第28話 お兄ちゃん♡

「はぁ……」


コメント

:どったの?

:配信開始早々ため息はびっくりするぞ

:どしたん?ホムラ話聞こか?

:ため息は幸せが逃げるぞ

:あのホムラがため息ってどうしたんだ?

:いくら焼かれても屁のカッパなホムラがため息!?


「いや、驚きすぎだろ!それとさっきのため息はアレだから、急にコラボ欲が出て来たけど、俺にはコラボできる人がいなかったの思い出してのため息だから。そんななんかがあったとかそう言うのじゃ無いから安心してくれ」


コメント

:泣いた

:ハジメは?

:ハジメとコラボしたら

:ぼっちw

:ホムラガールズでも誘ったら?


「あー、ハジメはここ最近マジで忙しそうだから無理かな、俺と気軽にコラボしてくれるから忘れそうになるけど、vtuberの中でもトップクラスに人気の人だからねハジメって。それとホムラガールズだけど、正直誘いずらい……。いやだって俺ずっと女性vtuber避けて来たんだぞ?だから何か誘いずらいなって……」


コメント

:でも裏では絡んでるんじゃ無いの?

:この前裏でホムラガールズとカラオケ大会やったって聞いたぞ

:マリヲパーティーとかも裏でやったって聞いたけど、アレ何で表でやんないの?

:ヘタレw


「ヘタレで結構。それと何で表でやんないのって話だけど、裏でやる分には友達と話す感じだから特に何とも思わないんだけど、配信ってなると燃えない様に気を使いながらやるのがめんどくせぇ」


コメント

:めんどくさいは草

:まぁホムラは着火剤並みによく燃えるからなw

:けど最近はこの前の運営の発表のおかげで全然燃えてないじゃん

:ホムラガールズとコラボしろ!


「そうだね、アレ以降は本当にボヤ程度しか起きてなくて、めちゃくちゃ俺の精神状態にいいは確かだな。それとホムラガールズとコラボしろってよく言うけど、お前らそんなにコラボしてる様子見たいのか?単に梅さんやオンプさんに姫花さんの事が見たいなら、しっかり本人達のチャンネルで見てやってくれよ」


コメント

:見たい

:はよコラボしろ

:さっさとコラボしろ

:コラボ楽しみにしてます


コメント欄を見てみると、思いの外皆んなコラボを見たい様で驚いた。


どうしてそんなにもコラボが見たいのか聞いてみると、ホムラガールズの3人が俺と裏で遊んだ事をよく楽しそうに配信で話しており、それを聞いているうちに興味が湧いて来たらしい。


「そんなにみんな見たかったんだったら、3人に今度コラボしてくれるか頼んでみるわ。あ、もし断られたからってその時俺を煽ったりするのは禁止だからな。それが約束できるならコラボ申請して来てやってもいいぞ」


コメント

:あ、煽ったりなんてしないって……

:俺たちがホムラの事煽ったりした事が今まで一度でもあったか?

:おいおいホムラビトの事少しくらい信頼しろよ

:約束するからさっさとコラボしろ


「ホムラビトの事信頼しろって言うけど、俺はお前らの事めちゃくちゃ信頼してるぞ」


コメント

:ホ、ホムラ トゥンク♡

:ありがとう

:俺もお前の事信頼してるぞ!

:照れる……


「まぁ信頼とは言っても、俺がコラボ断られた時に全力で煽りにくるだろうなって事だけどな」


コメント

:俺のときめき返せ!

:はーもう絶対煽りまくるわ

:ひどい!

:信じてたのに!


「はいはい、そんなこと言ってるけど今俺の配信見てる奴のほとんどが、元俺のアンチだって事は知ってるんだからな」


実際軽くコメントしている人を確認すると、1人が初期からいる人で、3人がハジメ経由で俺の配信を見に来てくれた人、そして5人が普通に配信を楽しんでみてる民で、その他が元俺のアンチだ。


コメント

:え?何のことかな?

:おいおいこの中にホムラを叩いていた奴がいるって?許せねぇなぁ!

:え!ここってアンチの人居るの?怖〜

:何!アンチだと?許せん!


コメント欄が爆速で動き、リスナーがアンチを探す動きをしているが、そのコメントをしている奴全員が元アンチというカオスな状態が巻き起こっており、俺はその様子を見て、前までならこんなふざけたこともできないほどにコメント欄が荒れていたので、俺も少しだけど進歩したんだなとわかると、自然と笑みが溢れた。


そして少し嬉しくなりテンションがおかしくなったのか、俺は後から考えるとどうした?と言いたくなる様な奇行に走り始めた。


「よし、なんならアレだな、今からホムラガールズをコラボ誘ってみるか!」


コメント

:お!コラボか!

:でも確か今オンプちゃんと梅ちゃんがコラボしてたはずだぞ

:急にどうした?頭打ったか?

:誘え


「あーそうなの?ならしょうがないから今日はぼっちの姫花さんでも誘うか。んでまたゲームでボコボコにして遊ぶかな」


コメント

:草

:また畜生発言してるw

桃崎姫花:はぁ?姫ぼっちじゃないもん!友達いっぱいいるもん!

:あ!ぼっち姫だ!

:姫ホムラの配信見てたんだw


コメント欄を見てみると姫花さんが居たので俺はちょうどいいと思い、口頭で姫花さんでコラボのお誘いをした。


「はいどうも!ホムラビトのみんなぁ久しぶりぃ♡ホムラガールズが1人ホムラさんよりも1万人以上登録者の多くて、ホムラさんとは違って友達がいーっぱいな桃崎姫花でぇす!姫ちゃんって読んでね⭐︎」

「はい、お久しぶりですね、ゲームクソ雑魚マジクソイキリメスガキでぼっちな姫花さん」

「なんですか?コラボする友達もおらず、私に登録者数ボロ負けしていて、誇る所がゲームしかないぼっちなホムラさん」


コメント

:初手コラボ相手を貶めまくる配信者の鑑w

:マジクソイキリメスガキは草

:結局これ2人ともぼっちなのでは?

:姫ちゃん!好き!


「それで、ホムラさんコラボしたいって言ってましたけど、今日は何するんですか?まさか姫をコラボに誘ったのに、何も考えてないとは言いませんよね?」

「いやー、姫花さん察しがいいな〜。そう、実は本当に何するか全くこれっぽっちも考えてないな。姫花さんは何かやりたいことある?裏みたいにゲームでボコボコにしてあげようか?」

「姫?姫がやりたい事かぁ……」

「考えるのはゆっくりで大丈夫だからね」


コメント

:姫虐はいいぞ

:姫も別に弱いわけじゃないんだよな……

:コラボ相手にぶん投げたwww

:脳死コラボじゃん

:何でお前はそんなに上から目線何だよwwww


「あ!姫やりたい事?考えた」

「何やりたいんだ?あ、言っとくがすぐに用意できるものにしろよ、今から買い物は流石にめんどくさいから」

「大丈夫よ!買い物なんて必要ないから」

「そうか、それは良かった。それで結局姫花さんは何をしたいんだ?」

「やりたい事って言ったら違うけど、アレね。姫花呼び方を変えたいわ♡」

「呼び方?」

「そう!正直今まではずっとホムラさんと事は、ホムラさんの事情とか諸々考えて読んであげてたんだけど、この呼び方って全然姫っぽくないのよね」


へぇー、コイツも意外と色々考えてたんだな……


「はぁ……俺的にはそのまま変わらず居て欲しいのですが」

「いやよ、そんなの!」

「さいですか……それで?なら今度からは何で呼びたいんですか?姫だから下僕とかそんなんですか?もしそうならせめて俺にゲームで勝ってからにしてくださいね。俺自分よりザコにそんな呼ばれ方はされたくないんで」

「チッ」

「おい、今舌打ちしただろ!」

「え?何々?何のこと?姫全然わかんな〜い♡」

「うっぜぇー」


もしこいつが真横にいたら思いっきりグーでぶん殴ってそうなほど、神経を逆撫でする様な甘ったるい声を出して来たせいで、俺はそれが肉体的にも嫌だったのか身震いを起こした。


コメント

:そういや裏でも遊んでるって聞くけど、確かにまださん付けだったな

:いいんじゃない?

:姫ちゃん絶対ホムラに下僕って付けるつもりだったよねw

:下僕キャンセラー

:舌打ち!?

:投げキッスありがとう


「と言うか、その呼び方変えるのって、もしかして俺も変えなきゃならんのか?」

「当たり前よ!」

「えー、別に姫花さんでいいじゃん。それか何か?クソガキとかに変えた方がいいのか?」

「そんなわけないじゃない!姫の事はそうね……姫花様って呼ぶ事を許してあげるわ♡それかみんなとおんなじで姫ちゃんでもいいよ♡」

「あ、じゃあ姫ちゃんで、よろしくな姫ちゃん!」


コメント

:速決草

:くさ

:www

:草

:早すぎwwwww


「それで姫ちゃんは結局俺の事なんて呼ぶんだ?普通にホムラか?」

「そうね……あ!お兄ちゃんとかどう?」

「やめろ!」


そのお兄ちゃんと言う言葉を聞いた瞬間俺は、今まで配信でもほとんどあげたことのないほどの大きさの声で、姫花さん……いや姫ちゃんの意見を拒絶した。


「えーどうしてぇ?歳的にも姫の方がお兄ちゃんより年下だし良くなぁい?」

「ダメだ!それだけは絶対にダメだ!」

「何でぇ?ちゃんと理由を話してくれないと、姫わかんないよ〜お兄ちゃん♡」

「や、やめろぉぉ!俺の前でお兄ちゃんと呼ぶな!俺がお前の事を優しくしたくなるだろうがぁぁ!」


コメント

:びっくりしたw

:急に大声出すなよwww

:全力で拒絶して来たw

:あー確かホムラって妹が居たんだっけ?

:草

:渾身の優しくしたくなるだろうがで草


「え?どうしちゃったのお兄ちゃん?」

「や、やめろぉ!このクソガキガァ!」

「お兄ちゃん姫お小遣い欲しいなぁ♡」

「くそっ!や、ヤメロォ!」


そう言いながらも俺の体は自然と財布から千円札を抜き出していた。


「や、ヤベェ俺無意識のうちに自分の財布から千円札取り出してたは……怖っ」

「それは……本当に大丈夫なの?」


コメント

:あ、危ねぇホムラがスパチャ機能オフにしてくれてたおかげで、スパチャせずに済んだぜ

:お金、お金渡せない……

:お兄ちゃんだよ!

:お金あげるから俺を姫ちゃんのお兄ちゃんにしてくれ!


その後も他の呼び方をいろいろ試したのだが、結局お兄ちゃんが1番しっくりくるとのことで、俺の呼び方はお兄ちゃんに固定されることになった。


「それじゃあ呼び方も決まった事だし、そろそろ配信も終わるか」

「えー、もう終わっちゃうの?」

「ああ、お前とは全く違う可愛くて頭も良くて運動神経も抜群な、俺のかわいいかわいい妹がそろそろ帰ってくるから、晩御飯の用意を始めなきゃならんからな」

「えー、お兄ちゃんはその妹と姫どっちが大切なのよ!」

「断然妹っすね、それじゃあそう言う事で乙ホムでした」

「乙ホムでした!ホムラビトのみんなばいば〜い♡」


コメント

:速攻振られてて草

:微塵も勝ててなくて草

:乙ホム

:姫ちゃんばいばい

:私とアイツどっちが好きなの?を速攻で答える男w



配信も無事に終え晩御飯の下準備をしていると、真冬が帰ってきた。


「ただいま夏兄」

「おかえり真冬」


真冬が家に帰って来て手を洗って、荷物をその辺に置くと、いつもならそこで自分の部屋に戻るか、リビングでテレビを見始めるはずなのに、今日は何故か俺のいる台所までやって来た。


「もしかしてもう腹減ったのか?ごめんなまだ晩御飯出来てないんだ……だからそれまでちょっと待っててくれるか?」


俺がそう言った瞬間真冬が俺の方へと突っ込んでくると、ぎゅっと俺を抱きしめ俺の腰あたりに顔を埋め始めた。


「夏兄ぃ〜夏兄ぃ〜…………」

「ん?どうしたんだ?学校で何か嫌なことでもあったのか?」

「……お兄ちゃん」


真冬が言った最後の言葉は、俺に顔を埋めているせいでくぐもっており、さらに真冬もボソリと呟いたせいもあり、今更揚げている唐揚げのパチパチという肉を揚げる音にかき消されて、うまく聞き取る事ができなかった。


「すまん、真冬今何か言ったか?」

「ううん、何も言ってないよ夏兄!それじゃあ晩御飯楽しみにしてるね!」


そう言うと真冬は満足したのか、俺から抱きつくのをやめて、少し顔を赤らめながら急足でその辺に放っていた荷物を持って自分の部屋へと駆け出した。


「ん?結局真冬は何がしたかったんだ?」


そんな事を考えながらも俺は晩御飯を作るのを再開した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る