#10コア目

「ここは・・・」


「シュレット!」


「シュレット様、お気づきになられましたか」


「母様とマーガレット?」


「はいその通りでございます。汗をたっぷりかいて倒れていらっしゃいました。

 倒れるまでに至ったのです、何があったかお話しいただけますでしょうか?」


「うん・・・」



(それからと言うもの、マーガレットからコアを聞いた日から今のいままで魔力が扱えないかを色々試していた事を話した。)



「そうですか・・・シュレット様が魔力感知と魔力操作を。はたまた派生技能の身体能力強化までとは」


「シュレット? ほ、本当にそれを全部独学でやったの?」


「うん・・・」



シュレットはイレーナやマーガレットからどの様な目で見られるのかが分からなかった。

もし嫌悪や異端な目で見られた、と思うと自然と顔を下に向けてしまう。

それはそうだろう。シュレットは二歳児なのだ。その様な目で見られても何ら不思議はないのだから。


だがシュレットの憶測とは裏腹に、聞こえてくる声色は歓喜の声だった。



「きゃー!聞いたマーガレット!? 聞いた聞いた!?」


「はい奥様!このマーガレットしっかり確実に聴かせていただきました!」


「独学よ!独学! うちの子は天才なのかもしれないわぁ!」


「はい奥様! 快挙ですよ偉業ですよ歴史が動きますよ!」


「あ、あれぇ?」


「これは今後のことも考えて魔法主体で教えて行った方がいいかしら?」


「いえ奥様、そこは旦那様も加わっていただき、剣術も学ばせてはいかがでしょうか!

 魔法使いの弱点は近接戦闘なので弱点を克服した上での魔法戦闘。魔法剣士などいかがでしょうか!」


「いいわね魔法剣士! こうしちゃいられないわ! カーズに一報を入れないと!」


「お供いたします奥様!」



一頻りの歓喜の舞が終わったら、今度は一目散に部屋から出ていくイレーナとマーガレット。



「えぇ・・・どっか行っちゃった・・・」


「それほど御喜びになったと言うことでしょう。」


「エリオット」


「いやはや、貴方様の才能がこれ程のものとはつゆ知らず。これはまだまだわたくしも目の鍛え甲斐があると言うものですね。」


「何処からきたの?」


「そこは無属性魔法[転移]でちょちょいとです。」


「転移! 今度教えて!」


「シュレット様はコアの祝福を終えられてないので使用できるかは分かり兼ねますが畏まりました」



シュレットの目はまたもや輝いていた。エリオットはそれを見て苦笑するとともに将来が楽しみで仕方なかった。

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