第2話 朝の風景
ジジジジジ……
「んっ……」
七時半。わたしは目を覚ました。
「おはよう、雫」
「おはよー」
うーんけだるい。ぐでーとソファにねそべる。
「もー、高校生になったんだから今日ぐらいはしゃきっとしなさいよー」
「はいはーい……あ、おねーちゃんは?」
「入学式の準備があるってもう学校行ったわよ」
うちの姉はマジメでエライナーと思いながらむっくりと体を起こした。
朝ごはんを食べて、髪を結って、制服を着る。鏡の前で制服姿の自分を見つめた。
「大丈夫だよね……?」
新品のカバンをもって玄関へ向かう。
「せっかくだし写真撮ってあげる」
「えーいいってー」
「ほら、身だしなみのチェックも兼ねてよ、こっち向いて」
すこしだるそーにぴーす。まだまだ反抗期なんです。
「似合ってるわよ。制服」
「ありがと。いってきまーす」
学校までは自転車で10分ちょっと。微妙な近さにあるせいで電車もバスもない。もうちょっと遠かったら……なんて思ってもしょうがないのでゆっくりと自転車を漕いで新しい学び舎へと向かう。
____________
「毎日、これかぁ……」
学校の最寄りの駐輪場に自転車を止めて学校へ向かっている。道はなれているから大丈夫だけど坂道が多いこの街は乙女の私にはキビシイノデス。
今私は友達を待っています。
ここらへんの中学なら結構ここを受けただろうから知り合いも多いと思うけど……
「しーずく!」
ビクッ
「めっちゃビビってるじゃーん」
「いきなり、驚かさないでよ……」
「ごめんごめんって、じゃあ行こっか」
この子が私の仲良し、萌花。小学校からの友人だ。
やっぱり新しい場所で仲良い人がいるってすごい安心感なんだなー。
駅からはすぐだ。少し大きめの坂があってこの坂の名前が校名になっている。毎日登っていたらちょっとした運動になりそうだ。
「クラス一緒だといいね」
「ね。部活とか決めた?」
「わたしは推薦のために生徒会入るつもりだから、入れるかわかんないけどそのために部活は入らないかなぁ」
「コネあるし入れるっしょ」
「ははっ、姉が生徒会長だもんな。雫はやっぱ文学部、とかでしょ?」
「うん。そのつもり。文芸部っていうのがあるっておねーちゃんが言ってた」
なんて話してたらあっという間に着いた。
私立出雲坂女子高校。
ついに高校生活の始まりだ______
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