逆に異世界が来てそれと戦うことになった件。

尾形

第1話 無理っす

普通の場合は異世界に飛んでいって冒険するもんなんだけど。


俺の場合は異世界が飛んできた。


つまり、俺の暮らしている日本に異世界が来た。


正直意味がわからなかったけど、とりあえずそれが現実だ。


多次元宇宙の実験を行っていた日本は、事故によって全く別の宇宙を呼び寄せた。


実験の暴走により、群馬県あたりを境目として東日本に異変が起きた。


緯度37度あたりから北は、日本と似通った全く別の異世界となってしまった。


なんて言ったら良いんだろう。


日本+魔法世界みたいな感じ。まぁとりあえずそういうの。


変わり果てたその北国通称ジパングが。南の日本、さらには世界に対して独立宣言した。


そして開戦。


日本はジパングとの戦争状態に突入した。それがちょうど1年前。


それで東京に住んでいる俺は、いろいろな訳あってその前線に投入された。


全く困り果てた。


これはそういう話だ。ぜひ俺の苦悩を聞いていってほしい。



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「だからほんと、魔法に対して科学で対抗すんのは無理っすよ」


「科学は人類の英知だ!現にこうして我々は絶対防衛線を死守している!」


「念じたら火の玉を無数に放ってくる連中っすよ?物理法則もクソもない連中とどう戦えと?」


「それを考えるのがお前たちの役目でもあるのだ!なんとかしろ!!」


こういうやりとりをこれまで5億回くらいしてきた。


もはや自衛隊から日本軍という名前に変わったこの組織での、不毛なやりとりだ。


俺は別に望んでもいないのにここに召喚された。


ただそれっぽいものを専門として勉強してた?からという理由だけで。


「俺はジパングの魔法に興味があって独学で調べただけでの素人学生ですよ?もっと頭のいい凄腕の天才とかにこういうのは任せてくださいよ」


「今回発足した部隊には頭の固い連中でなく、低コストでスピーディーに回せる部隊なのだ。使えないお前らにも仕事があるのだからありがたく思え」


「じゃあもっと武器開発の予算をくださいよ」


「低コスト、と言っただろうが!安く良いものを作れ!」


「ならもうこの魔法石をはめ込んだ豆鉄砲で我慢してください」


「もっといいのを作れ!!」


いつも思うんだけど、なんで日本ってこんな理不尽なの?


金は出さない、けど良いものを作れってさすがに頭が悪すぎない?


「いいな、1週間だ!それで新型を作れ!!!!!」


バン!!とドアが壊れるくらい閉めてアホ上官は出ていった。


あのハゲおじの帽子をとって大恥かかせる装置でも作るか...。って、一週間???


「無理っす...」






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