第76話 カジノ
王都歓楽街 カジノ
王都の歓楽街にある一際目立つ建物でセタはカードに興じていた。ディルから受け取った金は二倍になっている。
セタを知る者たちは、いつもと違うセタの勝ちっぷりに驚きを隠せない。
--悪いな。いつもは『接待プレー』も混ぜるけど、今日はそんなことも言ってられねえんだよ!
いつもなら、何回か負けを混ぜて店や他の客に目をつけられないようにする。しかし、今回はそんな悠長なことはしていられない。さっさと目標の金貨10枚を稼ぎ、ここから去りたいのだが--
「なあ、ニイちゃん、ちょっとオイタが過ぎるんじゃねえかな〜」
薄汚れた格好の男数人がセタが座る席を囲む。
--くそッ。ちょっとナメ過ぎてたか……。
セタは毒づく。この状況を何とかするために考えを巡らせる。
そこに--
「ケケ! オッさんたちよ〜。そのガキはオレが目をつけていたんだぜ〜。オレに譲っちゃくれねえかな〜」
タキシードとシルクハットに身を包み、オカメ面を被った男が割り込んで来たのだった--
◇◆◇
「おい! 何だ! てめえ!」
「ふざけた仮面被りやがって!」
男たちが騒ぎ出す。
「お客様、困ります」
ディーラーも仮面の男に苦言を呈する。
「ケケ! このゴロツキたち、店とつるんでやがるのなぁ。いいねえ。それじゃあ、遠慮はなしよ……と。『ギャンブリング』」
仮面の男がつぶやくと、その場にいる者たちは身動きがとれなくなる。
--何なんだよ? これは!
セタは心の中で毒づく。他の者たちとは違い、身動きは取れそうに思える。しかし、体が重く感じられ、逃げようとしても逃げられないだろう。
「『コイントス』! ケケ! 表が出たらオレに従って貰うぜぇ!」
仮面の男は懐から金貨を取り出すと、右手の親指で弾く。金貨は宙に舞い、落ちてくる。それを仮面の男は左手の甲で受け止め、右手を被せる。
そして、右手をずらし、
「ケケ! 表だぜぇ! お前らオレに従え! ゴロツキどもは家に帰ってクソして寝ろ! ディーラーはカードの台をオレに明け渡しな! 他の客は好きにしな! そして、セタ坊、お前はオレと勝負だ!」
と叫ぶ。
「何なんだよ……。アンタは……」
セタは仮面の男に問う。
「あ〜あ〜、すまないなぁ。これで分かるだろ?」
シルクハットとオカメ面をずらし、額を見せる。髑髏の額と『77』の数字が見える。
--『ノーライフ・ソルジャーズ』! 俺に何の用なんだよ!
「ケケ! セタ坊! 金が必要なんだろ? オレに勝ったらくれてやるぜぇ! 時間が無いんだから、さっさと座りな!」
No.77ジェイはディーラーの席からセタを挑発するのだった……
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