ピースビーバー
寿マーモット
耐外気人間の発明、そしてオウサツキとの接触まで
西暦1960年、北米にてビーバーに言語を習得させ、核ミサイルの整備を担当させる「ピースビーバー計画」が成功。
西暦1962年10月27日13時08分キューバを発端に米ソ両国が核戦争を起こす。人間は数日で滅びた。
地球の表面の天は黒い雲に覆われ、海は干上がり、大地は砂漠に変じ、大気は有害物質に汚染された。
過酷な環境にピースビーバーは全力で抗った。超希少資源に化けた真水を集め、自分たちが生活する居住塔という密閉建築物に蓄えた。
ビーバーは死の星に変わり果てた地球環境に耐えられる生き物を作ろうとした。結果は実験動物のむくろが積み上がるだけであった。しかしビーバーは執念深くその営みを継続した。どんなに暗くて寒い夜であっても耐えれば陽は必ず昇る。そう信じて日々資源が無為に逓減するのをビーバー達は忍び続けた。
天を覆う黒雲が晴れて、青空が戻ったくらいの頃である。途方もない年月の堅忍は報われた。
ピースビーバーは耐外気人間をついに発明したのだ。
人間という種が地球に再び生を受けた。ビーバーらは夜明けを彼女の誕生に見た事から、暁・黎明・あさひと名付けた。
耐外気人間はビーバーの技術では女性しか作れなかった。更にビーバーとしては人間に繁殖されたら困るのだ。
耐外気人間の発明により、ビーバーは北米中に一気に生存圏を押し広げた。そしてそのうちに西暦王朝というビーバーの群れの意思決定を行う立場のビーバーが出てきた。
そして…西暦王朝はオウサツキ(鏖殺鬼)という殺戮生命体と接触してしまった。
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