スイッチの入る椅子

 以前、臨時収入があったときに、ちょっとだけ奮発して椅子を買いました。


 背もたれがゆったりとしていて、座るとゆらゆらと弾むような柔らかな反動のあるちょっと変わった形の椅子です。カタカナのコの字みたいな足に全体が支えられている木製で、座面と背もたれに柔らかなクッション性を備えたヤツです。


 ゆったりとした気分で本を読める凄くお気に入りの子です。これに座って本を読むためだけに求めたものなのです。ふへへ。


 一見いっけん、贅沢でムダのように見えるのですが、幸せを感じるので、きっとセロトニンとかがダバダバととめどなくでてるなずなので良いのです。


 ちょっぴり書いたこともあるのですが、ボクはすべからく形から入るタイプなので、環境を整えるとスイッチが入りやすくなります。なのでこうゆう椅子とかもある種の読書グッズなのかもしれません。


 あれですよ、スイッチといってもスキマでもなければ、電気が流れて昇天するやつでもないし、マッサージ的なもので昇天するやつでもないですよ。陳腐ですがやる気スイッチというやつです。


 ただ、この子は、あまりにも座り心地がよいので、ウトウトしちゃうのが弱点です。読みたいのに寝ちゃうとか意味わからないなぁとか思ったんですが、布団に入って本を読んでいても寝落ちるので同じじゃん……って書きながら思ってしまいました。


 脱線しますが、過日『境界線上のホライゾン(著:川上稔)』を寝ながら読んでいたときです。寝落ちて顔の上に手痛い仕打ち受けたことがあるので、基本はうつ伏せで読みますよ?


 さて、もともとが怠け者なので、なにをするにもダラダラしがちなボクが、それなりに生活できているのは、このスイッチを色々なところに適宜用意できるように腐心しているからなのです。


 パソコンを立ち上げたら、まずテキストエディタを起動させたりするのもその一環だったりします。


 その前に起きたら部屋の空気入れ替えるのも、眼鏡をかけたり手袋をはめたり、コーヒを飲むのも腕時計をはめるのも、文章を書きはじめるのに有効だったりします。


 趣味の読書だってお話を作ることだって最高の環境でスッと集中してその世界に没入できるならばやらない理由がないのです。


 まぁ体調によってとか色々と副次的な要因に左右されるのも確かので、完全にコントロールできてるわけでもないのですが……。でもそこにスイッチがあったら押したくなるよね? なるよね?


 たとえそのスイッチにドクロのマークが描かれていたとしても。


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