34 十二鬼月 ※R15

高級旅館にて、露天な家族風呂を満喫中。

その名前らしく、ママンと妹のヨミちゃんの三人で堪能していたわけだが……



「ふぅ……極楽極楽ぅー」

「なんだか高級なお湯を使ってる気がするぜっ。匂いとか水の感触がなんか高級っ」

「頭の悪そうな感想やめろ」


とろみがあり白濁した濁り湯が肌に優しくセンシティブにも優しい(エッチフィルター)。


「ほんとー久し振りだねー、家族水入らずはー」

「風呂入ってる時の台詞か」

「忘れられてる(今も仕事中の)パパンかわいそ」


父親はハブられがち問題。


「そーいえば、お兄ちゃんはいつまで姉妹にお世話になる予定なん?」

「今週いっぱいとかだろ?」

「まだヤリたいことヤッてないから僕が満足するまでお世話になるよ」

「青春だねー」

「〇〇はしろよ」

「はぁ、たく。これだから脳内ピンクは」

「年頃の女の子だからねー」

「当たり前の心配だろうが……」


ほんと、ヨミちゃんは僕と姉妹を不健全な関係だと勘違いしてるな。

振り返ってみても、僕らの生活は健全そのもの……、……うむっ、少年漫画レベル(健全)だなっ。


「なに一人で(目ぇつむって腕組みしながら)頷いてんだよ」

「僕の据え膳食わぬっぷりに改めて感動してるのさ」

「自虐か?」


「話の流れ変わるけどー、ママン的には孫の顔を早く見たいねー」


「言うほど流れ変わったか?」

「十代だか二十代前半そこらで僕ら(兄妹)をこの腐敗した世界に(産み)堕としたママンと違って僕とシノリノ姉妹の関係は健全なのっ」

「お前も容赦無いな」

「むー、子供は若いうち(18歳以上)に産む方が色々メリット多いのにー」

「そうか……子供が子供を産むとこんなアダルトチルドレンに……」

「反面教師で立派に育った子供達に感謝しろ」

「容赦なーい。てかママンは君ら産む前から中身は大人ですー。社会経験ありますー。産んだ後仕事もすぐに復帰してますー」

「そうか……つまりはもうこの『社会』自体が……」

「もう終わりだよこの国」

「社会を変えるのはコレからの子供達だよー、頑張ってー」

「上の世代が負の遺産を下の世代に押し付けるのはいつの世も変わらんな」


お風呂の中で知的な会話をしちまったぜ。


「よーし、家族で楽しく会話できたなー。やっぱり温泉は裸だから心も全てを曝け出せるんだなー」

「たくましい母親だよ」

「ウンともスンともいわない暖簾に腕押しとも言えるな」


カタ


「むっ!」

「どうした?」


物音。

それは、脱衣所の方から聞こえた。


「来るぞっ」

「また変な電波でも受信したか?」

「あー、そーゆーことねー」


一人だけ察しの悪いヨミちゃんだったが、脱衣所の方に目をやり、扉のすりガラス越しに『人影』を確認した瞬間、「んだよ」と唇を尖らせた。


「フルアーマーパージシノリノ姉妹来る!?」

「ただの全裸に大仰すぎる呼び方だな」


影は、一瞬躊躇するように扉の前に留まっていたが……


ガラガラ

扉の開く音の後に、


スラリ……

温泉に足を踏み入れた二人の少女。


僕は思わず見惚れた。


夜色の空から差し込む月明かり。

二人の銀髪は、その柔らかな明るさをキラキラと拡散させて輝いている。

身体に巻いたタオルからスラリと伸びる手脚、その肌も月のよう白くって。


僕の目の前に居る二人は、やはり、妖精か何かなのだろう。


「おいっ、おいっ」

「そーか、ここは妖精の国(アヴァロン)の泉だったんだ……」

「ちっ、ラリってやがる。目ェ覚ませっ」

「ガボッ」


ヨミちゃんに(風呂に)顔を沈められる僕。

お陰で頭がシャッキリした。

ジャパッと水面から顔を上げた時には、姉妹はもう目の前まで来ていた。

ママンは手を振りながら、


「二人ともー、やっぱりこっちに来たんだねー、歓迎するよー」

「私はしねぇけどな」

「さー入って入ってー。あ、理解(わかっ)てると思うけどー」

「「ううっ……」」


その表情を真っ赤に染める姉妹。

ママンの指差す先には姉妹が巻いているタオル。

ママンは作法(マナー)には厳しい。


二人はグッと意を決し、タオルに手を掛けて……!


「ごくり……」

「いやお前はこっち向いてろ」

「そんなっ」


ゴキリッとヨミちゃんに首を回され、姉妹が見えないっ。


「クソが負けるかぁ……! (グググッ)」

「くっ……何だこの力は……別にコイツらの裸体なんて見慣れてんだろ……!」

「水着までじゃい……なんなら全裸よりタオル取る瞬間の方が価値あるわい……!」

「オメーのフェチは知らん……! (パッ)」

「なにっ!」


逆に力を抜いた!?


コマのようにグルリと僕の首は一定方向に回り、平衡感覚を失う。

そのまま…… ムニュンッ ヨミちゃんの胸元へと顔面から落ちた。


「もごもごっ(ええいっ、妹とToLOVEるとか誰得だっ)」

「くすぐってぇから喋んなっ」

「(兄妹のほほえまは)ママ得ー」


そんな無駄な時間を過ごした所為で……


「ぷはっ。……クッ、間に合わなかった……!」


僕が乳から顔を上げた瞬間(とき)には、姉妹は湯に浸かっていた。


「二人とも、ちょっと数秒前からやり直してくれない?」

「無理っ」

「何かの儀式ですか……」

「その瞬間は一度しかないんだ……例えるなら娘の入園式に出られなかった父親の気持ちだ……」

「全国のまともな父親に謝れよ」

「いないよそんなの。父親なんて煩悩まみれだ」

「煩悩扱いするな」

「まぁ……それはそれとして」


僕は姉妹にねっとり、視線を向ける。

不貞腐れるのはここまでだ。

据え膳食わぬは、ではないが、出されたモノを粗末に扱ってはならない。


プカ……プカ……


ふむ。


真っ先に目に飛び込むのは、やはり、あのお湯に浮いてる二つ、いや、二人合わせて四つの象徴(シンボル)。


今までに見たのは水着に締め付けられパンパンに張った象徴のみで、それはそれにしかない良さがあるが……


今の『ソレ』は、しがらみなどの全く無い ポヨヨンッ と世界へと解放された『ソレ』で。


「なんとも自由なその姿は、夜空に浮かぶ月のように、とても、柔らかそうに見えた」

「ポエムるなよ。お前らも見せつけてんじゃねぇ」

「み、見せてませんっ……(ボチャンッ)」


片方の月が、白濁した空に沈み、見えなくなった。

が、もう一つ(ワンセット)の月は、彼女のように堂々と浮かんだままで。


「ふんっ、お兄ちゃんに見られて困るような部分なんて何も無いよっ」

「これが『上弦の月』か……」

「もはや何の話だよ」

「ではリノちゃん、次は『皆既月食』、お願いしようか?」

「そ、そんなに見たい……?」

「ああ……恥ずかしがる事なんてないさ。見ているのは僕だけだ。この時ばかりは、太陽も月の姿が見えなくなるからね」

「な、ならっ(チャプ)」

「立たないで下さい(ジャボンッ)」

「ンギャッ」


シノさんに沈められるリノちゃん。

みんな、お預けが大好きらしい。


「ああ……月見酒するにはいい夜だ」

「まだこのノリ続けるのか?」

「いや、もう満足かな。てなわけで……むほほ、二人ともエッチだねぇ……w」

「お前には中間のラインってのがないのか」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る