あんたは俺のだから
そらいろ
水明-suimei-
水も滴る……
「……いい男」
「ん?朱ちゃん、なんか言った?」
二人でお風呂に入り、のんびりしようとした所ソファに押し倒してきたこいつは俺の彼氏、瀬羅樹矢(せらみきや)。
若者に人気のモデルとして樹矢はいろんな雑誌の表紙に抜擢されている。天然な性格と人懐っこい笑顔からテレビにも出演しており多忙な毎日だ。
「何もねぇよ」
押し倒されているのは俺、須藤朱斗(すどうしゆと)。
フリーカメラマンとして人物、動物、風景…色々な写真を撮っている。最近はモデルやアーティストを撮影する事が多く、樹矢もその内の一人。
そんな俺らは男同士で一緒に住んでいて、かつ付き合っている。
もちろん周りには秘密で……。
「今日も可愛いね!朱ちゃん♡」
「可愛くねぇから」
ちゅ……。
不意に頬にキスしてきて、真剣な目で見つめてくる。
「耳まっか。やっぱり可愛いね」
そんないつもより低い声で囁かれたら。
もう、だめ……。
「みぃくん。はやく…」
俺は樹矢の首に腕を回して引き寄せた。
ちゅ、ちゅ……。
お風呂上がりで乾かしていない樹矢の髪の毛から、俺の顔や首元に雫が落ちる。
(……相変わらず綺麗な顔だな)
ふと、そんな事を思っていると唯一身につけていたバスタオルを取られた。
「朱ちゃんの大きくなってるね」
気持ちいいから。もっと……。
そんな事を頭の中で思う。
「朱ちゃん……朱…可愛いよ…」
樹矢、俺の事呼び捨てになったって事はドSのスイッチが入ったな。
「みぃくん…みぃくんの頂戴…?」
「まーだ。慣らしてないでしょ。痛がってるしゆは見たくないの。泣いてるしゆも可愛いけど!」
俺ってそういえばこの優しさに今まで何回救われたかなぁ。
『___でも、まだだよ』
俺の耳元で囁く。
深い口づけをしながら行為を続最中、樹矢の髪からは沢山の雫が俺に降り注いだ。
___
「朱ちゃん!大丈夫?泣いてるの??」
行為後、俺を見るなり樹矢は焦っている様子だった。
(泣いてる??俺が?)
目元に手を当てると確かに濡れていた。
いや……これは樹矢から零れてきた水だ。
「これはあんたから落ちてきた水だよ」
「あっ!髪の毛からか!びっくりしたぁ。痛い所があって泣いてるのかと思った…良かったぁ」
そう言いながら俺を抱き寄せて腕を回して力強く抱きしめた。
「もう一回お風呂だね」
抱きしめながら樹矢が言った。
「だな、風邪引くから早く行こうぜ」
俺は抱きしめ返しながら答えた。
みぃくん、嘘だよ。
ホントは一粒だけ涙が流れてた。
幸せを感じて、好きが溢れて、思わず涙が出たんだ。
「朱ちゃん、いこっか?」
「……おう」
差し出された手を繋ぐ。
これからも、二人で手を取り合おうか。
end.
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