ミステリイーター! 短編集
薄山月音
那由多の恋
「あぁ、幸せだなぁ……」
放課後の学校敷地内のベンチに腰掛けて、近くの人気店で買ってきたイチゴオレのストローに口を付ける。
三原潤のそんなささやかな幸せは、一口目で爆散する事になった。
「わたし、好きな人が出来たかもしれません」
隣に腰かける親友の唐突なそんな声で、潤は口の中に含んでいたイチゴオレを盛大に噴き出した。
「あれ、どうしましたかじゅんくん。汚いですよ」
「ご、ごめん」
取り出したハンカチで口元と、制服のスカートを拭う。
「そ、それでどうしたんだよ、いきなり」
努めて平静を装いながら――声が上ずっていたのが自身でも分かっていたが――聞いてみる。
だが相手、五条那由多は何も気づかずにそのまま続ける。
「わたし……最近胸の辺りが痛くて苦しい時があるんです」
那由多は、いつになく真剣な表情で続ける。
潤が那由多のこのような表情を見たのは、彼女が期間限定のモンブランタルトと同じく期間限定の季節の丸ごとフルーツパフェを両方買うだけのお金が無くて迷っている時以来だった。確か3日前だった。
「……最初は何かの病気じゃないかなって心配になっていたのですが、昨晩ちょうど恋愛ドラマで片想いのシーンをやっていまして。そこでビビッときました!」
「……!」
「これはズバリ、恋の病なのではないかとおもいます!」
再度むせかけたが、どうにか気力で押し留める。
「へ、へぇ。じゃあ、相手は誰なのかな?」
片手の中で、一口だけしか飲んでいないイチゴオレの容器が音を立てて潰れた気がしたが、那由多はそれに気づいた様子はなかった。
「それが、わたしにも分からないんです。色んな人の事を思い浮かべても、どれも違うような気がして……」
「……」
「……はぁ。わたしは一体誰に片想いをしているのでしょうか……?」
目を伏せ、困ったようにため息をつく那由多。
それを見つめながら、イチゴオレで濡れた片手の指先を舐めていた潤は、ゆっくりと吐き出した。
「……恋の病って事は、その……好きな誰かの近くにいたらきっとドキドキするって事……だよな?」
「はい、そういうお話をよく聞きますね!」
「な、なら、相手ともっと一緒にいたいとか、そういう気持ちで分かるんじゃないかな?」
「そう、それです! じゅんくんはかしこいですね!」
手をポンと叩き、ベンチから立ち上がる。
「と、ところでなんだけど、今はどう……なんだ? その、胸が苦しいとかドキドキするとか……?」
「今はなんともありませんので大丈夫です!」
「そ、そう、なんだ……」
何故かガックリした気分になった潤に気づかず、相手はむふぅと鼻を鳴らした。
「やっぱりじゅんくんは頼りになりますね。それではぜんはいそげ、です。わたしが好きな人を探しに行きましょう!」
「あ、ああ……」
「とりあえず、何か甘いものでも食べて頭を落ち着かせてきます!」
言うなり校外へと駆け出していく那由多。
「……好きな人、かぁ」
彼女が去っていった方向を見つめ、潤は息を吐き出して再度指を舐めた。
もう、何の味もしなかった。
「まずはどこを探しましょうか。きっと身近な人ですよね」
どこで買ってきたのか、子供の頭サイズほどもある巨大なシュークリームを口に運ぶ那由多。
頭が回っていないのか、珍しく自分の分だけしか買ってきていないようだった。
だがそんな事は今の潤にとってはどうでも良かった。
「……あ、ああ。身近な人とか、もしくはテレビで見るイケメンの俳優……とかかな。……はぁ」
「あ、ありそうですね! ジュニーズの海Pとか『
そんな会話をしながら、大通りに繰り出して最初に視界に飛び込んできたのは。
「む、なんだお前たち」
片目を髪で隠した、クールな雰囲気を漂わせた少年が腕を組んで塀に寄り掛かっていた。
「むむっ、きぐうですね!」
「確か……」
少し前、とある事がきっかけで知り合う事となった数人のグループのうちの1人。
名前はなんと言ったっけ、と潤が思いを巡らし始めたその時。
相手の視線が、潤の履いたスカートを捉えた。
「どうした、女装に目覚めたのか。全くもって似合わんぞ」
「じょっ……」
「まあいい、気持ちは分かる。俺も以前、琉羽が留守中にアイツの汗が染みついた洗濯前の私服を手にする事があってだな、思わず着てしまったその時は得も言われぬ至福の時間だったぞ。私服だけに」
「……」
そこでふと、隣の那由多が真剣な表情で相手を見つめている事に気づく。
「こういうあぶのーまるな人が、わたしの好きな人なのでしょうか」
「……え」
そのつぶやきと同時に、ずっと手にしていた巨大シュークリームを一気に飲み込む。
「毎日が平和で、わくわくどきどきの刺激が足りないから、こういう人に惹かれちゃうとか、あるのでしょうか……?」
「まっ、待ってくれ那由多! 刺激ならほら、最近僕はラップがマイブームでさ、この前なんか休日返上潤参上、って感じでストリートギャングとラップバトルを繰り広げてそれはそれはもうテンションアゲアゲで、」
慌てて適当な事を口走るが、那由多は変わらずに数メートル先の少年を真剣な眼差しで見つめていた。
「……はうっ、なんだかまた胸が苦しくなってきました……!」
「そ、そうだ、今度の休みに一緒にデスメタルのバンドのライブでも行こう! なんでもそこはライブの締めに観客と一緒にカブトムシの真似をするパフォーマンスが大人気で、中学生の時に町内会カブトムシ選手権第27位だった僕にとっては天職だなって思って、」
自分でもよく分からない事が口をついて出るが、やはり相手はどこか苦しそうに両手で胸を抑えるだけ。
「やっぱり、わたしはあのど変態さんが好き、みたいです……!」
「おっ、お願いだ那由多、僕が悪かった、どうか考え直してくれ……っ!」
何かとてつもない敗北感を覚えながらも、1歩ずつ相手に近づいていく彼女を引き留めようとする。
「……? 何の寝言を言っているかは知らんが、俺のチャーミィブリリアントマイハニーを差し置いて告白だと? フン、自惚れるのもいい加減にしろ」
「あの、お願いです、どうかわたしとおつきあい――」
「ぐへっ」
「大丈夫? 病院行く?」
何か鈍い音が辺りに響き渡り、それと同時に眼前の少年が倒れて目を回していた。
分厚い英語の辞書を片手に、首を傾げてこちらを見つめているのは。
「……ええと、流れがよく分かんなかったけど、とりあえずこいつが悪いのだけは分かったから、うん」
ため息をつきながら、2人の友人の彼女は辞書をバッグの中に押し込んだ。
「実はかくかくしかじかで」
「はい、そしてわたしがあのど変態さんを見つめると、急に胸が苦しくなってきて……」
「……。やっぱり頭の病院行く? 悪いもの食べてない?」
より深く首を傾げた彼女は、再度ため息をついて手を叩いた。
「と・に・か・く! アイツに対してだけはそれは気のせい! 私が保証してあげる! だからとっとと次行った次!」
「むむむ……本当でしょうか」
「ホントホント! 自覚が無いくらいの一目ぼれって言うんなら、どうせ街中でふとすれ違ったイケメンとか、行きつけのお店の店員さんとか、その辺りじゃない? ねっ三原さん!」
「あっ、ああ……」
どこか釈然としないものを感じつつも、友人とノックアウトされた少年を残し、潤は那由多と共にその場を後にした。
「おっ、なゆちゃんと潤くんじゃーん」
聞き覚えのある声に、2人は同時に振り向いた。
そこには、快活そうな少女と、もう1人の地味そうな少年。
それぞれが中身の詰まったパックを片手にしている。ふとたこ焼きのソースの匂いが辺りに漂った。
「あれ、こんなところで」
「むむっ、珍しい組み合わせですね」
「やー、実は帰り道でばったり出くわしちゃって。ってなわけで、あたしお勧めの裏道のたこ焼き屋さんにご招待してたってところ」
「ええと、俺は普通に帰るつもりだったんだけど……今日は知智が演劇部の方で忙しいみたいだし」
言いつつそろりそろりと後ろに下がり始めた相手と、その後ろ襟を掴む少女。
「まーまー。美味しいもの巡りはまだまだこれからよ? そんじゃ次はおせんべ屋さんと、焼き鳥屋のおばちゃんのところと、」
「むむむ、しょっぱいものですか!」
「そそ。たまにはなゆちゃんもどうよ?」
言いつつパックを引き開け、爪楊枝に刺した大粒のたこ焼きをこちらに2本突き出してくる。
「あ、ああ……」
困惑気味にゆっくりと口を近づける潤と。
「おおっ、これはいけますね! チョコを塗らなくてもこんなにおいしいとは!」
エサに食いつく小動物よろしく、勢いよくたこ焼きを頬張る那由多。
「おいしいです! もう1個ください!」
「でしょー? ほら、熱いうちにたんとお上がりな、っと」
どんどん盛り上がっていく2人をよそに、潤はふともう1人の少年の視線に気づいた。
「……なんだよ、僕の顔に何かついてるのかよ」
「あ、いや、女子高に通ってるのって本当だったんだなー、って」
「……悪いかよ」
先ほども別の少年に似たような事を言われたのを思い出して、たまには格好を変えてみようかなどと考えていると。
たこ焼きをパクついていた那由多の動きがふと止まったかと思うと、彼女の視線は潤の眼前の少年を捉えていた。
「ほ、ほら、那由多からもなんか言ってやってくれよ!」
「……」
彼女は4粒目のたこ焼きを飲み込むと、少年を真正面に見据えてゆっくりと首を傾げた。
「なんだか……胸が苦しくなってきた気がします……」
「えっ……」
「うんむ? どゆことどゆこと?」
「……かくかくしかじかで」
不本意ながらも、これまでの事情を彼女に話す。少年の方は目をパチクリさせるだけだった。
「なーるほど。面白そうだけど、なーんか違う気がするんだよねぇ」
相手は少しだけ首を捻ったものの、すぐにニヤニヤとした笑みを浮かべる。
そんな外野の様子は露知らず、那由多は少年の顔を覗き込んだ。
「さっきみたいにあぶのーまるな人じゃなくて、本当はもっとじみーな感じの人の方が好み……なのでしょうか……!」
「じゃ、じゃあ僕は明日からもっと地味になるよ! ほ、ほら、前髪伸ばして両目隠して、背後に幽霊とり憑かせて、休み時間は本でも読む! 何だったらお昼ご飯はトイレで食べる! それならこいつにも負けないだろ!?」
「ええと、話がよく分からないけど俺が馬鹿にされてる事だけは分かった……」
困惑する少年をよそに、那由多が何かを閃いたように手を叩いた。
「こうなったら、手を繋いでみましょう! それで分かるはずです!」
言うなり、両手で相手の手を掴む。
が。
「……。何ともありませんね」
「良かった……」
そして、安堵のため息をつく潤。
「胸が苦しいのは変わりませんが、手を繋いでみても特に変わりませんでした。じみーな人に期待して損しました! ほんと時間のむだでしたね!」
「ええと、俺何か悪い事したっけ……」
そこでようやく繋いだ手を離す2人。
「うわ、なんかベトベトするし甘い匂いが……」
ふと、少年が自身の手を見下ろしてつぶやいた。
そこで目をパチクリさせた少女が、ポケットからウエットティッシュを取り出して両者に渡す。
「んもー、なゆちゃん、さっきも何か食べたん?」
「はい、大きなシュークリームを食べました! 悩みすぎて食欲が無かったので、1個しか食べられなかったです」
手を拭きながら、那由多。
「……。あ、もしかして……」
しばらく首を捻っていた相手が、ふと電話を取り出して耳元に当てた。
そんな彼女を尻目に、伸びをした那由多は歩き出す。
「さ、違ったみたいですし、ここでゆっくりしている時間なんてありません。わたしの好きな人は誰か探しましょう大作戦、続行です!」
「あ、ああ……」
どこかに向かって少しだけ真剣な様子で通話している少女と、よく分からず納得もいってなさそうな少年を1度だけ振り返ってから、潤は那由多の後を追い始めた。
「それにしても、さっきのたこ焼き美味しかったですねぇ。しょっぱいものもたまにはいいかもしれません」
夕暮れも近づいてきた商店街を歩く、那由多と潤。
人通りも多くなりつつあり、そろそろ晩ご飯の時間である事を思い出させた。
「うーん、本当に一体誰なんだろう……」
頭の中が段々と食べ物に占有されてきた那由多とは対照的に、潤は心の中でため息をついた。
どこぞの誰だかは知らないが、那由多が一方的に片想いをするような人間。
それはきっと、どこぞの誰かなんかよりもきっと頼りになって、話しやすくて、面白くて、大人で。
それで那由多が幸せになるのなら、それはとてもとても喜ばしい。
でも、それだと。
その、どこぞの誰かは。
「好きなのも本当は那由多の思い込みで、暴力を振るうようなクズ野郎だったら体育館裏でボコボコにしてやるああそうだきっとそうに違いない……そうだこれは那由多を守るためなんだ仕方ないこうなったら怪しいやつを片っ端からふふふ……」
そこで自身の思考がいつの間にか口に出ている事に気づいて、慌てて頭を振る。
「駄目だ駄目だ、落ち着け僕……集中するんだ」
目を閉じて大きく深呼吸。
そしてそんな事など全く知らない那由多は、商店街の店の軒先に首を突っ込んでいた。
「イカ焼きくーださいなっ! ……。いえ、今は食欲が無いので1本でいいです! あ、1番大きいやつ! ……もっと大きいのないんですか?」
「……はぁ」
二重の意味で本日何度目かのため息をついた潤は、ふと前方からやってくるパトカーのサイレンに気づいた。
パトカーは潤たちの近くの路上に停車すると、そこから2人の男女の警察官が降りてきた。
「ほら、ここ! あの人がおススメしてたお店!」
「……いや、俺帰るよ? てかなんで任地から離れての定期研修中にイカ焼き屋寄らなきゃならんの。上司の好みとか知らんし」
「私だってせっかく遠くから来たんだし、寄らなきゃ損、損! 夜中にお腹すいて後悔しても知らないよ?」
「そもそも業務時間中ウィズ制服なんだけど。善良なる市民の皆様方から苦情来たらどうすんのこれ」
そんな事を言い合いながら、那由多と入れ替わるようにして店へと向かっていく2人。
それを見つめていると、既にイカ焼きを飲み込んだ那由多がふと口を開いた。
「……。おいしいです……が」
「……?」
「それ以上に、今までになく1番胸が苦しい、です……っ」
「な……っ」
串を取り落とし、両手を胸に当てる那由多。
「この痛みが教えてくれました。わたしは、ああいう年上でだうなーな感じの大人の人、が好きみたい、です……!」
「……はぁ!?」
国家公務員。年上。優秀。高給取り。年上。年上。
「ま、負けた……」
打ちのめされたような気分になり、その場に両手をつく。
「……言われちゃ確かにいい匂いだけど、わざわざ買いに来る程度のもんかねこれ。って、何してんの君たち。演劇の練習だったらもうちょっと広い場所でやってくれない?」
「どうしたの? 具合でも悪い?」
ふと、買い物を終えた警察官の2人が店から顔を覗かせる。
「あっ、あの、わたし、五条那由多って言います! 実はお願いがありまして……」
「あー、何、道路の不法占有かごみのポイ捨てでしょっ引いて欲しい系? 俺、点数稼ぎとかそういうの興味ないから、とっとと帰って宿題でもしててくれない?」
「もー、そういう事言わない! ……どうしたの? 何か困ってるならお姉さんが相談に乗ってあげようか?」
と。
「ちょーっと待ったーっ!!」
どこからか聞き覚えのある声が猛烈な勢いで近づいてきたかと思うと、その声の主は那由多のそばで立ち止まった。
「ぜぇ、ぜぇ……やっと見つけた……。さっきあの子から連絡もらったのはいいけど……2人とも電話全然繋がらないんだもん……」
「……え? あ、ごめん」
携帯電話を取り出すと、そこには友人からの不在着信が何件も届いていた。
どうやら2人共々考え込んでいて、全くもって気づかなかったらしい。
「ごめんなさい、わたしはこいわずらいと戦うのに一生懸命だったんです! 今はこのお兄さんのお名前から知りたいなって……」
「……あー、よく分からないけど俺の刑事手帳見る? それで満足して帰ってほしいんだけど」
そこでふと、再度胸を抑えてうずくまる那由多。
「あ痛たたた……ほら、この痛みがわたしの恋のたーげっとは誰かって教えてくれています!」
「……ごめんなさい、この子ちょっとお借りします!」
言うなり、那由多の手を引き、大通りを駆け出す友人。
「あ、おい!」
そして潤も慌ててその後を追う。
「ど、どこ行くんですかっ」
「病院っ!」
「……。……はい?」
「ええと、それで那由多の病名は……?」
「えー、暴飲暴食による食道炎ですねー」
「……は?」
「ですから、食道炎です、食・道・炎。原因はただの食べ過ぎ。お薬出しておきますね」
「……はぁ」
病院の談話室に、2人で腰掛ける。
ここ数時間の気苦労とはまた別の意味合いで、潤はため息をついた。
そして、その隣でさめざめと泣く那由多。
「しばらくの間、間食厳禁って言われました……。ひーん、世界の終わりですー!」
突っ伏して、テーブルをバンバンと叩く彼女。
「うう、わたしが何をしたって言うんでしょう……神様を恨みます……」
「いや、だから食べ過ぎて胃に負担が……」
「ひどいですーひどいですーっ、この世はいつから悪魔に支配されてしまったのでしょう……ずびびっ」
ひとしきり騒いでテーブルを叩き終えた那由多は、ふと何かを思いついたかのように椅子から立ち上がった。
「……こうしてはいられません」
「?」
「完治した時にすぐにいっぱい食べられるように、今のうちに美味しそうなしょっぱいものを売ってるお店をさがしておきましょう!」
「いや、それだとすぐに再発……」
「甘いもの大好物グループも、今だけはしょっぱいもの大好物グループに改名する必要があるかもしれませんね!」
そんな事をつぶやき、那由多はふと廊下へと向けて走り出し。
「ま、待てって! あんまり激しく動くと消化に悪いかもしれないだろ!」
慌てて追いかけた潤が、その手を掴む。
「……あれ」
ふと、那由多は立ち止まって胸に手を当てた。
「那由多?」
「……むむ、なんだか胸がちょっとだけ苦しくなった気がしまして……」
「ほら、言わんこっちゃない」
「……いえ、そういうのとはなんだか違うような気がします……?」
「?」
隣に立つ潤を見つめたまま、小首をかしげる。
「……いえ、きっと気のせいです」
「ならいいけど……気を付けろよ」
「はい! さ、行きましょう、じゅんくん!」
〇あとがき
冒頭部分とオチだけを突如閃いたので、肉付けをしてみた結果がこれ。
なお最後の一文以外において、登場人物の名前が書かれていないのは仕様です。相手が視界に入っているかどうか、をちょっとだけ暗喩している……と言いたいところですが実のところはただの偶然の産物。
※用意したものの入れ忘れたボツネタ
「もしかすると、古い玩具大好き倶楽部のふりょーさんたちの誰かでしょうか?」
「じゃ、じゃあ僕はベーゴマの世界で頂点に立つから! ほ、ほら、鼻の頭に絆創膏を張って、額にバンダナ付けて、ベーゴマの力で世界征服を企む秘密結社に仲間と共に立ち向かって、ベーゴマに宿る精霊と心を通わせるから!」
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