砂の体

 いつまでも体が現実に追いつかないんです。現実が速すぎるのか、はたまた体が遅すぎるのか。今にもほろほろ崩れます。砂で出来ているんです。私の体でどうかお城を作ってくださいませんか。波打ち際で作って欲しい。少しずつ、少しずつ、海に攫われますでしょう。そうなったら私の至福です。

 どこへ行きましょうね。どこへだって行けますから、さて、南極まで流されてみようかな。きっと寒くて、清潔な場所。ペンギンだっているんです。

 どこかの浜にたどり着いて、再びお城になれたなら、私を写真に残してね。そうして少し瓶に詰めて、私を少し奪ってね。

 欠けたまんまの体を抱えて、私は生きていきますからね。

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