Episode.17
ピッ
ゴトゴトッ
「あれ?川口」
「さっき買ってなかったか、水」
「念のための…お清め用っす」
「んで、今日は?」
「ここ、フランスのがなかったんで
…クリスタルガイザーをチョイスしました」
「まさかのマウント・シャスタ 笑」
「お前ってホント健気だよな」
「でもなんで日本のはチョイスしないんだよ」
「お地蔵さまに申し訳ないか、なと」
「…その基準が、既に俺には解らん」
「もうこの際だから、
マイ柄杓でも用意すればいいんでね?」
「寺田さんこそ、教会とかで
お祈りしたほうがいいんじゃないっすか?」
「は?なんで教会なんだよ」
「だって今日も来てなかったじゃないっすか、
『かすみ』さん」
「は!?」
「寺田さん、そういうの分かり易すぎですって」
「来てる時と来てない時の、
落差激しすぎるんですもん」
「…なんで来ないか、心配になるだろ」
「フツーは来ても来なくても、
気にはならないっすよ」
「ゔっ‥」
「だって今度、人前で歌うじゃねえか」
「みさきさんは、年末は本業が忙しくて
出れないみたいっすけど、
あいちゃんは出る気満々でしたよ」
「なんでそんな事知ってんだよ」
「意外と俺、結構いろんな人と
交流してんで( ̄+ー ̄)」
「なんだよ、そのドヤ顔は」
「ちなみにかすみさん、
当日は出られるみたいっすよ( ̄+ー ̄)」
「…なんでお前が知ってんだよ」
「かすみさん、WEBデザイナーやってて、
練習日は悉く納期と重なっちゃってるんですって」
「「スタジオ借りて自主練しなきゃぁ~!」って
言ってるみたいっす」
「お前、そんな事まで知ってんのか…」
「意外と俺、社交的なんで( ̄+ー ̄)」
「そのドヤ顔…ちょっとムカつくな。。」
「寺田さんもしかして、
ジェラシーってやつっすか?」
「ゔっ‥うっせ!」
「でもおさむさんがおもろくって」
「あ゛?」
「ワークショップの主催者なのに…
「本番は出ない」って言ってました」
「え!?」
「なんで?仕事があるとか?」
「おさむさん曰く、
『恥ずかしがり屋さん』だそうで 笑」
「は?意味わかんね」
「ですよね 笑」
「俺も「なんすかそれー!」って言ったんですけど」
「なんか「自分が顔出しちゃうと、
ネタバレっぽくなるからつまんない」
言うてました 笑」
「ホントに謎だな、あの人 苦笑」
「あと俺ら、『ありがとう。』しか
レパートリーないやん」
「別にコンテストとかじゃないから、
それだけ歌って現地かいさーん!するそうで」
「誰も知らない歌を、妙にハモる謎の集団
って事にしときたいんですって」
「なんだ、そりゃ 苦笑」
「なんだそりゃって思いますよね、やっぱり 笑」
「でもみさきさんもあいちゃんも、
結構乗り気みたいっすよ」
「変な思考って伝染すんのかもな」
「なんかグループ名も決まってるみたいで 苦笑」
「ぶっ 失笑」
「そういうんは、みんなで決めるもんだろフツー」
「当日出れない代わりに、
みさきさんが考えてきたみたいで」
「おさむさん、それ聞いて
「それだー!」ってなったみたいっす 笑」
「すっかり置いてきぼりやん、俺ら」
「んで?」
「はい?」
「グループ名はなんになったんだ?」
「あ」
「一度聞いたんじゃ覚えられなかったんで、
メモっときました」
ガサゴソ…
「えっと…」
「…『コーキノス・ペッラ』ってグループ名っす」
「こーきのす…?」
「『ペッラ』ってギリシャにあった
古代都市の名前だそうです」
「『マケドニア』?の首都だったんだそうで」
「随分難しいとこ、攻めてんだな」
「んでその『こーなんちゃら』は?」
「ギリシャ語で『赤い』って意味だそうで」
「『赤いペッラ』…
『アカペラ』・・
そのまんまやん!(; ・`д・´)」
「思わず俺も爆笑してしまいました 笑」
「んで応募はいつすんのかな」
「なんか「応募は済ませた」言うてました」
「え!?」
「なんか俺らは出る前提みたいっす 笑」
「まぢか!?」
「拒否権すらないのか、俺ら…」
「でも俺が思うに寺田さん、チャンスが
来たかもしれないっすよ!( ̄+ー ̄)」
「チャンス?」
「主宰者が当日来なくって、
一曲歌ったら現地解散すよ!」
「かすみさん、ご飯誘う
チャンス到来じゃないっすか!」
「ゔっ‥何故急にハードルを上げる…」
「でも女は、終わったらみんなで
お茶しに行くんじゃねえか?」
「これは俺の勝手な予想なんすけど…
かすみさんって、女で群れるより男に
奢られるほうが好きそうな感じがするんすよねぇ」
「指図したらムッとすると思うんですけど、
軽い助言程度だったら「寺田さんすごーい!」
ってなる性格だと思います!」
「あとイメージ的はかすみさん、
『恋の生きる女』!って感じするんで」
「自分を磨けるチャンスは逃さないと思うんすよね」
「俺、あのへんで小洒落たお店
知ってるんで、教えますよ!」
「…川口って、女の事いろいろ知ってんだな」
「意外と俺、社交的なんで( ̄+ー ̄)」
「でも『立ち食い蕎麦屋』はアウトですからね!」
「第一印象はなるべく良くしとかないと」
「そういうもんなのか…」
「じゃあ今日は飲みに行くか」
「お!授業料の代わりっすね!」
「次の出番もこれで出来んだろ」
「さすが『敬老の日』生まれ!尊敬しかないっす!」
「まぁ、『今日の飲み』は
端折られるかも知んないけどな」
「ゔっ(;・∀・)」
タタタタ…
「もう行った 笑」
タタタタ…
「クリスタルガイザーですが…」
「何卒よろしくお願いします!!」
「誕生日に柄杓でもプレゼントするか…」
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