本を買って貰う方法
ボクの本との出会い、ちょっとした昔話。
うちの両親はふたりとも本を読む人だったりする。ボクも含めて読むジャンルや方向性はバラバラではあるのだけれど、本を読む人なのだ。
それなので、ボクの世界には気がついたときには本が溢れていたし、本屋に行くのはもちろん、本を読むことはふつうのコトだと思っていた。
絵本はもとより、恐竜図鑑なども大好きでどこに出かけるにも携帯して、重いからとの理由で車で出かけるときに限定されたことまでがセットだった。
それはまだ文字がろくに読めない頃だったので、持って行った先で両親以外にも本を読んでもらうためであったので、今思うと結構嫌がられていたのかもしれない。
読んで! といったら、複数人にそれより寝るごっこしようと言われて悔しかった記憶がある。トラウマレベルである。すべての人は本を読むのだと思っていた純粋な時代だ。
小学校の低学年頃に一冊の児童書を買ってもらった。今はもう手元には残っていなのだけれど「宝島」(著:R・L・スティーブンスン)だった。最初は渋々と読みはじめたのだけれど、途中からはその世界に引き込まれてもう夢中になって読んでしまった、読んでしまったのだ。
ジムがどうだ、シルバーがどうだと熱く語っていたら、次の日に「ロビンソン・クルーソー」(著:D・デフォー)がプレゼントされた。これにもハマった、貪るように読んでしまって、二日後くらいには読み終わっていたかと思う。
そしてまた熱心に感想を伝えるという繰り返しだ。そう、感想を伝えると本を買ってもらえるという、至福のループに突入した瞬間だった。それは本パブロフの
トム・ソーヤの冒険や海底二万哩、ああ無情、ガリバー旅行記、若草物語、小公女、鏡の国のアリスとか、両親の買ってきて渡してくれるものを貪るように読んでいたのだ。
著名な児童書を相当数読んだ頃には、小学校の高学年にはなっていただろう。ここでうちの母親の趣味が爆発して、コナン・ドイル、モーリス・ルブラン、江戸川乱歩がボクの人生に混入した。
ミステリーが人生に登場したのだ。しかも複数冊渡されるという新境地だ。緋色の研究、四つの署名、バスカビル家の犬だ。シャーロック・ホームズシリーズの名作ばかりだ。これを楽しんで読んでいるボクをみて、母親はきっと布教に成功した宣教師のような気分を味わったのではなかろうか。
自分の好きなものを、勧めたものに、知人がハマったときの嬉しさって確実にあるからね。
多分この辺で、ボクの中の本に対するなにかが壊れたんじゃないだろうか。複数冊買ってきて積んでおくのが正義になった瞬間でもあったかもしれない。
ちなみにこの時期に、ボクの世界には漫画はなかった。コミックという存在を知らなかったのだ。
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