義母、幼馴染み、親友の女の子…僕を愛してくれた女性は皆、僕を裏切っていき…僕は壊れ続け…いつか報われるのだろうか…

まかろん

1章 様々な裏切り

第1話 壊れ始めた日常

「恭介…男の子はね…どんなに辛くても…耐えなくちゃいけない時があるのよ…

 辛い時に不幸が重なり…何もかも嫌になる事があるかもしれない…

 でも決して自棄になってはいけませんよ…

 真面目に努力を続けていれば…いつか…報われる日が…くる…から…」


最期に母が僕に残した遺言だった。

僕はこの言葉を噛みしめて自分の人生を真面目に努力を続けて生きていこうと

子供ながらに決心した。


僕こと 進藤 恭介 は非常に恵まれた環境で育てられた。

物心ついた頃に母は死んでしまったが、

進藤家は大企業の創業者で生活にはゆとりがあった。

父は社長で、仕事は忙しいながらも家族も大事にする人で優しかった。


母が死んでから数年後、父は雪奈さんという会社の部下と再婚した。

雪奈さんは優しい人で僕を本当の子供のように可愛がってくれた。

僕も雪奈さんが大好きだった。


周辺の環境も恵まれていて近所には可愛らしい幼馴染みの女の子 芹沢 麗奈 が

住んでいて、僕たちは家族ぐるみで交流があった。


僕も麗奈も大人しい性格だったので人見知りが激しい。

だから気心の知れた仲良しさんということで

幼稚園、小学校と毎日一緒に登下校し、

毎日お互いの家を遊びに行き来する仲だった。


中学生になると、少し状況が一変する。

麗奈は美しく、身体の成長も中学生とは思えない程であった。

そのため、告白を毎日されるようになった。


僕は、その様子を何度も見て、胸がチクチクする感覚があった。

今思えば…それは恋というものが良く分かっていないながらも…

嫉妬だったのであろう。


ある時僕は麗奈から恋愛の相談をされた。

内容は要約すると、

・サッカー部の部長で平山という男から告白された

・平山は成績優秀で容姿も整っており、学校でも人気のある生徒

・友達は羨ましがっており、是非交際を受けた方が良いと言われている


「ねえ…恭ちゃん…私…どうしたら良いかな?…」

僕は胸がモヤモヤしていたが、麗奈にとって一番良い事を考えるべきだと思い

自分の考えを麗奈に言った。


「話を聞くと凄い人そうなんだけど、性格は良く話さないと分からないよね。

 友達の意見に左右されるのではなくて、まずは付き合う前に友達になって

 平山先輩の人となりを良く知ってみるのはどうだろう?

 その上で麗奈がお付き合いしたいと思うのならば

 付き合ってみるって感じで。」


麗奈はその言葉を聞くとちょっとムッとした顔をして

「分かった…私…平山先輩と付き合ってみる。」


「え?付き合う前に友達になって、人となりを知った方が良くない?」

「付き合って人となりを知るっていうやり方もあるでしょ?」

「いや…そうだけど…まあ麗奈がそうしたいなら良いけどさ…」


後日、麗奈が平山先輩と付き合ったという噂が学校中に知れ渡った。


麗奈と平山先輩は、一緒に手を繋いで登下校するようになり、

僕は一人で登下校するようになった。

寂しい感じはしたが麗奈が選んだ事だから受け入れなければならない。


今日も寂しく一人下校か…

そう感じながら家の近くの公園を通る時に音が聞こえた。


チュチュ

「う…」

艶めかしい声が聞こえる。


見ると、平山先輩と麗奈がキスをしていた。


平山先輩と目があい、ニヤリと笑われたような気がした

僕は…居てもたってもいられなくなり、その場を走り去った。

家に帰ってからも僕はドキドキが収まらなかったし、胸がズキズキ痛んだ。

 

その日はモヤモヤして眠れないでいた。

トルルルル 夜中にも関わらずけたたましく電話が鳴った。

雪奈さんからだった。


「恭介君~~~!!!お父さんが…お父さんが!!!」

いつも冷静な雪奈さんが初めて取り乱した声を発した。

父が事故に遭い、そのまま即死してしまったという連絡だった。







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