つりしよ!!
夜炎 伯空
第1話 ハゼとセイゴ釣り
「今日は満潮が18時25分だから、15時半くらいに漁港に行って、ハゼとセイゴ(成長するとスズキ)釣りをしよっと」
ボクの名前はカサミ。
釣り好きな大学生で釣り歴は2年。
ハゼ釣りは満潮の2時間前から3時間くらいがよく釣れる。
15時にセイヤを駅まで車で迎えに行き、途中にある釣具屋でイシゴカイを1パック買った。
セイヤは半年前に知り合った同学年の釣り友だ。
ボク達は、予定通り15時半に漁港に到着した。
「今日は風が強いね」
「そうだな」
セイヤが同意する。
南から北に強い風が吹いている。
「前に来た時よりも、風が強いから、少し重い重りの方がいいかも」
いつもは重りを2gにしているが、今日は3gの重りを付けることにした。
セイゴも釣れるが、基本はハゼ釣り用の仕掛けで、ウキ、3gの重り、枝分かれしたハリスに2本の針が付いている仕掛けを、釣り糸に取り付けた。
「さて、今日はどれくらい釣れるかなと」
「たくさん釣れるといいな」
そんな期待感を胸に、ボク達は半分に切ったゴカイを針に付け、河川に向かって仕掛けを投げた。
――が、案の定、仕掛けが風に流されて、思ったところに飛ばない。
「前回来た時は、手前でも釣れたんだけど……」
「今日は釣れないな」
飛ばなくても、アタリが手前なら釣れるが、今日は手前にアタリはない。
遠くに投げたいけど風が強過ぎる。
「俺、重り変えてみるわ」
セイヤがそう言ったので、ボクも重りを変えると、さっきより安定して飛ぶようになった。
「よし、今度こそ」
遠くに仕掛けを投げた後、重りが底に着いたのを確認し、ボクはゆっくりとリールを巻き始める。
すると、直ぐにググっと、何かが食いついてきた感覚が指先に伝わってきた。
「おっ、これはセイゴだ」
ハゼよりも強い引きだったため、セイゴが食いついたのだと分かった。
竿の先もセイゴに引っ張られてよく曲がっている。
慌てずに、リールを巻くスピードを少し早めた。
食いついている感覚は変わらず続き、無事にバレずに釣り上げ成功。
釣り上げたのは15㎝くらいのセイゴだった。
「いいサイズのセイゴだね」
セイヤが言った。
この漁港のセイゴは20㎝を超えることはまずないため、15㎝なら良サイズだ。
「この調子で、どんどん釣りたいね」
「おっ、俺も釣れたみたい」
見ると、セイヤの釣り竿の先も曲がっている。
そんな調子で、遠目に投げた河川にはセイゴの群れがいて、ボク達はたくさんのセイゴを釣り上げた。
セイゴを釣っている合間に、ハゼや15㎝くらいのマゴチも釣れた。
何気に、サイズは小さいがマゴチを釣ったのは初めてだった。
「マゴチって、こんなところでも釣れるんだね」
マゴチが釣れるのは、河口やサーフのイメージだったので意外な収穫だった。
2人で25匹ほど釣り上げたところで、今日の釣りは終了。
「魚達はフライや骨せんべいに調理してっと」
持ち帰った魚はそれぞれ3枚おろしにして、フライや骨せんべいにした。
塩やかけ醤油をかけて、ご飯と一緒に食べる。
「うまい」
「釣った直後の魚はおいしいな」
自分達で釣った魚を、自分達で調理しておいしく食べる。
やっぱり釣りは最高だ!!
つりしよ!! 夜炎 伯空 @YaenHaku
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