行事



2016年 9月



陽葵の学校の授業参観と芳美の保育参観の日程が重なり、学校には冬未、幼稚園の方には隼瀬が行く事となった。陽葵としては何かと口うるさいパパが来るよりママの方が気が楽なようだが、そのママとしては1人で学校行事に来るのは初めてなので、なんだか緊張気味である。



「冬未ちゃん、あんたが緊張してどうすっか」



「充希ちゃん、そぎゃん言うたっちゃいつも隼瀬の横におったしどぎゃんしてええか・・・・・・」



そんな親達のやり取りをチラッと見て、ママがガチガチな事に気付き、充希と咲良にアイコンタクトを取る陽葵。



「ほら、陽葵ちゃんも心配しとったい。咲良ば見てみ、ずっと陽斗しか見よらんとだけん」



言われて見れば、確かに咲良はじっと陽斗から目を逸らさず、少し怖いくらいで、冬未も緊張の糸が解けてくる。同じ頃、隼瀬は冬未とは逆に芳美が幼稚園で授業を受ける様子を和やかに見守っていた。



「パパ!できたよ、みて!」



「すごいねえ芳美、ほら、パパばっかり見らんよ」



「はーい」



そんなやり取りを周りの親達も微笑ましく見つめる。そんなこんなで子供達の参観を終え、帰ってきた隼瀬と冬未はそれぞれの様子を聞く。



「陽葵どぎゃんだった?」



「ちゃーんと先生のお話真剣に聞いて、他の子に教えたりしよらしたけんたまがったー、私達あんくらいの時そぎゃんなかったたい」



「おお、すぎゃーね」



「芳美な、ちゃんとおりこうさんしとった?」



「うん、ばってん芳美も他の子もずっとチラチラ僕達親ん方見てね、もぞか(可愛い)もん」



「まだ年少さんだけんねえ、あ、そうそう陽葵が手ぇ挙げて答えよる時に陽斗ちゃんがね・・・・・・」



その後も話題は尽きず、芳美のお迎えの時間まで話し込む少し親バカな夫婦であった。









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