第87話 いちご柄のパンツ

家族会議があった翌日、昨日は唾やら何やらあって忘れていたが、本日配信終了後にゴスロリからアイドル大運動会に参加するかの確認のメッセージが来ていた事で、ようやくその存在を思い出した。

そしてそれと同時に悩んだ。


正直言うと俺個人としては、このゴスロリの申し出を受けたい。いや、だって考えてくれよ、アイドル大運動会だぜ?絶対面白いやつじゃん!それにこれテレビ番組何だろ?それなら面白い企画に参加できて、さらに宣伝もできる俺にとっては一石二鳥のいい申し出だ。


だがよ〜く考えてくれ、これはアイドル大運動会だ、それを俺なんか人気の無い一般男性vtuber(一応アイドルグループ所属)ごときが、入っても良いやつなのか?見ている人達に、お前誰?ってな感じで場の空気白けないか?と言うか本当今更なんだけどvtuberがそう言う番組に生身で出ていいものなのか?


俺個人としては是非とも参加したいのだが、アレだよな?これ参加したら絶対に俺のアンチ増えるよな?

俺今回は流石にちゃんと調べたぞ?

ゴスロリアイツ俺的には鬱陶しいクソガキの1人だが、世間様ではびっくりするレベルで人気の今をときめくアイドルの1人なんだろ?

そんな奴と一緒に運動会に出る?

んなもん俺を燃やしてくれって言ってるもんだろ!


だからそう言う観点からいけば、俺は今回の誘いを断らないといけないんだけど、だけどさ……


「絶対この企画面白そうなんだよな〜」


そんなことをいくら考えたところで、結局俺個人ではどうにもならないと判断した為、俺は今さっきまで考えていた事を、昨日の唾事件の八つ当たりも込めて、クソナガ長文をゴスロリに送りつけてやった。


「まぁこれでいっか」



1ヶ月後

まさかのあの相談メールが、参加に了承した事になっており、俺はアイドル大運動会に参加する事になり、それについて知ったのも本番1週間前で断ることもできない状況にあった……


謀ったな!ゴスロリィ!!!


まぁ俺も参加したかったから良かったけどさ……


そんな訳で今俺は、おNEWのコスプレ衣装を見に纏って会場にやって来てた訳だが、

軽く周りを見渡すと、顔のいい奴らが何人かいて、多分だがそいつらが俺同様この運動会の参加者なのだろうと、思いながら俺達に用意されたらしい控え室を探して周りをキョロキョロと見回した。


その際に体の全身を黒いローブで隠した、いかにも怪しいものを見つけたのだが、そんな怪しい奴が居たら普通なら注目を集めると思うのだが、何故か周りの人達はその黒ローブでは無く俺の方に注目を集めていた。


やっぱりちゃんとしたアイドルじゃないから、目立ってるのかな?

そんな事を思いながら俺は仮面が少しズレたのでその調整をしながら控え室へと向かった。


それから警備員の人に合計で10回声をかけられたりもしたが、ようやく自分の入る予定の控え室の扉を開けると、そこには……


ゴスロリと多分マネージャーさんかな?と思うピッチリとしたスーツを見に纏う長身の女性に、本当に誰だか分からないお着替え中だったのか、いちごの下着姿の俗に言う可愛い系の女子の3人がいた。


「おっと着替え中だったか、すまん」


そう言って俺が控え室の扉を閉めようとしたその時、下着姿の少女が恥ずかしさから、顔以外も真っ赤に赤くなり、その恥ずかしさを誤魔化す為か、俺の記憶を飛ばす為か分からないが、こちらに向かってビンタをして来た。


いつもの俺ならもちろんビンタを顔で受け止めるのだが、今は結構硬い仮面を付けている為、少女の手が腫れる事を危惧して、そのビンタを華麗に避けると、着ていた上着を脱いでその少女の肩にかけると、その少女を部屋の奥に軽く押し返して扉を閉めた。


「本当ごめんね。罰はあとで受けるから、まずは着替えようか」


俺はしまった扉越しにそう話した。

それから数分後、着替え終わった先程の少女が扉を開いたので、俺はその少女から上着を受け取り控え室の中へと入った。

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