第14話 敵前逃亡は銃殺刑です☆



「この私が2週間あげるって言ってるのに、1ヵ月に伸ばせですって!?」


正直、女同士の口論を俺は初めて生で見た。


口論っていうより礼華が一方的にキレてるだけだったけど。


俺は日本軍に引き渡され、礼華と一緒に日本軍の拠点に戻ることになった。


1か月の停戦協定を結んで。


「あー----むかつくわ。なんなのあのリリーとかいう女。涼しい顔して兄さんを独占して」


「おっ、そうだな...」


「私が兄さんをどれだけ心配したか!!ジパング人に拷問させられたりひどいことされてないかって、毎日気が気じゃなかったのよ!」


「お、落ち着こうね礼華ちゃん」


「ダメ!!無理!!!絶対根絶やしにするわ!!!!!1111111」


やばいって。


仮にも軍の総司令が。こんな激情家でええんか?この調子だと平気でそのうち核ミサイルとか撃っちゃうぞ。


怒り心頭。女の皮を被った鬼。走り出したら止まらない。


わざわざ説明するまでもないと思うが、これでなぜ俺がこいつを苦手なのかわかってもらえたかな?


「......はぁ。けどよかった。。兄さんが無事で。うう、本当に....」


「それにしても、よくサイサリスを改良できたな。あれお前が作ったの?」


「私が手を加えたけど、特別なことはしてないわ。サイサリス本体の強度をあげただけ」


「じゃあどうやってあの威力に?校舎1つくらい消す規模だったぞ」


我ながら例えが微妙だ。


ちゃうねん、そのくらいの爆発規模だってことやねん。


「東京の霊脈から、高密度の魔法石が採掘されたの。サイサリスにそれを装填した。あまりにも威力が強かったので、日本軍全体にその魔法石を配備してる。攻守ともに大幅な強化がされてるわ」


「ははーん、あの赤い魔法壁もその霊脈のおかげだったのか」


「ああ、カランコエのことね。霊脈魔法石を使った強化魔法壁。通常の魔法壁と比較して、強度が10倍以上。高密度で形成されてるおかげか、大体の魔法をブロックできるわ。精神干渉的なものも含めてね」


「俺の新兵器もあれで防がれちゃったのよ。やりますねぇ」


「まぁ、運がよかっただけね。兄さんの作る兵器に対抗するにはほとんど賭けだったわ。ジパングは、兄さんに魔法兵器を作らせるだろうって予想してたから」


「なんかもう、俺いらないね?明日から新章!天才・大倉礼華おおくられいか編スタート!!でよくない?」


「うーん、そうもいかないのよねぇ」


ここは、何言ってるの???って突っ込むところなんだが。。。なんか冷静に返された。


「東京の霊脈から採れる魔法石は、数に限りがあるの。そんなに多くない。また、一度使えば再チャージにかなり時間がかかるから、今の日本は短期決戦でしか勝てないのよ」


「まさかまた俺に新しい武器作れとか言わないよね?」


「......」


おっと、この流れは...親の顔よりみたような...。


「私は、日本軍の総司令として命じないといけない。兄さん、いえ大倉礼司。あなたには、日本軍兵士の武装改良をお願いしたいの。できれば長期戦に対応できる兵士がたくさん必要」


「えー-、嫌ですね。俺は自宅に帰ってゆっくり休んでゲームとかしたいです」


「いくら戦況を覆す超兵器があるからといって、さっき言ったとおりそれはあくまで短期的な戦いで真価を発揮するの。長期で戦い、北海道まで奪還するためには兵力の底上げが必須だわ。やはり戦争は数なのよ兄さん」


「なら無人の戦闘ロボット、ドローンとかたくさん作って前にもっていけばいいじゃん。それで解決やね?」


「ドローンも投入してるけど、やっぱり細かい戦術対応はどうしてもまだ人間の兵が必要。ドローンだってタダじゃないのよ?私が望むのは、低コストでかつ強い兵装。欲を言うなら、兵士の生還率も上げてほしいわね」


「俺の作った魔法銃・ゼフィランサスがあるじゃん。あれをもっと量産して兵士に持たせればいい。それで解決よ」


「あれ、コスト高いのよ。1つ作るのに数百万とかかかっちゃうわけ。そんなお金ないです」


「うっ...」


「じゃ、よろしくね兄さん!あ、拒否権はないから。敵前逃亡は銃殺刑です☆」

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