35 エア修学旅行
今夜は……
姉妹が僕の実家へと泊まりに来て。
お風呂は近くの高級旅館の家族風呂に入ろうという流れになり。
初めは僕、ママン、妹のヨミちゃんの三人で入浴してたけど。
少しして、姉妹も家族風呂へとやって来た。
今まで姉妹とは水着姿でしかお風呂(やプール)に入ってこなかったから、いよいよ、という感じ。
さぁ! 念願の! 裸姉妹との! 入浴タイムだ!
「はい帰るよー」
と、いうイベントはあっさり終わり。
入浴後はさっさと家に帰宅。
温泉の描写とか、もう十分堪能したよね?
「ママーン、布団あるー? 僕の含めて三人ぶーん」
「客間にあるけどどこで寝るつもりー?」
「空き部屋ー」
「客間があるのにー?」
「ほらシスターズ、君らの布団もだから運ぶの手伝ってー」
「ういっ」「はい」
エッサッ ホイサッ
僕を先頭にして、姉妹はついてくる。
「くくく、まるで雛鳥……行き先に疑問も持たず、気付いたら地獄なんて事も有り得るのに……」
「お兄ちゃん楽しそうだなー」
「いざとなったらこの布団で生き埋めにしましょう」
そんなこんなで、辿り着いのは先述した通りの空き部屋。
正確には、空き部屋に『された』場所。
「ふふん、やっぱり行き先は『お兄ちゃんの部屋』かー。残り香でわかるよっ」
「姉妹の部屋に行ってから初めて見るけど、見事にすっからかんだねー。新入居した部屋みたいだー。いや、もう着なくなった服タンスはあるか」
「こんなに他人事な『被害者』もそうそう居ませんよ……」
「よしみんなっ、敷け敷けー」
バフンッ
僕の空っぽの部屋のフローリング床に、布団一式が三人分敷かれる。
埃が舞わないのを見るに、ママンがこまめに掃除してくれてるんだろう。
「よーしみんなっ、寝転べっ、コイバナすんぞっ」
「ウイッ」
「修学旅行ですか……」
布団の上にうつ伏せに寝転ぶ僕とリノちゃん。
シノさんは腰を下ろすのみ。
「で、お兄ちゃんの好きなとこ言えばいいの?」
「それだとコイバナにならないっ。だから、昔好きだった別の男の話でもしてヤキモキ(興奮)させてくれっ」
「どういう性癖ですか……」
脳が壊される感覚はクセになるとネット(この世の地獄)で見た。
「えー、そんなんいないよー。私は純愛(ひとすじ)だしっ」
「君は真っ直ぐだなー……(チラッ)」
「いや……私を見ても何も答えませんよ」
「あるだろー。高校生になるまで十数年も生きてきて、色んな異性を好きなった経験くらいあるだろー」
「ありません」
「あ、同性(ゆるゆり)?」
「ありません」
「妹さーん、お姉さんが塩対応だよー」
「アイドル時代の記者からのインタビュー思い出すねー。でも、お姉のは言葉の通りだと思うよー」
「ホントに、恋愛経験皆無って事かい?」
「まー、ウチらは海外に行ってたりアイドルしてたりと、腰を落ち着ける暇も無かったからね」
心に余裕が無ければ恋愛する暇も無い、って事か。
「イケメンの芸能人に囲まれる機会も多かったろうに」
「声掛けられても塩対応だったよ。結局、お姉も昔っから純愛(ひとすじ)って事さっ」
「リノッ」
「焦んなよーお姉。過剰な反応は墓穴(いのちとり)だぜ? まぁ既にこの数日でバレバレだけどもねー」
「くっ……私は、着替えますので」
シノさんは立ち上がり、家から持って来たお泊まりバックの所に向かう。
「あー、二人ともまだ私服だったねー。寝転んで可愛いおべべにシワが付いたら大変だー(ジー)」
「お兄ちゃん、涅槃ポーズで堂々と見過ぎー。まぁ裸の付き合いも済ませたウチらだ、今更着替え見られるくらいなんてこと無いよねーお姉?」
「あっちを向いてて下さいっ」
「ダメかー。相変わらずシャイ(繊細)だこと、ねーお兄ちゃん?」
「ふふっ、理解(わか)ってないなーリノちゃん。男はね、カップルになって何度身体を重ねようが結婚して子を持とうが、伴侶の前ではいつまでも顔を赤面するような女の子に惹かれるんだ」
「深い……」
「浅いですよ」
スルッ スルリ スルスル ジー
元アイドルとしてのスキルか、一瞬で着替え終えるシノさん。
スカートを履いたまま学校の短パンジャージを履いてスカートをストンと下ろし、上も同様、ヒラヒラしたおべべをさっと脱いでシャツ姿になりその上にジャージを羽織る。
「ダッサー。お姉ジャージなんて持って来たのー?」
「えー、可愛いじゃんジャージ。シノさんが着たらなんでもムチッとしててエロくなるし」
「そういう感想はいりません」
「なら僕もっ」
「お兄ちゃん?」
僕は立ち上がり、スタコラと部屋を出て『隣の部屋』飛び込む。
ガチャ!
あ? なんだお前いきなり。
ガタゴト!
おま! 勝手にタンス漁んな!
ドタバタ!
あ? それが欲しいなら先に言え!
ポイポイ!
ここで全裸になって着替えんな!
スタコラ
僕は部屋に戻って、
「……ふぅ。穏便にヨミちゃんからジャージ借りられたぜ。サイズもピッタリッ」
「今のが穏便ならば常に騒がしい一家なのですね」
「むー、そうなると私だけ疎外感っ」
「んー。ならリノちゃん、そこのタンス漁れば僕のチューガク時代のジャージ出てくるかもよ?」
「ヌッ! お兄ちゃんのお下がり!? いただき!」
「貰おうとしないで下さい……」
ガサゴソ! ガサゴソ!
まるでバーゲンかのようにダンスを漁り出すリノちゃん。
「宝の山やー!」と彼女は興奮を隠さない。
「おっ、これかなー? (ヒラリ)」
「それそれ」
「んー(スンスン)お兄ちゃんの匂い……」
「誰がおばあちゃんち(防虫剤)の匂いじゃい」
「早速着るねっ」
手をクロスさせて私服を脱ごうとするリノちゃん。
ふと、その手がピタリと止まり、頬を染めながら僕を見て……
「み、見ないでぇ……」
「おいおい、百点(完璧)だよ」
「なんの茶番ですか」
僕の反応に満足したのか、「じゃあ着るか!」とリノちゃんはポイポイと私服の上下を脱ぎ、水色の下着姿を堂々と晒す。
「慣れ過ぎです」と、最早(家では僕の前で着替えるなんて)日常と化した光景なので、シノさんも止めようとしない。
「んー、ピッタリだねっ。お兄ちゃんに包まれてるって感じがするー」
「気に入ったんなら良かった。でも少し胸の部分とか窮屈そうだね? なんだか中学生(ちゅーぼー)にしては発育の良い後輩が家に来たみたいでドキドキするよ」
「センパーイ、今夜は寝かせませんよー?」
「そうそう。男の理想の後輩はそんな事言う」
「男の理想というものは気持ち悪いですね」
「まっ、センパイには女の子に手を出す度胸なんて無いでしょうけどー(笑)」
「コイツ……生意気な後輩ムーヴを熟知してやがる……!」
「……それより、リノ、ポケットに詰めたものをタンスに戻しなさい。窃盗ですよ」
「センパーイ、この人こわーい」
「まーまーシノさんや、もう使わないモノだから」
「貴方はどれだけ妹に罪を重ねさせるつもりですか」
そんなこんなでバタバタしつつ……着替えた僕らは改めて布団の上に突っ伏す。
「んー、体操着着たら更に修学旅行めいてきたねー」
「男女が同じ部屋で過ごすシチュみたいで興奮するねお兄ちゃんっ。先生が来た瞬間布団の中にみんなで隠れるシチュやろっかっ」
「先生なんて来ませんよ」
「ならずっと布団の中で密着出来るって話だよお姉っ」
「何が楽しいんですか……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます