#12コア目
四歳。
イレーナやマーガレットからの魔力操作修行も、次の段階への移行許可が出た。
それとほぼ同時期にマルズレットが魔境の森から帰還した。
前回の帰還から丸二週間ほどかかっている。
理由は明白で、魔境の森は相当広大なようでマルズレットが叙爵してからの四年間、
定期的に間引きは行っていたそうだが、いまだマッピングは終わっていないとのこと。
魔境の森とは、その名に相応しいほどに魔物の数が多い。
そして、深部に行くにつれて魔物の強さも段違いに上がるそうだ。
王国歴史上でもいまだに攻略はできていないほどである。
曰く、世界の歴史や御伽噺に出てくるであろう神獣が深部に住処を置いているのではないかと。
シュレットがこの話を聞くのはいつになるのやら。
マルズレットが帰還し、シュレットの修行の成果を確認すると。
「おぉ!! ここまでの魔力操作が可能になったか! それでこそ俺の息子だぁ!」
「わわわぁ!」
喜びのあまり、シュレットを高くあげながら回り出した。
急なことでシュレットは驚く。
「イレーナからもお墨付きを貰ったんだろ? じゃあ俺のほうもこれから修行をつけてろうか?」
「ほんとぉ!? うん、やるやる!」
「いいねぇ。ただ、逃げ出すことは許さないからな? その覚悟はあるか?」
「ある!」
「よぉし! じゃあ今日はもう遅いから明日から修行を開始しよう」
「はい!」
マルズレットからも修行をつけて貰えることに嬉しさを覚えるシュレット。
前世ではこんなに父母と接することがなかったのもあり嬉しさはいっそうだ。
———————————————
朝、気持ちの良い快晴である。
シュレットは早く修行がしたいと早る気持ちを抑えながら支度をしていた。
時間にして朝四時である。早すぎる早起きである。メイドたちが起きる時間である。
「あら?シュレット様? お早い起床でございますね。」
「あ、マーガレットおはよう。うん、修行楽しみだから!」
「うふふ、そうですか。ではもう朝食をとりますか?」
「うん! 軽く食べておきたいかも!」
「では食堂へお向かいください。私はゴードンに伝えておきます」
「ありがと〜!」
マーガレットにお礼を言いながら早足で食堂を向かう。
マーガレットが起きていたおかげで暇な時間をつぶさずに済んだシュレット。
本来この屋敷でのメイドの起床時間は朝四時。
マーガレットがなぜ準備万端でシュレットを見つけられたのかはまた今度。
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