第1回レポート

2042年08月14日

16:25

目撃者:ジン


■■■路地裏(平日・午後)


「おい、止まれ!」


全力で走っている男性の姿。そして、彼を追うもう一人の男。男の声は誰もいない通路に響いた。


《----!!》


機械のような声で叫ぶ男性は前より速いスピードで走り始める。


「くそっ!アンドロイドめ!言うこと聞かねーな!」


男は足を止めず、手首に装着していた黒い腕時計をいじり始めた。


「こうなったら仕方ない!」


腕時計は青く光り、そこから女性の声が聞こえてくる。


《登録者:XINシン

S・B・Sエス・ビー・エスの許可を確認しました》

《周りにご注意ください》


『Spinal・Boost・System』通称『S・B・S《エス・ビー・エス》』。


それは人間の身体能力を強化させるシステムである。

手首に着用する腕時計サイズの装備から液体を身体に打ち込むことで、全身の能力を倍に高める。


銃と同じ、公安委員会こうあんいいんかいの許可さえ取れば誰でも所持することができる。


警察官は日常的に使っている。


「はい、はい。わかりましたよっ。それじゃ、行くぜ!」

Accelアクセル!」


スイッチ一つで、男のスピードは先より倍ほど速くなり、二人の距離はあっという間に縮まった。


《!!!》


後ろを振り向いたアンドロイドは、自分に向かって飛んでくる男を目にする。と同時に、ものすごく固い膝が彼の顔にぶつかった。アンドロイドはその場から約5m離れた場所へと飛ばされ、動きも止まった。


男は空中から地面へと位置を直した。そして、アンドロイドに近づく。


「ふー...これで大人しくしろよ。」


彼はアンドロイドの首元にあるスイッチに手を伸ばし、電源を切った。


「あぁ!こいつの顔に傷がっ。これは部長に怒られるなー。」


男はため息をした。

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