第2話 幼馴染みの裏切り
次の日から父の通夜・葬儀となった。
雪奈さんは気丈に葬儀を取り仕切った。
参列者の中には麗奈もいた。
葬儀が終わってからも雪奈さんは会社の混乱を抑えるべく、
休みなしで業務を遂行していた。
葬儀が終わった後に一人台所で泣いていたのを僕は知っている。
だから僕も一人で悲しみを堪えつつ家事全般をこなしていた。
そんな時に家のチャイムがなる。
誰だろう?とドアを開けると麗奈が立っていた。
「恭ちゃん…」
「麗奈…」
僕はあの時見てしまったキスが頭にフラッシュバックして…
父を亡くした悲しみも合わさり、涙が出てきた。
「恭ちゃん…泣かないで…
ごめんね。恭ちゃん…私…これからずっと恭ちゃんの傍にいるから!!」
「え?でも…平山先輩が…」
「平山先輩とは別れたの…あの人は…酷い人だったの…
ごめんね。恭ちゃんが折角忠告してくれていたのに…
でもちゃんと別れたから。
だから…私…これからは恭ちゃんの傍にいる!!」
「…どうして?…」
「そんな顔している恭ちゃん…ほっとけないよ…
それに…昔から私…恭ちゃん…好きだったの…」
「僕も…麗奈の事…好きだった…ううっ!!!」
「よしよし!恭ちゃん…辛かったね…
ずっとずっと私が傍にいるからね…」
「ありがとう…麗奈…大好きだよ…」
僕は麗奈に抱きつきとりとめもなく泣いた。
麗奈はずっと中学生とは思えないその豊満な膨らみで僕を優しく抱きしめてくれた。
・・・
父が亡くなった悲しみは大きかったが、
葬儀が終わってから毎日麗奈が献身的に支えてくれた。
麗奈に合鍵も渡し、毎日 朝食、お弁当、夕食と食事も作ってくれた。
麗奈と一緒にいられる時間に悲しみ以上に幸せを感じた。
その甲斐があり、一か月もすると僕は少しずつ前を向けるようになってきた。
ただ…雪奈さんが着替えを取りに来る以外
ほとんど家に帰って来れていないのが気がかりではあるが…
ある日麗奈は用があると言って、一人で帰る事になった。
一人で家にいるのは悲しく、嫌だなと思った僕は、適当に時間を潰せば
麗奈が家に帰って来るだろうと久方ぶりに趣味である小説を立ち読みをするため
本屋に寄った。
程よい時間になったので僕は家に帰った。
「麗奈、ただいま。」
返事がない。あれ?まだ帰ってないのかな?と思ったが
麗奈の靴と見慣れない靴があった。
僕は嫌な予感がして、リビングに向かった。
するとあの時以上の嫌な声と艶めかしい姿を見てしまった。
「恭ちゃん!私をもっと見て〜〜!!!」
僕は茫然としていた…
何で…分かれたはずの平山先輩と麗奈が僕の家のリビングにいるんだ…?
何で…抱き合ってるんだ?
あの時と同じように、平山先輩は僕と目を合わせニヤリと笑った。
僕は心の底から雄たけびを上げた。
「何でだ~~~~~~!!!!!」
「m 〇△■!?」
後ろから何か聞こえたような気もしたが僕は一刻も早く家から飛び出したかったので
靴も履かず玄関を飛び出した。
気づいたら僕は公園のブランコに座っていた。
「何でだよ…麗奈…何で??」
それしか考えられなかった。
気づいたら雨が降って来た。
でもあの家には帰りたくない…
雪奈さんに…会いたい…
僕はびしょ濡れになりながら…雪奈さんのいる会社へ向かった。
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