【相談スレ】ワイ悪の組織の科学者ポジ、首領が理不尽すぎてしんどい【掲示板形式】

西基央

【相談スレ】ワイ悪の科学者ポジ、誰か愚痴を聞いてほしい





1:名無しの戦闘員

 もうストレスでやばいんや……


2:名無しの戦闘員

 なんだこのスレ


3:名無しの戦闘員

 普通に不謹慎


4:名無しの戦闘員

 悪の組織ってニュースになってるヤツ?


5:ハカセ

 とりあえずコテトリつけとくわ

 ワイは某日本征服をかかげる組織で神霊工学ゆうてもあれか

 科学者的ポジで怪人の開発とかやっとるんやけど忙しいし部下はアレやし首領は怒るしで毎日がしんどい……


6:名無しの戦闘員

 某って日本征服掲げてる組織なんてデルンケムしかないけどw


7:名無しの戦闘員

 いっつも変身ヒロインちゃんにやられてるとこな


8:名無しの戦闘員

 かわいいよねフェアリーちゃん達


9:名無しの戦闘員

 分からない人のために一応

【デルンケム】

 二年前いきなり現れた謎の集団 怪人とか雑魚戦闘員とかで暴れ回る古典的悪の秘密組織

 首領の名前がセルなんちゃらということくらいしかよく分かってない

 目標は日本征服らしい


10:名無しの戦闘員

 続き

【ロスト・フェアリーズ】

 デルンケムに対抗する変身ヒロインたち みんな美少女(重要)

 年齢は13~16歳くらい? 結構幼めな顔立ち

 今確認されてるのは『清流のフィオナ』『浄炎のエレス』『萌花のルルン』の三人

 失われた妖精? の意味は分からない


11:名無しの戦闘員

 妖精っていうわりにコスチュームエロいよな


12:名無しの戦闘員

 わかる 布うっすいし腋と背中丸出しレオタード


13:名無しの戦闘員

 エレスちゃんカワイイ

 お胸おっきいのに拳使った近接タイプだから揺れてヤバイw


14:名無しの戦闘員

 どう考えてもルルンちゃん

 俺ロリコンじゃないけどちっちゃくてくりくりお目目な無邪気っ子最高


15:ハカセ

 ワイの推しはフィオナたんや

 スレンダーでクールっぽくみえるのにエレスちゃん大好きなの可愛すぎん?


16:名無しの戦闘員

 なんでハカセが参加してんだよwww


17:名無しの戦闘員

 お前敵だろ悪の科学者w


18:名無しの戦闘員

 つか普通に騙りじゃね? デルンケムがにゃんjに書き込むわけがないし


19:ハカセ

 なんや騙り呼ばわりはひどない?

 しゃーない 証明したるわ


20:名無しの戦闘員

 どうやって?


21:ハカセ

 次の怪人出撃の時ワイも一緒に出たるわ

 ついでに頭にピンクのリボンつけといたる そこまですりゃ嘘やないて分かるやろ


22:名無しの戦闘員

 ……これで本当に街が襲われたら俺らが余計なこと言ったせいにならない?


23:名無しの戦闘員

 しっ! 考えんな!







 二年前、奴らは突如として現れた。

 比喩ではなく、空中にワームホールのようなものが発生したかと思えば、そこから奇怪な集団が出現したのだ。

 奴らは【神霊結社デルンケム】を名乗り、日本征服を掲げ行動を開始した。

 特撮もの戦闘員を思わせる兵士たち、『魔霊兵』と呼ばれる多数の化け物。それらを統率する『怪人』。

 デルンケムは日本を手に入れるためにその魔の手を伸ばす。


 当初はされるがままになっていた。

 警察も自衛隊も太刀打ちできない。魔霊兵や怪人どころか、戦闘員にすら銃火器の類が通じなかったからだ。

 このまま日本は訳の分からない奴らに支配されてしまうのか。

 半年がたつ頃、誰もが希望を失い始めていた。


「待ちなさいっ!」


 しかしデルンケムに対抗する者たちが現れた。

 

「神霊結社デルンケム。お前たちの野望は、ボクたち【ロスト・フェアリーズ】が必ず阻む!」


 まだ年端もいかない、それこそ妖精のように美しい少女たち。

 悪の組織と戦う変身ヒロイン。使い古された構図が現実のものとなったのだ。


「灯火の妖精の加護をここに。不浄焼き祓う炎の担い手、浄炎のエレス」


 赤い髪をショートカットにした少女。

 ロストフェアリーズの戦闘コスチュームは少し露出の多いレオタードだが、彼女のものはところどろこに炎の意匠が見られる。

 拳を使って近接戦闘を主としたパワーファイターである。


「月夜の妖精の加護をここに。穢れ清める流水の主、清流のフィオナ」


 青いロングヘアが風にたなびく。

 水を操り癒しを司る妖精の姫、フィオナが敵を静かに見据える。


「訪れの妖精の加護をここに。荒野に花萌える未来を導く、萌花のルルン」


 三人の中でもルルンは一際幼い。

 彼女は植物の力を借りて戦う。花弁が、まるで刃のように魔霊兵たちを切り裂いた。

 

「はぁっ!」


 浄炎のエレスは炎をまとった拳を振るう。

 中距離で援護するのは清流のフィオナ。水は時に槍となり敵を貫き、時に壁となって仲間を守る。


「よし、フィオナちゃん、ルルンちゃん。もう少しだよ!」

「ええ」

「わたしも、がんばります!」


 魔霊兵たちは見る見るうちにその数を減らしていったが、そこで強大な力を宿す【怪人】が現れる。

 三人に動揺はない。今まで何体も怪人を倒してきたのだから。

 しかしその傍らに人影を見つけて固まった。


「え……あれは?」

「エレス、警戒して。おそらくデルンケムの“お偉いさん”よ」


 そいつは三人を観察するように眺め、最後にフィオナへ視線を向けると口角を吊り上げた。


「お初にお目にかかる。私はハルヴィエド・カーム・セイン……神霊結社デルンケム統括幹部代理、ということになっている」


 少女たちは息を呑んだ。

 長い銀髪に、金と赤のオッドアイ。悪の組織の幹部を名乗るその男は、氷細工を思わせる冷たい美貌をしていた。

 黒衣をたなびかせる男はじっと三人を観察している。


「そもそもは研究畑の人間だ。肩書きばかりが偉くなって困る」


 苦笑しながら肩を竦める。

 その様子を見ると、あまり悪い人間には見えない。


「研究畑、ですか?」


 萌花のルルンが不思議そうに小首を傾げる。

 敵に対して無防備すぎる問いだったが、ハルヴィエドと名乗った男は素直に答えた。


「今までの怪人や魔霊兵は私が創り出したものだ。幅が広い発明家くらいに思ってくれればいい」

「え……そ、そんな」


 警戒の度合いが一気に高まる。

 魔霊兵は戦闘員よりも一段レベルの高い敵であり、怪人にも何度も苦戦させられた。

 それらを生み出すという彼はフェアリーズにとっては厄介な敵だった。


「君たちの活躍は毎回楽しみに観させてもらっているよ。こうして直接会えて嬉しく思っている(マジで)」


 ハルヴィエドは三人を見回した後、清流のフィオナを注視した。

 一挙手一投足を見逃さない。強い意志の籠められた目だった。


「どうやら私は警戒されているようね……」


 フィオナは身構える。

 まだ幼いルルンやまっすぐすぎるエレスのために、彼女は意識して抑え役を買って出ることが多い。

 どうやらハルヴィエドはそれを見抜き、フィオナこそが要だと判断したようだ。


「それは誤解だ。なに、私は君たちのファンでね(ガチで)。こうして出会えたことで感極まっただけだよ」


 美貌の青年は少しも笑わずにそんなことをのたまう。

 随分と軽く見られている。フィオナはそう考えたようだ。


「あ、あの。お兄さん、もう一つお聞きしたいんですけど」

「なにかな、可愛いお嬢さん」


 可愛いと言われてルルンはにへへと照れ笑いを浮かべた。


「その頭のリボンは? あ、似合っては、いるんですが」

「それはありがとう。遠くの友人たちに、今日はこのリボンを付けて戦いに臨むと約束したんだ」


 ルルンに褒められて美貌の青年は照れたように微笑む。

 氷細工のように整った顔立ちが、少しだけ温かくなったように感じられた。


「友達……。デルンケムの幹部なのに、すごく優しく笑うんだね」


 エレスは複雑そうな顔をしている。


「ボク、悪の組織の幹部は血も涙もない奴だと思ってたよ」

「そういう男でなければ、怪人で街を襲わないな」

「それは、そうだけど」


 だとしても戸惑ってしまう。

 エレスの想像では、幹部というのは人を人とも思わず「フハハ、人間など皆殺しだ!」と叫ぶいかにも悪だった。

 だからやりにくい。こんなに穏やかな男が出てくるとは思っていなかったのだ。


「エレス、ルルン。相手は敵、警戒は怠らないで」


 妙に和やかな二人のやり取りに、フィオナが割って入る。

 ハルヴィエドがぴくりと片眉を挙げた。


「ふふ、怖いなフィオナた……清流のフィオナよ」


 黒衣をはためかせ、美貌の青年は一歩下がる。


「だが敵というのは事実だ。ゆけ、怪人トリアエーズ。妖精姫たちの相手をしてやれ」


 ハルヴィエドの指示により怪人が襲い掛かる。

 ここに神霊結社デルンケムとロストフェアリーズの戦いの幕が切って落とされた。






      ・

      ・

      ・



54:ハカセ

 どや 約束通りピンクのリボンつけて出たで

 これで信じてもらえるか?


55:名無しの戦闘員

 いやなんというか……


56:名無しの戦闘員

 ハカセむちゃくちゃイケメンじゃねえか!?


57:名無しの戦闘員

 ないわー 黒衣の銀髪オッドアイとかないわー


58:名無しの戦闘員

 つか普通にフェアリーちゃん達に負けたな


59:ハカセ

 当たり前や ワイが造った怪人がフィオナたん達に勝つわけないやろ


60:名無しの戦闘員

 なんで自信満々なのw


61:名無しの戦闘員

 普通の喋り方すんのな


62:名無しの戦闘員

 でもあの銀髪イケメンがパソコンの前でポチポチスレに書き込んでるの想像すると笑えるw


63:名無しの戦闘員

 エレス→赤髪ショートカット・身長低め巨乳・ボクっ娘・15歳くらい?

 フィオナ→青髪ロングヘア・身長普通スレンダー貧乳・清楚系・16歳?

 ルルン→金髪ツインテ・ロリっ娘並み乳・ぽややん・13歳?

 総評・かわいい


64:ハカセ

 >61 

 社会人やからな 一応TPOに応じて振る舞いは使い分けとる


>62

 舐めんな 今はトランクス一丁でカップ麺食べながら書き込み中や

 醤油とんこつ美味いわ ワイがおった次元にはインスタント食品なんてなかったからな


65:名無しの戦闘員

 ハカセですら働いてるのにお前らときたら……


66:名無しの戦闘員

 おいやめろ


67:名無しの戦闘員

 現地でハカセ見てきたぞー マジモンのイケメンだった

 統括幹部代理って偉いの?


68:名無しの戦闘員

 オッドアイのくせに生態がほぼおっさんwwwwwwww


69:名無しの戦闘員

 なんやワイとほぼ一緒やん!

 つまりワイも銀髪イケメン!


70:ハカセ

 >67

 そこらへんスレタイにも繋がってくるんやけど 

 ワイ悪の科学者やけど首領が怒ってきて辛いんや 

 愚痴らせてくれ


71:名無しの戦闘員

 ネタスレかと思ったらガチの幹部とかドキワク


72:名無しの戦闘員

 で結局ハカセはなんで怒られたん?


73:名無しの戦闘員

 醤油とんこつなら日光食品のごく飲みスープシリーズが至高

 あと担々麺も美味いよ


74:ハカセ

>73 情報感謝 さっそく明日ダンキホート行ってくるわ

 

 ワイな フィオナたんのポスター(自作)を部屋に飾っとるんや

 すっごいかわいいんやけどそろそろ次のグッズ欲しくなってな

 フィオナたんファースト写真集【水の誘惑】を作ろうと思って準備しとったら

 首領に見つかってヤバいくらい怒られた 

「裏切るつもりかっ?!」って理不尽すぎひん?

 

75:名無しの戦闘員

 えぇ……


76:名無しの戦闘員

 理不尽どころかむしろ首領かわいそう


77:名無しの戦闘員

 お前統括幹部じゃねぇのかよ

 つか統括幹部なのに怪人開発? 内情がよく分からん


78:名無しの戦闘員

 馬鹿だ 馬鹿がおる


79:名無しの戦闘員

「ワイの次元にインスタント食品ない」って地味に重要な情報じゃない?


80:ハカセ

 しゃーないやん かわええもん

 あーもう組織辞めるつもりまったくないけど それはそれとしてフィオナたんと結婚してパスタ屋さんとか開きたい


81:名無しの戦闘員

 マジかこいつ


82:名無しの戦闘員

 正直外見的にはマジメに申し込めばワンチャンありそう


83:名無しの戦闘員

 こんなんが怪人開発してるとかデルンケムヤバいな


84:名無しの戦闘員

 つかなにがしたいんだ


85:ハカセ

 あまりにストレス溜まっとるから愚痴りたいだけや

 ぶっちゃけ何の解決も求めとらん

 あとワイがフィオナたんと恋仲になれる策もドシドシ募集中や!


86:名無しの戦闘員

 どっちみちにゃんj民に建設的な意見とかむりだからなw 


87:名無しの戦闘員

 トレイン男気取りかw

 しかし語る分には聞くぞ 正直悪の組織の内情とかすっごい気になる


88:名無しの戦闘員

 でもチラシの裏にそういうの書き込むのヤバくない?


89名無しの戦闘員

 よっしゃハカセぇ! 俺らがお前の愚痴を聞いてやる!

 代わりにこのスレがマスコミとかデルンケムにばれないように隠蔽とかできない?


90:ハカセ

 任せろ ワイならこのスレを隔離してマスコミ関係防いだ上で

 にゃんJ歴二年以上の勇者にしかアクセスできず検索もかけられないようするくらい余裕や


91:名無しの戦闘員

 すげえや 馬鹿と天才って両立できるんやな 






【神霊結社デルンケム】によって日本は危機に晒されていた

 それに対抗する美しき妖精姫【ロスト・フェアリーズ】は平和のために日夜戦い続ける。


 その裏で行われる密やかな交流。

 デルンケム統括幹部代理ハルヴィエドは悪の首領に振り回され、敵である清流のフィオナに恋をして苦悩する。

 これは、そんな彼を気遣う【にゃんj民】との心温まる触れ合いの記録である。

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る