香薫-koukun-1

 俺の恋人は可愛い。

 どこがって?それは全部!顔も身体も言葉も仕草も態度もぜーんぶ!



「みぃくんっ…はやくっ…」



 ほら抱いてる時も、可愛すぎるでしょ?



 昨晩、俺は怒りに任せて朱ちゃんを激しく襲ってしまった。帰ってこない不安が大きく、やっと帰宅したと思えばお酒で火照った顔をして、浮気したと思い込み自分の心が抑えつけられて衝動に耐えられなかった。


 朝になりマネージャーから話された内容で俺が思っていた事なんて何もなくて、帰り遅くなったのも、お酒が入り高揚していたのも俺の事を思って二人で熱く話をしていただけだった。


 朱ちゃんには襲ってしまった事を謝り、もうこんな事はしないって心に誓った。




 ___そう言えばあの日もこんな事を思って誓ったっけ。あーぁ、馬鹿だな。俺。二回目じゃん。


 その話はまた後日。


 仕事終わりの朱ちゃんと約束していたデートという名の前からずっと見たいと言っていた絵画展へ一緒に行った。ゆっくりと堪能している朱ちゃんの満足そうな笑顔が可愛くて思わず帰りの道中でキスをしてしまった。


 キスした後の朱ちゃんが小さく、帰ったら優しく抱いてくれ…。と俺に呟いく。珍しく甘えてくる恋人に愛しさが溢れてしまう。

 優しく、優しく俺は抱いた。朱ちゃんはきっとまだ傷ついている。その原因は俺なんだ。癒やしてあげる。俺の、朱ちゃんを思う愛で優しく癒やしてあげるから。

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