4
私は
そのせいか息を吸うと、プールで
……私あれなんだよね、トンカチなんだよね……。
いまだに体育の
いつもあとちょっとってところで息ができなくなって、ゆっくり体が沈んでいって、『これはヤバい! このままじゃ死ぬ!』ってなって、仕切りのプカプカに
それに、クロールとイヌかき
だから私にとって、クロールのできる人はすんごい人だし、
あんたらもう人間
あれに近いよね。トリとかを見て、飛べることに
学年で私だけだよ、トンカチは。
走るのとか、
あれかもね……もしかすると私の
まあネコもがんばれば
でも、ネコとカラスは仲が悪いらしいしね。
それがどれくらいなのかは知らないけどさ……
たまにあるよね、人間の世界でもさ。
仲悪いと思ってた子たちがじつは仲よしで、『なんだぁ、あんたら仲よかったんだぁ……』ってなって、ちょっとほっとするみたいな。
「……わたし、落ち着いてるし。だからキミも落ち着きなよ」と、私はちょっぴりやさしく言った。
「まあ、それだけ時間をかけたなら、誰だって落ち着けるだろうな」
「……う、うるさいな……。……あ! ていうかさ、カラスさんの名前は?」
自分だけ名前を知られているのはなんか嫌だし、それに、簡単に名前を言っちゃって、ちょっと負けたみたいな気がしていたから、私はカラスにそう聞いた。
「オレには、名前などない」
「ウソだぁ。そんなにじょうずにしゃべれるんだしさ。……ホントはあるんでしょ?」
「
「……え、ずるくない……? ……あれだよ、……
『ズが高い』って言葉が、『おまえその
……『ズ』ってなんだろ? ていうか、いまはそんなの関係ない!
「はやくこっち来なよ! ……あっ。……ふふふ……じゃないと、このクルミ、わたしが食べちゃうよ? それでもいいの? ……うふっ……このクルミがどうなってもいいの!」
「オレに
「……な……。もう! とにかくどっちかにして! 名前を言うか、降りてくるか!」
「
「……し、知ってるけど、……そこまで
「つまり、おまえのほうが
「……へぇ、そ、そう? それならいいよ。
そう質問してみると、カラスは少し
「なんかあれだね。カラスさん、ちょっぴりカワイソーかも」
「ふん」とカラスは、またバカにしたふうに言った。
「ふーん、だ」
私は、仕返しにちょっと
だけど、カラスはそっぽを向いて、それを
「じゃあじゃあ、それならさ」、真顔になって私は言った。
「なんだ、
「わたしが名前つけてあげるよ……そうだなぁ――」
「――イヤだね。おまえは、ろくな名前をつけそうにない」
「……な、な、なんでよ! なんでそんなのわかんのっ!?」
「わかるさ。おまえははっきり言って、センスゼロだよ」
「……こ、このぉ……。やっぱ降りてきなよお! ……ぁ……あんたなんかねぇ……、ニワトリにしてやるぅーー!」
「オレに勝てると思うなよ。きっと
「わ、わたしに
私のツッコミには答えず、カラスは、なんだか
確かに
目だけで言ってる気がする、『言っとくけど、おまえなんか
もしかしてこのカラス……カラスの王さま……?
そのヤバそうな雰囲気にのまれ、私は「ごくり」とつばを飲みこんだ。するとその
私の首の骨はこんなに弱っちいんだったっけ、と不思議に思いながら首をさすっていると、カラスから声がかかった。
「いまのはオレだよ」
「えっ? いまのキミがやったの? すごいけど……
「本気を出せばこんなものではないぞ」
「……出したら、どうなるの?」
「おまえの体は、オレの
……うわぁ、なんかエッチなセリフだなぁと思って、じゃっかんひいてしまう。
……これはますますヤバい……。
気を抜いたらヤバそう……なんかエッチなことされそうな気がする……。
これはもうやってやるしかないと思って、私は、
するとその
「……これもキミが?」
お腹を両手で押さえて私は言った。
カラスはそれに答えず、ただ首を
「違うんだ……」
……ああそういえば、と……そこで私は思いだす。
今日、お昼を食べてない。そもそも私は、お昼ごはんを外で食べるために家を出たはずなのに……それを忘れるなんて……。
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