はなたばをたば、たをばたな
ポテトマト
序幕
ある独白
受け取った感触は、まるで花束でした。
香りに机、空っぽの室内。
星の海が、広がってゆきます。
閉じた瞼の、内側の世界。
真っ暗な、部屋の中に。
満ちて、いるのです。
雫が、滴り落ちた音。
淑やかな、お酒の匂いが。
暖かく、なってきました。
強く握った、万年筆の感触。
紙川様からの、贈り物が。
私が、混ざってゆきます。
脳裏に残ったインクは、白くて。
私の身体は、滑らかなまま。
勝手に、進んでゆくのです。
ぐにゃと叫んだ、筆の運び。
言葉の働きに、任せて。
次第に、滅んでゆきます。
私の、つぶさな思考。
祈りにも似た、気持ちの固さが。
空白です。
浮かび上がったのは、いつでも。
いつだって、空白でした。
それでも、今は感じます。
目の前に広がった、宇宙の冷たさ。
動いた指先の、感触も。
全てが、ぐにゃぐにゃなのですから。
私は今、手紙を書いています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます