お互い悩むのこと



400:名無しの戦闘員

 一体何が起こったんだ……


401:名無しの戦闘員

 分からん 

 でもフィオナちゃんがハカセをデートに誘ったのは確かだ


402:名無しの戦闘員

 そもそもデートってなんだ(哲学


403:ハカセ(カノジョいない歴=年齢中)

 そんなんワイが一番知りたいわ


404:名無しの戦闘員

 イケメンなのにモテないお前なんなの?


405:ハカセ

 ワイはパッパのこと尊敬しとったけど周囲は違ってな

「やーい、お前のパッパ、底辺ホストからの無職ー」みたいな感じでワイは同年代に馬鹿にされとった

 そやけど神霊工学者として結果出したら「私ぃ、昔からハカセくんのことイイと思ってたんだよねぇ」みたいな奴らがわんさか近付いてきおった

 ぶっちゃけていうとワイな、あんまり女の子のこと得意やないねん


406:名無しの戦闘員

 うわぁ……


407:名無しの戦闘員

 次元超えてもクソ女っていんのな


408:名無しの戦闘員

 お近づきになりたくない女性にばっかモテてたわけか


409:ハカセ

 >407 安心しろ クソ男も老害も一定数おる

 

 幸い組織に入ってからはせくしーとかA子ちゃんとかいい子ばっかりで女性不信にはならんかった

 猫耳もあんな家で育ったのに優しい子や

 ゴリマッチョの奥さんも器量よし性格よしのお姫様やし

 が、ワイは何故かそういう女の子には縁がなくてなぁ……


410:名無しの戦闘員

 いい子は皆周りの男のもんとか泣けるな……


411:名無しの戦闘員

 ハカセメインの寝取られゲーでも作れそうだ

 

412:ハカセ

 ワイの脳を壊そうとせんでもらえる?

 

 そういや、前に誰か言っとったな

 ワイのフィオナたんへの好きって、推しのアイドル可愛い! 結婚したい! とあんま変わらんって

 たぶんそれって事実なんや

 ドンピシャ好みの外見しとって、敵とは言え華々しく戦う姿に見惚れたのが最初やからな

 んでちょっとしたきっかけで話すようになった

 エレスちゃんと仲良しなのとか微笑ましくて、年相応に弱いところもあるって知った

 でも頑張ってる姿に、アイドルやなくて普通の可愛いええ子やなーなんて今では思っとる

 だからいきなりデート誘われて正直困惑しとるんやけど


413:名無しの戦闘員

 ちょっとしたきっかけ(安価)


414:名無しの戦闘員

 ハカセの語りにムズムズする


415:名無しの戦闘員

 あれお前も? 実は俺もです

 なんだろこの感覚


416:名無しの戦闘員

 ここで颯爽とエレハカ女の登場

 ごめん、私ちゃんすごい嫌なことに気付いた

 レス読んでてずっと思ってたんだけど、ハカセって妙なところで女の子に幻想を抱いてるよね

 もしかしてこの人、初恋がまだなのでは?


417:名無しの戦闘員

 いやいやまさかだろ


418:名無しの戦闘員

 それはさすがに


419:ハカセ

 あっ


420:名無しの戦闘員

 あっ、ってどうゆうこと⁉


421:名無しの戦闘員

 うっそだろお前⁉


422:名無しの戦闘員

 しっかりしろよ26歳!


423:名無しの戦闘員

 その話聞いたらなんか納得いった

 普通にしてたらいい奴なのに好きな子を意識し過ぎると空回りするって男子小学生そのものじゃん

 

424:ハカセ

 そういやカノジョおらんもなにも告白したことない

 パッパ養うためにガキの頃から大人に混じって仕事しとった

 組織に来てからも基本世話役みたいなもんやったし

 言われてみたら初恋の相手なんておらんわ


425:名無しの戦闘員

 さらりと零れるパッパ養うという闇深ワード


426:名無しの戦闘員

 マジで恋愛経験ゼロなのか

 というより幼少期に周りがクソ過ぎたせいでタイミングを逃した?


427:ハカセ

 ワイは、ワイはどうすれば……?


428:名無しの戦闘員

 いや、別に驚いただけで悪いことではないと思う


429:名無しの戦闘員

 だよな 相手もまだ16歳だし

 ハカセんとこと違ってこっちだと十分子供の範疇

 恋愛に慣れた大人な対応はそこまで求められないはず

 

430:名無しの戦闘員

 むしろ問題はハカセの考え方だ

 おいお前ら! 俺らの役目は分かってんな!


431:名無しの戦闘員

 おう! ハカセがちゃんとデートの日を迎えられるようサポートだな!


432:名無しの戦闘員

 とりあえず落ち着くんや

 お前にはワイら(童貞)がついてる


433:名無しの戦闘員

 ハカセ、今お前に必要なのはデートの計画とかじゃない

 フィオナちゃんに対してどういう向き合い方をするか、自分を見つめ直すことだ

 好きってことはお付き合いしたいってこと?

 お付き合いしたとして首領ちゃんから離れるの? それともデルンケム側に引き込むの?

 ハカセの「好き」はそういう状況になっても揺らがない「好き」?


 アイドルに対する推しじゃなく、現実問題としての好きを考えないといけない

 少なくともフィオナちゃんは「デート」って言葉を使ってきた

 お前に対して一定以上の好意があって、デートするような関係を求めてるわけだ

 中途半端はあの子を傷つけることになるんだぞ


434:ハカセ

 そやな ワイちょっと軽く考えてたかもしれん


435:名無しの戦闘員

 あと忘れちゃいけない

 フィオナちゃんはハルヴィエドを好きになった訳じゃないよ

 日本人のハカセさんを好きになったんだ

 もっと言ったらア〇ル・フリスカーでも全裸待機しちゃうアホでなく、ちょっと抜けてるけど頼れる優しいお兄さんに惹かれている女子高生だからね

 

 それにあの子の方も変身ヒロインだって隠してる

 多分現状、ハカセとフィオナちゃんの意識には結構な差があるはず

 ハカセは敵でも可愛いと思ってるけど、フィオナちゃんが敵でもカッコいいと思ってくれるかは別だよ


436:名無しの戦闘員

 そこがあったかぁ

 特撮的には悲劇の定番だよな、敵と知らずに恋に落ちるって


437:名無しの戦闘員

 恋までいくのは違わない?

 現状はお互いあくまで何となく気になる、好意がある、くらいだとは思う 


438:名無しの戦闘員

 一番のネックは恋愛というにはお互いの理解度が低い点

 ハカセがフィオナちゃんを騙して近付いた敵って立ち位置なのも痛い


439:名無しの戦闘員

 最悪キレられてバトルになるかも


440:名無しの戦闘員

 だからとりあえず今日は落ちんなよハカセ

 一人で考えても堂々巡りになるだけだ

 まず何かあるならここで吐き出せ

 俺らもグダグダ書き込むから自分に役立ちそうなレスだけ拾え

 

441:ハカセ

 おまえら……サンガツ

 ワイとフィオナたんとの未来のためにそこまでしてくれるとは


442:名無しの戦闘員

 まあホントに役に立つかは別問題だけどな


443:名無しの戦闘員

 それを言っちゃあおしめえよw


444:名無しの戦闘員

 自然と二人の未来を妄想するくらいだからハカセ側の好意は結構強めなんだよね


445:名無しの戦闘員

 あとはフィオナちゃんがどう思ってるかなんだけど怖いなぁ

 どうか変な拗れ方しませんように


446:名無しの戦闘員

 正体晒すべきか、内緒でハカセさんとして付き合うべきか

 わりと前言ってた二重生活が収まりいいかも 


447:名無しの戦闘員

 俺らは心情的にはハカセの味方だしな

 フィオナちゃんの選択がどうあれハカセが傷付かない結末であってほしい


448:名無しの戦闘員

 悪の科学者応援して正義のヒロインの動向に悩む

 これもうわかんねぇな


449:名無しの戦闘員

 今さらにゃんj民に倫理を求められましてもw







 私の父、神無月誠一郎は桁外れの富豪だ。

 父は幼い頃から私にこう教えてきた。


『貧富に関わらず、人は値踏みされるし、値踏みするものだ』

『金があればその機会も増える』

『お前は私の娘として多くの人間に値踏みされる人生を歩む』

『だからこそお前も値踏みしなさい』

『お前がこれから接していく誰かが、自分にとってどのような価値を持っているか』


 一般的な父親としての資質は分からない。

 少なくとも小さな頃の私は寂しい想いをしていたが、飢えることはなかった。

 誕生日のプレゼントだって郵送されてきた。

 夏休みを一緒に過ごしたことはないけれど、忙しい中で精一杯父親をやろうとしてくれていたのだと思う。

 それでも月夜の妖精リーザは私の前に現れた。逆説的に、幼い私は心のどこかで自身の境遇を不幸だと嘆いていたはずだ。

 なのに人を価値で測る父の教えは、嫌いな考え方なのに、何故か強く胸に残っていた。

 



 

『次の日曜日デートに行きませんか』


 晴彦さんにメッセージを送ってから、私はずっと悩んでいる。

 緊張は勿論ある。男の人を自分から誘うなんて生まれて初めてだった。

 でも考えたのは違うこと。私の行動は、晴彦さんに近しい人たちにはあまり歓迎されていないらしい。


 あの後、美衣那にも連絡を取った。あれだけお兄さんを慕っている彼女に隠れてデートというのは気が引けた。

 怒るくらいはされるかと思ったけど、美衣那は冷静な態度を崩さない。


『沙雪は、ハル兄さんが好き?』


 代わりに返ってきたのは質問。

 私が肯定すると、彼女の声が少し冷たくなった。


『それが本当なら別にいい。……私は、沙雪のことそんなに嫌いじゃない、にゃ。だからハル兄さんが選ぶなら、貴女をお姉ちゃんと呼ぶのもやぶさかではない』

『でも……その好きが嘘だった時は、私は貴女を許さない』


 ブラコンな美衣那だから、晴彦さんにアプローチすること自体に反対だと思っていた。

 でもその逆で、うまくいかなかった時こそ許さないと彼女は言う。


 その違和感に父の教えを思い出した。

 英子先輩もマスターも、美衣那も。

 彼と近しい人たちは皆私を応援してくれなかった。

 

 つまり値踏みされたのだろう。


 マスターは色々助言をくれたし、英子さんは私の心配をしてくれる。

 美衣那だって私があ、姉になっても、かまわないと言う。それはまだちょっと早いと思うけど。そういうのはちゃんと手順を踏むべきだと思うし。

 閑話休題。

 とりあえず嫌われていないし、私が晴彦さんを好きになること自体は反対していない。

 でも値踏みの結果、好きだけでは駄目だと。今の私には何かが足りていないと判断されたのだ。

 そのなにかが分からず、私はずっと悩んでいた。


「……ねえ、沙雪ちゃん。そういう相談は、どう考えても沙雪ちゃんよりモテないボクには荷が重すぎない?」


 主に茜の部屋で。

 だって萌や美衣那にこんな悩み打ち明けられない。

 あと、私は普通に友達が少ない。茜の他に恋愛相談できる人なんていません。

 

「言っとくけどボク告白とかそういう甘酸っぱいイベント一切ないよ? クラスの男子から“結城は男友達みたいなもんだし”ってふつーに言われてるからね?」

「そうなの? 茜はこんなにかわいいのに」

「ボクの扱いって結構ヒドイんだから。その男子、ボクがスカートはくと“女みたいな恰好なんて似合わない”とか“結城を好きになる男なんていないだろ”とか」


 それは本当にひどい。

 茜の魅力が分からないなんて見る目がないにもほどがある。


「まあ? ムカつくから“ボクを心配して、大切だって言ってくれる男の人だっているもんねー”って返してやった! へへん、メガテンになってたよ」


 目が点、の発音が若干おかしい。


「えーとね。まあそんな感じでボクも恋愛とか少女マンガで見る以上のことは分からないんだけど。でもね、沙雪ちゃんなら大丈夫だと思うんだ。だって、聖霊天装が出来たんだから」


 意味が分からず首を傾げると、茜は朗らかに笑った。


「灯火の妖精ファルハに聞いたんだ。聖霊天装に必要な才能は“まっすぐ”なこと。妖精を受け入れたうえで、まっすぐ自分を貫くける人だけが進める段階なんだって。だから、沙雪ちゃんも大丈夫。どんなことがあったって、まっすぐぶつかっていけるよ」


 私は首から下げた守り石を握りしめた。

 茜や萌が簡単に習得した聖霊天装を、どうして自分が中々使えなかったのか。その意味をようやく理解する。


「ありがとう、茜。貴女が友達でよかった」

「へへ。ボクも沙雪ちゃんが大好きだよ。晴彦さんとうまくいっても時々遊んでね?」


 足りなかったのはこれだ。

 相手を疑わずに受け入れること。その上で、素直になること。

 それが出来なかった私だから妖精との融合が上手くいかなかった。

 でも今は違う。

 守り石という助けはあったが、ちゃんと心を繋げることが出来たじゃないか。

 なら大丈夫だと、私の親友が信じさせてくれた。


「ところで初めてのデートでカップルジュースって引かれると思う?」

「え!? それって一つのジュースを二人で飲む伝説のヤツ? そういうのは付き合い始めて……その、て、手を繋ぐようになってからじゃないかなーってボクは思うな。あ、はは」

「そ、そうよね。ごめんなさい、忘れて」


 とりあえずデートの予定から削除しておく。

 茜にはもうしばらく相談に付き合ってもらおう。



 私は、たぶんまだ晴彦さんのことを知らない。

 でも幼い彼のことをマスターから聞いて、あの人の頭を撫でてあげたいと思ったのだ。




 ◆




113:ハカセ

 ついに来た決戦の日曜日

 髪は整えたし服は店員さんに見立ててもらった

 マウスウォッシュもした

 香水は袖口に少しが日本のマナー

 よし、完璧や


114:名無しの戦闘員

 服は猫耳ちゃんに準備してもらったんじゃないんだ


115:名無しの戦闘員

 マウスウォッシュの辺りに本気度が見えてキモいなw


116:ハカセ

 >114 

 女の子とのデートに別の女の子が選んだ服着てくのってなんか違うくない?

 線引きが必要ってのはこのスレで学んだ 


117:名無しの戦闘員

 偉いぞハカセ


118:名無しの戦闘員

 スレの最初は単なるフィオナたん推しだったハカセがデートするまでになるとは感慨深いなぁ


119:名無しの戦闘員

 もうすぐ時間だろ?

 ハカセ、早めに基地を出ろよ


120:名無しの戦闘員

 基地を出ろという促しに草しか生えん


121:ハカセ

 LリアちゃんとN太郎くんが育ってくれたおかげで一日の休みが捻出できた

 あと猫耳が「今日は仕事したい気分だから、ハカセはゆっくりするにゃ」って自分の出来る業務は全部持ってってくれた

 みんなええ子やなぁ 


122:名無しの戦闘員

 なんだよ、ハカセ一人貧乏くじ引いてるのかと思ったら皆ちゃんと支えてくれてるじゃん


123:名無しの戦闘員

 俺らだって画面の向こうから応援してるからな!


124:ハカセ

 結局1スレ分付き合わせてもたな

 みんなサンガツ

 後はワイなりに頑張ってみるわ

 こっからはたぶん夜まで書き込みできんけどよろしく

 ほな、いってくるわ!


125:名無しの戦闘員

 さあ、どうなるか


126:名無しの戦闘員

 なんだかんだうまくいってほしいけど難しいよなぁ


127:名無しの戦闘員

 さすがにデート中の書き込みはないだろうから夜の報告待ちだな


128:名無しの戦闘員

 やきもきするンゴねぇ……


129:名無しの戦闘員

 服装大丈夫かな

 初めのハカセ案「白タキシード+バラの花束」はなんとか却下させたけど


130:名無しの戦闘員

 初デートで重すぎるわw


131:名無しの戦闘員

 パスタがオシャレとか基本感性が一世代前の少女マンガなのはなんでなの?


132:名無しの戦闘員

 ハカセの日本知識って勉強して得たものだから微妙にずれてんだよな

 カップルジュースをしたいとか、今の女子高生が聞いたら引くw


133:名無しの戦闘員

 くっそー どうなってるのか気になり過ぎる


134:せくしー

 こちらコードネーム<せくしー>

 所定の位置につきました


135:名無しの戦闘員

 ん?


136:名無しの戦闘員

 どうしたのせくしーさん?


137:名無しの戦闘員

 いつもとノリが違うけど


138:せくしー

 いえ、あのですね

 正直私もハカセさんのデートとか気になり過ぎまして

 偶然にも会社の方は有給をとれたのでスニークしようかな~と


139:名無しの戦闘員

 わ、悪ノリだぁぁぁぁぁあ⁉


140:名無しの戦闘員

 偶然有給とかなんも偶然じゃねえw


141:名無しの戦闘員

 いやいや、でもハカセの邪魔すんのはよくなくない?


142:せくしー

 もちろん彼にはバレないようにしますよ

 正直に言えばロスト・フェアリーズとの逢瀬ですから監視役は必要だと思います

 話の転がり方によってはハカセさんに危害が、という展開もあり得るじゃないですか

 でも組織に報告したら荒ぶる首領ちゃんになる可能性が高いのでここは私が行くしかないと考えました

 あとハカセさんのデートとか普通に観たい


143:名無しの戦闘員

 最後本音漏れてんぞw


144:せくしー

 ともかく! 

 ここからは「ハカセの愚痴スレ」ではなく「せくしーによるデート実況スレ」になります

 ご了承のほどお願いいたします


145:名無しの戦闘員

 やべえぞ せくしーもにゃんjに染まってやがるw


146:名無しの戦闘員

 でもおかげでハカセのデートを俺達も堪能できるぜ

 任せたせくしーさん!


147:名無しの戦闘員

 ( ゚∀゚)o彡゚ せくしー

 ( ゚∀゚)o彡゚ せくしー

 ( ゚∀゚)o彡゚ せくしー 


148:名無しの戦闘員

 ハカセのスレなのに順当にせくしー推し増えてんなw





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