第1章 - 裏 - 異星体ネットワークの会話

 これは人類探索者の目に直接触れる事のない、異星体達のネットワークで交わされる会話。

 娯楽に飢えた彼らが交わす、戯言の記録からの抜粋である。


<第6-7話--裏>

 小人種A 「G級ダンジョン”竜の島”の攻略配信見たか?」

 妖精種F 「ま~たRTAだろ~?あそこはもういいって~」

 小人種A 「いや、それが違うんだ。初見プレイの探索者が新たな発見をした」

 土霊種C 「なに、ダンジョン管理組合のテコ入れか?」

 妖精種F 「ありえる~ぅ。大金突っ込んだRTA配信ばっかだったもんな~あそこ」

 土霊種C 「G級の中でも特に、天然種相当基準のダンジョンだからな。移動速度上昇を確保し、ギミックさえわかっていれば、あれほど新生探索者にやりやすいダンジョンも少ない。新生探索者の名前を売るには良い管場所だ」

 小人種A 「まあ、もうやり方が定まりすぎて名前を売れているか微妙だったがな。いいからこれを見ろ」


 《画像データ:アイテムカード”愚者の剣》


 神霊種F 「いくらだ」

 小人種A 「いやいや、売り物じゃないって」

 神霊種F 「我が愛し子に与える。売れ」

 小人種A 「だからうちの子のじゃないって、てか、いいから話を聞け! G級位階0の新生探索者の初ダンジョンでな、パトロン支援も無しにボス竜を弱体無しで倒しやがった!」


 《配信リンク》


 妖精種F 「寄生種がパートナーとかって落ちだろ?あいつらキモイからイヤ」

 森霊種D 「グロ誘導乙」


 妖精種F 「え、まじじゃん」

 寄生種G 「紗雪たんカワユス、はぁはぁ。天使たんに入って紗雪たんと、はぁはぁ」

 森霊種D 「ナメクジ帰れ」

 寄生種G 「森霊たん、はぁはぁ。僕たんといいことしよ? ね? ね?」

 森霊種D 「……」


 土霊種C 「ふむ、全編確認した。つまり、キーアイテムの剣を手に入れた状態で、弱体無しの竜に挑む。が、最低条件。瀕死の重傷、一定以下のステータス等、他条件は煮詰めなければわからんな。後はアイテムにある魂関連の表記が厄介か。あれが条件だと再現性が著しく悪い」

 神霊種F 「我が子らを向かわせた」

 小人種A 「相変わらず早いな! 配信リンク、クレ」


 《配信リンク》


 妖精種F 「うわぁ……金ぴか集団出たぁ、どんだけ~」

 土霊種C 「圧勝過ぎるな。というよりも、さびた状態のあの剣で何故、竜がなます切りになってるんだ」

 小人種A 「これ、再現検証になってるのか?」

 土霊種C 「比較データは必要だ。無駄では無かろう。が、適正G級での検証が必要だな」

 森霊種D 「無理よ、真っ向からだなんて、死んじゃうわ」

 小人種A 「探索者組合にやらせなければ、確かに無理だな。パトロンなら可能性はあるが、パートナーで参加している奴だと一発ロストで遊戯終了だ。次の降着許可待ちで何年待たされることになるか」

 神霊種F 「記録更新である」


 《配信リンク》


 小人種A 「いやおま、適正外RTAはランキング対象外だっての。てか、もはや階層ぶち抜いて素手で竜潰してるじゃねぇか」

 夢魔種M 「あらいい筋肉じゃない、いいわぁ」




<第9-10話--裏>

 寄生種G 「メイナたん、メイナたんのおぱんちゅ、メイナたんほちぃ」

 寄生種H 「お耳、お耳のアップを、お耳の穴の中をモノ君、行くでござる」

 夢魔種H 「保存しました」

 寄生種I 「ナイトリーリエの乱れる姿を吾輩であらば見事に演出できるものを、ええい、なぜ余に遊興惑星へ下りる権利が得られないのじゃ、はよう、はよう我がパートナーとなるものよ!」

 一同 「……」


 猫人種W 「にゃ~~また外したにゃ~」

 小人種A 「試合毎の単発掛けか?」

 猫人種W 「当たり前にゃ! 全試合掛けてるにゃ!

 土霊種C 「新人イベントは事前のデータが少ない。ギャンブル性が高すぎるぞ」

 猫人種W 「でも、倍率めちゃくちゃいいのにゃ!」

 小人種A 「いや、お前……それで収支は?」

 猫人種W 「うるさいにゃ~~、次こそ当てるのにゃ!」


 夢魔種M 「ダブル筋肉、いいわぁ、素敵だわぁ、あたしも混ざりたいわぁ」


 寄生種I 「む?メイナ殿の動きが止まったぞ、規制事項に引っかかったか」

 土霊種C 「ああ。リザインのペンダントで第3エリアの敵生体が止まらなかった現象を配信で突こうとしたからだな。意識遮断処理を喰らったな。ほれ、もう再起動したぞ」

 寄生種I 「あれはわが同胞がすでに入っているのか? ええい、その女子の身体我に寄越せ」

 小人種A 「いや、あれは寄生種でやっているわけじゃ、ないんじゃないか? 少なくとも探索者ではないから、通常のパートナー契約はないだろ。イヤホンから特定キーワードを条件なりなんなりで、意識遮断と直前の記憶封鎖がかかるようにしてあるかだろう」

 土霊種C 「まあ、行動抑制くらい、どうとでもやりようあるからな。薬か、脳改造か、インプラントでも埋め込んであるか。ま、調整種人類なんてリモコン操作のロボットみたいなものだ」


 小人種A 「お、例の愚者の剣の獲得者だぞ」

 土霊種C 「来たか。結局あれば再現不能で結論が出ていたな」

 小人種A 「魂案件だな、確実に。あれは無理だ。現状可能性があるのが彼を除いて数人しかいない。過去累計で21人だ。ただ、このまま彼が成長すればもしかすれば、グランドクエストイベントがみられるやもしれんぞ?」

 寄生種G 「紗雪たん、紗雪たん」

 猫人種W 「今度こそ賭けはもらったにゃ! 第3エリアクリアにゃ! やれ、いけにゃ!」

 寄生種G 「紗雪たんは人形師工房のドールに違いないのだ。うちの子達と合わせしたいのだ。あれだけ活き活きとした仕草、彼女にはきっと魂が生まれているに違いないのだ!」

 小人種A 「いや、それはないだろう。確かに人形師工房製のメカニズムは謎とされているが、魂制御は無理だ」

 寄生種G 「でもでも、うちの子達と動きが違うのだ、あまりに滑らかすぎるのだ。それにあの表情、眼差し!」

 土霊種C 「ふむ。特別性という事ではないのか? オートマタもハイグレードモデルだと搭載AIが別物と聞くぞ」

 寄生種G 「ドールはAIなんて積んでいないのだぁぁ! 人形師工房の子達は機械じゃないのだぁ! 外付けパーツ用の穴をあけるような工房とは違うのだ!」

 小人種A 「言っている間に最終エリアに来たぞ、流石にやるな」


 土霊種C 「ゴーレム教団の最新作か? 流石に厳しかったか」

 小人種A 「またリザインペンダントが機能していないぞ」


 寄生種G 「紗雪たんが、紗雪たんがぁぁぁ、おのれ、ゴーレム工房、潰す、潰すぞ!」

 猫人種W 「これ、試合結果はどうなるにゃ? リザイン扱いなのかにゃ…… クリア扱いなら負け分取り返して大儲けなのににゃ……」

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