ……未来が確定してない状況にしか来られない、とかだったどうしよ

 いや、それはないと信じとる


581:名無しの戦闘員

 どういうこと?


582:せくしー

 ルルンちゃんの娘が来た現在は、「その時点ではルルンちゃんの娘が産まれる可能性が存在している」という考え方ができます

 つまり現在が「フィオナちゃんと破局して他の未来に分岐するかもしれない転換点」ではないか、という不安ですね

 話を聞くに未来というより並行世界に近いので、そこまで心配はないと思いますが


583:名無しの戦闘員

 はえー、せくしーちゃん理解力高いなぁ 


584:ハカセ

 そんなこんなでワヤワヤしてるうちに未来組より補足説明

 

  アリス「ルルン母さんは中学の後半から神霊工学者として父さんの下で学んでいた。それで次第に親しくなっていったそうだよ」

 ジュリア「母様も、父様の会社のモデルさんをやりつつ組織のトップも頑張ってました~」

  アリス「仕事で触れ合う機会が増え、いつしか二人の少女の心は尊敬や親愛から慕情に……」

 ジュリア「でも、首領母様とルルン母様は親友同士。二人は、同じ人を好きになってしまった!」

  アリス「私達はどうすればいいの……?」

 ジュリア「首領『……別に二人でハカセをシェアすればよくない?』」

  アリス「ルルン『それです!』」

 ジュリア「そして三人は」

  アリス「幸せなキスをしてしゅーりょー、だね」


 ねえ? 君達打ち合わせしてきた?


 首領「みみみ、未来の私がとんでもない倫理観の持ち主に!?」(顔真っ赤

ルルン「わ、わぁ……えへへ、そっか。二人で……」(顔真っ赤


  これ前途ある少女達に悪影響ない?

  大丈夫? 色んな意味で大丈夫?


585:名無しの戦闘員

 ダメだろ(確信


586:名無しの戦闘員

 アリ寄りのアリ

 ワイ将は応援するンゴ

 

587:名無しの戦闘員

 そもそも首領ちゃんは一夫多妻も一妻多夫も認められた世界のお人だからなぁ

 根本的にそういう形態の結婚に拒否感がないのか


588:名無しの戦闘員

 つかハカセがぴゅあj民w


589:名無しの戦闘員8

 あれ、じゃあルルンちゃんは……?


590:ハカセ

 アリス「私達の未来では、とある女性教育評論家が政界に進出して、女性の権利擁護のために活動していた。その一環として自由婚姻制度が設けられたんだ。分岐した他の未来よりも成立が早かったみたいだね」

 

 女性教育評論家……いったい何者なんや


591:名無しの戦闘員

 俺には全く分からないぜ


592:名無しの戦闘員

 なんて教育に悪そうな教育評論家……

 私ちゃん、ちょっと信じられない


593:名無しの戦闘員

 せやね(白目


594:ハカセ

 ルルン「その、アリスさん。もう少し夫婦生活について詳しく……」

 アリス「え? そうだね……父さんと母さん達は寝室が一緒、とかかな?」

 ルルン「ささ、三人で寝てるんですか?」

 アリス「うん。あ、正直ルルン母さんも首領母さんも重いけど、父さんもダダ甘の激重だから束縛とかで仲違いしたことはないよ」

 ルルン「うん、うん」

 アリス「娘から見ても、恥ずかしくなるくらい夫婦仲はいいね。ルルン母さんは研究者夫婦として、よく父さんと取材を受けてる」

 ルルン「そっか、そうなんだぁ……」


 無邪気に未来の話に耳を傾けるルルンちゃん

 なんかダメージデカいわ、この会話


  首領「なんと。まさか未来のプラモにそんな技術革新が?」

ジュリア「そうだよ~。もうシールなんて必要ないくらい細かくカラーが設定されてるの」

  首領「それは素晴らしいのじゃ。私、ちまちま貼るの苦手……」

ジュリア「今は環境に優しいハイポリマー・クライリアっていう材質を使ってるんだけど、なんでかプラモって呼び方は変わらないんだよね~」

  首領「プラスチックは肩身が狭いから仕方ないのう。しかし、未来は夢に溢れておるのじゃ」


 君らはなんの話してるの?


595:名無しの戦闘員

 19年後でもガン〇ムって続いてるんかな


596:名無しの戦闘員

 悪の組織や魔法も確認されたし、魔法少女ガ〇ダムが出てきてもおかしくない


597:名無しの戦闘員

 それに関しては魔法の少尉ブ〇スター・マ〇っていう先例がね


598:名無しの戦闘員

 おまいらも何の話をしとるんやw


599:ハカセ

  アリス「まぁプロポーズも二人同時で、“二対一で勝利をもぎ取った”なんて母さんは笑っていたけどね」

 ジュリア「でもアリスも妾も仲良し、ルルン母様も首領母様も仲良しで、いい家族だよ~」


  異母姉妹、になるんやろうけど確かに二人とも親しそうや

  だからって「ほうほう」とか、「なるほど、二人がかりなら強敵にも」とか頷かないでください


 A子「詳しく」


 そして多分一番興味深そうにしているA子ちゃん

 でも居心地悪そうなアニキ


 アニキ「花嵐のアリス、可及的速やかに本題に移ってもらえるか?」

 アリス「は、はいっ!」(ビクビクビクゥッ!


 なんか、アリスちゃん実はアニキのこと苦手っぽい?

 未来でなんかあったんやろか……


600:名無しの戦闘員

 意外と「小っちゃい頃にケーキつまみ食いしたらメッチャ怒られた」とかだったり


601:名無しの戦闘員

 あー、ありそうw


602:ハカセ

 アニキのおかげで一気に核心へと進みました


アリス「た、端的に言うね。私達はクピディタースの根絶を目的としている」

   「ただし、過去改変をしても私達の世界は変わらない」

   「なので、ここで倒し方を学びつつ、そのお礼代わりにこの世界でクピディタースが産まれないよう対応するつもりだよ」

    「そして、クピディタースの基礎概念を組み立て、十年以上先の未来でそれを完成させるのはプロフェッサーYという研究者」

    「猛虎弁……そう呼ばれた社員なんだ」


 おう、どういうこっちゃ猛虎弁

 

603:名無しの戦闘員

 えっ、ワイ将?






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